報告とジークの懸念。
次の日、1の鐘が鳴る少し前に出発して、3の鐘が鳴った直後に王都に着いた。
「ちょ!!ジーク飛ばしすぎ!そのゴレ車のスペック何なの!?俺着いてくのに必死だったんだけど!」
「貧弱だなぁ。これくらい普通だろ?」
「絶対普通じゃないし!普通の意味違うし!普通を調べてみて!?」
「着いたんだからいいじゃねぇか。行くぞ」
「俺ヘロヘロ!ゴレ車の魔力充填足りなくてヘロヘロなの!待ってぇぇ!」
ハンターギルドの中に入り、今回の獲物を引き取りカウンターに出す。
「おはようジーク!こりゃまたデカいイグアールだなぁ!袈裟斬りか、まぁ腹の方だから査定には問題ねぇな。売りか?」
「あぁ、アレクと討伐したから。っとアレク!これ売りでいいよな?」
「いーいーよーぉ」
「アレクは随分とヘロヘロじゃねぇか、何した?」
「ゴレ車で飛ばしたらあのザマだ」
がはははは!
「ジークがどんだけ飛ばしたか想像できるわ!これから報告だろ?終わるまでにこっちも済ませておくよ。口座に折半でいいよな?」
「あぁ、それで構わない。よろしくなー」
◇◇◇
コンコン
「ジークとアレクです」
「入れ。おはよう!随分と早く到着したなー。夜明け前に出たのか?」
「いや、コイツが起きなかったから1の鐘少し前ですね」
「え、それでこの時間?なんとまぁ随分と飛ばしたな……」
「ギルマス!こいつの飛ばし方尋常じゃねぇよ!俺ヘロヘロよ!」
「起きないオマエが悪いんだろう」
「俺のせい!?」
「ああ、まぁ、報告くれ」
「やはりイグアール居ました。成体、体格大、雄、他には確認できずでした。牧場主には数日様子を見てもらって、報告貰うことになってます。獲物は査定に出してあります」
「了解。どこかで偶然カウカウの味でも覚えたのかねー。山降りるなんてな」
「あの辺の森は魔獣少なめですからね、餌に困ったかもですね。周辺も調査しましたが、他に魔獣は確認出来ませんでしたから」
「ふむ。じゃあ後は牧場主の連絡待ちだな。分かった、お疲れさん!帰って休め。あ、ジークだけちょっと残って」
「おつかれっしたー!ジークまたなー」
◇◇◇
「どうしました?」
「ああいや、仕事じゃなく、パーティーで足りないモノはないか聞いておけってゴードンが言うから、何かないかと」
「あぁ、ありがとうございます。シャルルが張り切ってるし、俺も仕事であんまり手伝えてないんですよね。この間花摘みに付き合ったくらいで何かあったら手伝わせてとは言ってるんですけど」
「ふむ、じゃあ気になったことは?」
「あ、あります。俺鍵登録したんで、門も玄関も開けて入れるんすけど、呼び鈴鳴らしたら走ってくるシャルルが可愛くて、つい押しちゃうんですよ」
ニヤニヤニヤニヤ
「聞きたいのは惚気じゃねぇぞ!?」
「だーかーらー、ここから!で、呼び鈴押したら誰が来たのか分かる魔道具ないっすかね?知らない奴が来てもシャルルが玄関出ずに対処出来るようなヤツ」
「あるぞ?玄関の中からモニターで確認出来る魔道具」
「え?そうなんだ!知らなかった」
「まぁジークの実家じゃ門兵や執事がやるしなー。って、シャルルの家も下働き居るだろ?」
「それが居ないんです」
「えぇぇぇぇ!?嘘だろ!2区上で居ないの!?何で!?」
「掃除は自動クリーンだし、料理はシャルルがやるし、寧ろ趣味みたいなもんだし、居てもやる事ないから、だと」
「マジか……2区上って家もデカいよな?そこでたった1人で暮らしてたの?マジか……」
「デカいですね。防犯等は見回りの兵がいるし、心配はないんですけど、1人で過ごしてるのが気がかりで。で、確認出来る魔道具ないかなって聞いたんですよね。2区に入るには門を通らないと入れないから、変なやつが来るとは思わないけど」
「うむ、それは早急に対処しておかないとだな。魔道具屋で普通に売ってるし、取り付けも難しくないから買って帰れ」
「そうします」
「他にはないか?俺らが用意出来るモノ」
「そうだなー。あ、音楽筐体持ってないです?シャルル持ってないみたいなんで、パーティーに音楽あった方がいい気がした」
「あぁ、あるよ、ならそれ持って行こう」
「ありがとうございます。じゃ魔道具見るんで帰ります」
「おうお疲れ!」
◇◇◇
使用人が居ない……?
15歳の娘が1人で住んでた?
2区上のデカい家にひとり……。
謎すぎる。




