閑話 その頃のハンターギルド。
この閑話の前に本編があります。
ドタドタドタドタ バンッ!
「ちょっと!ラシード!オークションにほぼ完全体のリェスドラゴンとリェスウルフ9体が出品されたそうよ!!」
「何だと!?いつだ!!」
「今丁度開催してる最中よ!!あなた情報持ってないの!?」
「ない。どこが出した?」
「商業ギルドよ」
「は?まじか!マイクから何にも聞いてねぇぞ!?」
ちっ!そんなのがうちにあればハンターギルドの功績に出来たのに!
”デンタツ”
「マイク、ラシードだ。ほぼ完全体のドラゴンとウルフを出したんだって?どこからだ!」
『おぉ、出したぞ。すげぇ金額がついたわ。どこから?それは顧客の守秘義務を破ってまでは教えられん』
「そうだが!情報のひとつも寄越してくれてもいいだろうが!」
『その情報ひとつで顧客に金の亡者共が群がるんだぞ。レシピひとつ、魔道具ひとつ、価値のある物にヤツらは遠慮なんてしない。それを守るのもギルマスの務めだろうが。ラシードもギルマスなら分かるだろうに、それを聞くのか?』
ぐっ!
「……あぁ、そうだな、取り乱した。しかし、」
『こっちも忙しい、切るぞ』
フォン!
「どう?」
「守秘義務持ち出されたら何も言えん。くそっ!ハンターギルドに出さないって事はハンターじゃないのか?それともハンターなのに商業ギルドに出したのか」
「それは考えづらいわね。商業ギルドが受けるとは思えない」
「あぁ、そうだよなぁ……なら、どこの誰が……購入者は誰か分かるか?」
「いいえ、貴族、としか情報は出てないわ」
「まぁこれはそのうち分かるか。絶対自慢するもんな」
「そぅねぇ……バカならやるわね」
「……ちょっと前、ジークにリェスウルフの調査頼んだよな?不発だったが、その時の群れか?」
「……どうかしら……今回の出品にボス級は居なかったそうよ。でも9体。群れにしては中級だから、居なくても不思議はないけど、9体も殺られてボスが黙ってるかしらね」
「……。別に群れがいるのか?まぁそれも有り得るっちゃ有り得るが……そうじゃなければ、はぐれで9体?」
「そんなに増えていたら氾濫の前兆よ。特にその兆候は見られなかったと聞いてるわ」
「そうだよなぁ。ドラゴンを倒せる腕とリェスウルフを殲滅出来る腕、何人で討伐したんだか。それにボスはどこ行った。うーーん……」
ふ、と頭を過ぎった可愛らしい笑顔。
いや、まさかな。
ゴブリンとは別次元の話だ。
「まぁ今回はしてやられた感が強いが、致し方ない。ハンターにも頑張って貰わんとな」
「ハッパでも掛ける?」
「そうだなー。うん、中ランクから上で功績が振るわないやつに稽古でも付けるか」
「ひぇ!?ラシード自ら!?」
「たまにはいいだろ?ギルマスからの愛のムチだ」
「ご愁傷さま……と言っておくわ」




