死神と招待状。
ヘルベスさんの所へ行くには、少し早いので市場を物色。
フルン(枝豆)があるなら、お醤油とかお味噌とか、あってもよくない??
穀物、になるのかな?えーとーあった!
とりあえずフルン確保!豆が大きい!後は、お!トウモロコシ!でかっ!え?サイズこれホント!?名前、コン!コーンがコン??これなら忘れないね!
後はー、え?目をゴシゴシ、え!?お米!?しかも!この形はうるち米!?
棚の端っこに白い粒!量り売り!
「すみません!これ、量り売りですか?」
「いらっしゃいませー。そうよ、1カップから売ってるわ。どなたかご病気なの?」
え?病気?
「病人食よ、それ」
は!?
「食べさせ方知ってる?ドロドロになるまで煮込んで、薄く味付けて食べさせてあげてね」
「はい。2カップ下さい。あ!これもでした!」
フルンとコン、それと念願のお米、メコラは、病人食でした。
お粥しか食べないのかーーーー!!!
病人食って、この世界、病気は無縁じゃないの!?
病気の人が食べるもの=ほぼ食べる人が居ない。
普及しないはずだわ……。
そもそも寝込むほどの病気って何だろう。
知識庫ちらり。
え、ないじゃん。
15歳の常識にないって事は、やっぱり普段から食べるものではないのね。
ヘルベスさんに聞いてみようっと。
さて!いい時間だし、行ってみるか!
◇◇◇
「こんにちはー」
「執務室よー」
「はーい!ありがとうございますー」
もはや顔パス。
コンコン
「シャルルです」
「おう、入れ」
「お久しぶりです!先に完了報告しますね。これが北のギルマスさんからの書類です」
「うん、確かに。お疲れさん」
「それと売りたい魔獣なんですけど、3体あって、全部リェスカウカウなんですが」
「待て」
はぁぁぁ……
あれ?
「先に聞いておく。今回も首を斬ってるか?」
「あ、いえ、余すことなくお肉は欲しかったので、窒息ですね。切傷なしです」
「……良かったのか悪かったのか」
何だろう?
「この間のリェスドラゴンとリェスウルフ、綺麗に首を斬ってる所から二つ名がついてな”死神”だってよ。で、今回も首だったら同一視されるからな。流石にリェスカウカウ3体をカルロスだけじゃ解体し切れないからなー」
「わぁぉ」
「わぁぉ、じゃねぇわ!」
「あっ、口に出てた。あー、それはマズイかも、ゴブリンも首斬ってますね、バレるかな……」
「あぁ、ゴブリンは森だからな、他の魔獣が荒らすから大丈夫だろ。討伐隊出たの2日後だったし、解体屋が出ることもなかったし」
ほっ。
「大体、首を狙うのは上級者だ、シャルルも狙えるのがビックリだよ」
「え、確実に倒すには首なので。通常身体より細いし柔いし。袈裟斬りなんて下手したら1発で沈まないじゃないですか。わたし非力ですもん」
「シャルル、そんな可憐な見た目でハンター向きなんだなぁ……正に死神だよ……」
二つ名!何かを封じた腕が疼いたり、何かを宿した目があったりするような病に罹患した事はないけど、ちょっとヘラる。
しかし、ゴードンさんへのお土産には出来ないな。
また何か言われそうだし……。
「あ、それとお土産とお祭りの招待状です」
「祭り?」
「はい、ハンターギルドで話してる時に、何故かパーティやる事になったので、ヘルベスさんとサラナさんにも招待状お持ちしました。お時間あれば是非」
「日程確認して返事出すよ、招待状もお土産もありがとう。モーリェの地酒、いいねぇ」
「今日サラナさんは居ますか?」
「あー、今日は居ないから、招待状は送ってくれ。お土産は今度でもいいだろう」
「宿に泊まる人に送るとどうなります?」
「ん?あぁ、宿が長ければ宿に届くけど、そうじゃなければ迷走する可能性があるなー。魔法鍵や、1番多い登録魔力の所に行くからな。1番いいのは住所なんだけど、定宿がなければ難しいな。ハンターならギルドに預けるのが無難だな」
ふむ。なら無理だね。デンタツにしよう。
「あと、病人食のメコラがあると思うんですけど、病気って何があります?回復魔法あるのに」
「主に年取ったらなる、老衰だな」
あああああ!!なるほど!!そりゃヒールでも無理だわ。
「メコラ食べたいのか?」
「あぁ、いえ、別の食べ方を考えてただけです」
「へぇ!あんなドロドロのやつをか。何か考えたら俺にも試食頼むな」
「了解です」
ふふっ!これはパーティーで出すしかないな!




