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異世界王女様は今日も花に恋をする  【 Ⅴ 】人生の転機


 開始の声と共に両者一気に間合いを詰める。その速さは全くもって目で追うことができなかった。両者は嵐の夜に降る雨のように止むことなく攻撃を打ち出し続けた。


 剣術の達人と鎖斧の達人、どちらが勝ってもおかしくない。おそらくだがどちらも天術(スキル)を出し惜しみしているように見える。それもそのはず、天術とは死線を潜り抜ける際に突如開花するもの、それ故に強力な技なのだ。切り札を最後まで取っておくのは必然だろう。


 先に先手を切ったのはオキナの方だった。


 「天術(スキル) 地獄からの暗殺者(アサシン・オブ・ヘル)!!!!!」


 オキナの剣の使い方が変わった。切るという動作から突くという動作に。剣先の速さは全くもって見えなかった。これが一国の騎士団に属する騎士団長の実力か。昔から知っていたことだが改めてそれを実感する。

 が、しかしザリエルをその剣先が捉えることはなかった。


 「天術(スキル) 大木の双璧ウォール・オブ・ジャック!!!!」


 天術に守りの型があるのは知っていたが見たのは初めてだ。鎖を信じられない速さで回して壁を作っている。

 オキナが何発技を繰り出そうがその剣先がその壁を越えることは一度もなかった。


 「腕を上げたな、オキナ!俺は嬉しいぜ!赤子の頃から知ってるお前が一国の騎士団長を担うまで成長したんだからな!さぁどうした!息が切れてるぞ!まだまだ闘いはこれからだ!」


 「えぇザリエル、あなたの方こそ去年観客席にて貴方を見ていた時より俊敏さが上がったように見受けられる。そんな人と武器を交えてること、心より嬉しく感じております」


 その瞬間だった、空が一気に暗くなる。夜のような暗さではない。まるでそれはこの世の終わりを思わせるような不気味な暗さで明かりはコロシアム内の松明しかない。

 何が起きているのか会場にいる誰一人として理解してない中、ある人物が口を開いた。


 「やぁ〜、すごいなぁ君たち。先程から拝見させてもらってたけど相当腕が立つと見受けられる。ぜひうちの戦力にほしいくらいだが、そうはいかないだろうなぁ。まぁいいや、本来の目的達成しよーっと。」


 なんてことだろう、先ほどまで戦っていたオキナとザリエルの間にのうのうとあぐらを組んで座っているではないか。

 

 するとまた一人、今度はザリエルの上に、肩車のような姿勢で女が現れた。いや、女というより女の子というべきだろうか。


 「お兄ちゃん強いね!いいなぁ、まぁうちはもーーっと強いけどね!お兄ちゃんなら五秒、相手のお姉ちゃんなら二秒ってところかな!よかったぇ、今日の目的は君たちじゃないから生かしてあげる♫」


 奴らは喋り続ける。


 「えぇっとー、あぁいたいた。君、そうだよ君、アカシア。私たちの目的は君を攫って僕たちのボスに安全に届けることだ。無駄な抵抗はしない方が身のためだと思うよ、なんて言ったって僕たち超強いからさ」


 「わかったらここへ降りてくること!返事ははい以外だと怒っちゃうんだからね!」


 え?私?なんの話?何故私?そもそも今現れた二人は何者なの?

 疑問しかない頭で必死に今やるべき最適解を導き出す。あいつらは間違いなく危ない人物だ。かと言って向こうの命令を飲むわけにもいかない。どうすればいいのか全くわからない、


 そんなことを考えてるうちに既に両国の騎士団はその二人の身柄を確保しようと動き出していた。


 「アカシア様!そこにいては危険です!近くの騎士団と共に安全な場所へ避難を!」


 「野郎ども!今はアマリー王国の王女さんを守り抜くことが最優先事項だ!オキナと俺が指揮をとる!今すぐこいつら二人の身柄を確保する!」


 狙いが王女だと分かれば騎士団が黙っているはずがない。

二人を捉えようとしたその時だった。


 「天術(スキル) 混沌による時間操作カオス・クロック・マニュプケーション


 まるで瞬間移動のように私の前に二人が現れる。


 「残念、ゲームオーバー、さぁおいで。大丈夫、悪いようにはしないから。」


 そう言った男の姿と声が最後の記憶だった。男が私の腕を掴むと急にプツンと意識が飛んだ。

 



 ここからアカシアの人生は変わった。




 

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