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おっさんは魔法少女で涙目です  作者: まはぷる
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魔法少女☆世界を席巻する

 全世界に二度も衝撃が走った。


 一度目は、時代は21世紀――地球が初めて晒された敵対異星人の大々的な侵略行為である。

 地球の軍備ではまともに対抗すらできず、核の炎であろうとも、一矢報いることさえできなかった。

 各国の最新鋭とされる兵器武装のことごとくが敗れ去り、世界が屈するのは目前となっていた。


 そして、二度目。

 そんな侵略者を撃退した奇跡の少女の出現である。

 その名も魔法少女プリティエリアン。どこからともなく現われた少女は、不思議なもこもこ生物ラビをお供に連れ、まさにアニメヒロインのごとく、敵の大軍団を一撃のもとに倒してしまう。


 可憐な少女の姿にして、巨悪と戦う勇敢な心、圧倒的な魔法の威力は、夢と希望と愛とをセンセーショナルなイメージと共に、見る者すべてに鮮烈に叩き込んでいた。


 登場からの一部始終は報道や個人で記録され、少女の勇姿はありとあらゆるソーシャルネットワークを通じて、即日のうちに全世界に配信・拡散された。


 その容姿が日本人であり、初登場した場所も日本であったことから、すぐさま日本政府により公式に感謝に激励、歓迎の声明が出され、遅れじと各国――特に軍事敗北を喫した国々から、共同支援の表明が殺到した。


 ひとりの少女は、魔法少女のその名と共に、たった一夜にして、世界中でもっとも著名な女の子となってしまった。


 世論はすべて少女の味方、インターネットでも大いに盛り上がっていた。

 うがった見かたの評論家や素人の自称有識論者、普通は必ずアンチがいるものだが、さすがに地球と世界の命運を握る最重要人物だけに、そんな声は一言たりとも上がらない。

 むしろ、わずかなりとも上げようとしただけでも数の暴力で淘汰される。そんな風潮が生まれた。


 少女、ということが有利に働いたことも大いにある。

 世界的に先進国であるほど、子供には甘く優遇される。それが可愛い女の子ともなると、もはやそれだけで正義だ。異論など受け付けられようはずがない。


 報道関係ではこぞって魔法少女の特集が組まれ、いつしか熱心な信奉集団が現われ、数多の非公認ファンクラブが結成された。


 魔法少女が初出現、初戦闘、初勝利を収めた地は、聖地と称され、持てはやされた。


 プリティエリアンマジカル饅頭などという、女の子の顔っぽい焼印がされたお菓子が店頭に並び、たった数日で肖像権ガン無視のグッズが販売された。さらにそのパチモノまで出る始末。

 商魂逞しいというか便乗商売は次々と現われた。

 さらには彼女をメインに据えた薄い本も続々と出版され、なぜだが様々なバリエーションのフィギアも横行した。

 某国では魔法少女は自国の民族であると非公式に発表されたりと、もはや手が付けられない。


 それだけ、国民的――いや世界的な著名人として愛されるほど、わずか数日で魔法少女の名は永遠となった。



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