魔法少女☆新たなる刺客
戦闘部門の中で、傀儡3姉妹といえば、任務達成率も上位のエリートである。
実力主義の戦闘部門に於いて、それは確固たる優位性の証であり、そのおかげでインペリアルナイツ四天王が一天にして戦闘部門の長、ナイトからの信頼も厚い。
しかし裏を返すと、達成率の低下は即失望、地位の低迷にも直結してしまう。
このポジションまで昇り詰めるのに、傀儡3姉妹の面々は並々ならぬ努力と実績を重ねてきた。
それを、こんな辺境の惑星で、魔法少女などという得体の知れない輩を相手に、あっさり失うわけにはいかなかった。
「そうだな。そうならないことを期待している」
思考に突然割り込んだ第三者の声に、ラゥは背筋が跳ね上がる。
いつの間にか、点けっ放しだったテレビ画像が切り替わっていた。
ニュース番組で女子アナウンサーが陽気に喋っていたはずだが、そこに映るのは薄暗い屋内で独り椅子に腰かける人物のみだ。
「まさか――ナイト様!?」
傀儡3姉妹の3人が、テレビの前に居並び、即座に片膝を付いて畏まる。
悶絶していたはずのガゥでさえ、激痛に冷や汗を流しつつも神妙な面持ちで跪いていた。
映像越しによるシルエットと音声だけとはいえ、圧倒的な重圧を禁じえない。
結社内において、称号を与えられた4人のインペリアルナイツは雲の上の存在。
仲間内でさえ、通常、おいそれと拝謁する機会はない。
実際、傀儡3姉妹も映像越しとはいえ、こうして相見えたのは初めてのことだ。
それは、今回の魔法少女との案件が、それだけ結社に於いて重要視されていることの証左ともいえる。
「もはや敗退は許されぬ! 勝利を我に、我らがダーククラウザー総帥に捧げよ!」
「「「御意に!」」」
そう答えるしかない。
「勝利を我らに!」
「栄誉を我らに~!」
「権勢を我らに!」
「「「栄光あるビジターナイツの名のもとに!」」」
数秒なのか、それとも数分か――
どれだけ時間が経過したのかわからないが、いつしかテレビは普通の映像に戻っていた。
洗剤のCMで、呑気に犬が庭を走り回っている。
3人は知らず止めていたままだった息を盛大に吐き出し、尻餅をついていた。
「わわわわ。びっくりしたー! まさか、あのタイミングでナイト様の激励なんて」
「はわ~。驚いたね~」
「…………! …………!」(ガゥは痛みを思い出して悶絶中)
ラゥはその場に立ち上がり、宣誓でもするように握り拳を掲げた。
「こうなったら、なにがなんでも今度はわたしが勝たないと! ふたりの遺志は、わたしが継ぐ!」
「死んでないよ~。死んでないからね~? ガゥは知らないけど~」
「…………! …………!」(以下略)
傀儡3姉妹が最後の刺客、”魚使い”ラゥ。出陣の時であった。




