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おっさんは魔法少女で涙目です  作者: まはぷる
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魔法少女☆出動です

「さあ! ステッキを掲げて唱えて! 『マジカル☆フュージョン』だよ!」


「いやいや! 前回はそんな呪文なかっただろーが!?」


「仕様変更さ! ほら、早く!」


 難易度が上がった。


 アキラはおっさんなのに羞恥に耳まで赤く染め、ステッキを掲げておどおどと唱えた。


「ま、まじかる、ふゅーじょん?」


 瞬間、ステッキの星が回転し、アキラの身体を包むように星と七色の光のシャワーが降り注ぐ。

 ボクサーパンツとTシャツが光に解けて弾け飛び、全裸になる。

 体毛が消え、肌がみずみずしく、身体が小さく縮む。

 毛根が弱り細くなっていた髪が瑞々しさを取り戻し、一息に伸びて、キューティクルの効いた艶やかなパープルピンク色のセミロングとなる。

 周囲の光から湧き出したリボンが、光を撒き散らしながら身体に巻きつき、服となり、ブーツとなり、手袋となり、色とりどりの衣装と化す。

 舞っていた髪の毛が勝手にツーサイドアップにリボンで結わえられ、手首にリング、額にティアラが出現した。


 カーテンとなって視界を覆っていた光がステンドグラスのように弾けて消え――そこからステッキとパステルカラーの衣装に身を包んだ、ひとりの小学校高学年くらいの少女が出現する。


「魔法少女プリティエリアン☆地球の平和を守りに参上です♪ ぶいっ!」


 ポーズが決まる。


 そこにはもう、外見はおっさん、中身もおっさんのアキラの姿はなかった。

 見た目は可憐な少女、心はおっさんの魔法少女プリティエリアンがいるだけだ。


 窓に映る姿を見て――

 二度目なら少しは慣れるかと淡い期待も持ったが、そんな生易しいものではなかった。


 なにやってんだろ、俺。


 アキラは泣けた。



◇◇◇



 悪の結社ビジターナイツ、その戦闘部門所属、傀儡3姉妹(パペットシスターズ)がひとり”獣使い”ガゥは、ライオンの背に横になりつつ、敵の到来を待ちわびていた。


 デフォルメしたでっぷりライオンの着ぐるみから顔だけ出ているという出で立ちだが、彼女にとっては当然の格好なので、気にしている様子もない。

 本物のライオンの上に、ふざけた――もとい、酔狂な着ぐるみライオンとは、シュールな絵面ではある。


(さーて。いつやってくる、魔法少女? あたいはここだぜ?)


 ガゥは蒼天の空を見上げて、不敵な笑みを浮かべ待ちわびている。


 まずは手足となる地球の獣を手に入れる必要があったため、近場で見つけた動物園なる施設を襲撃した。

 わざわざ野生の戦力を1ヶ所に纏めておいてくれる辺り、地球人というのも殊勝なことだ。


 ガゥの能力のひとつは、ふたつ名の示す通りに、知能の低い生物を意のままに操ることにある。

 さらに、まだひとつふたつ追加能力はあるのだが、それはまあ後のお楽しみだ。


 首尾よく獣たちを手に入れたガゥは、その足で今度は地球人の子供が多くいる小学校という施設を襲撃した。

 平和的な惑星であるほど、子供に甘いのは全宇宙共通だ。そこで騒ぎを起こせば、正義を自称する魔法少女とやらは必ず救いに訪れるだろう、という算段である。


 ただガゥにとって騒ぎを起こすといっても、今回は普通に暴れて殺し壊すことができないのが厄介だった。


 組織の手にした情報によると、なんでも今回の敵である魔法少女とは、破壊の衝動や傷つき殺された人々の怨嗟や魂を糧とする悪魔か死神のような存在らしい。そういった負の感情を取り込み、爆発的なパワーアップを果たすとか。


 まあ、これは実際には歪められた誤情報(そういった設定)であるわけだが、一戦闘員である彼女には知るよしもない。


 だからこそ、ガゥはその好戦的な性格を抑えて、こうして大人しく待ちわびている。

 下手に暴れまくっては、敵に塩を送る羽目になる。

 悪の結社にして、最強を謳う戦闘部門にとって、ナイト様の名のもとにも、万が一の敗北も許されない。


 こうして物を壊さない程度にできるだけ動物を暴れさせているわけだが――正直、虚しい。

 ギャラリーもずいぶん集まった。そろそろいいんじゃないか?


 ガゥは敵を待つというより、親友との再会を心待ちにする心積もりで、その時が訪れるのを待っていた。


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