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おっさんは魔法少女で涙目です  作者: まはぷる
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魔法少女☆悪の結社の胎動

 悪の結社ビジターナイツ。

 地球征服を目論む悪の組織。


 彼らは宇宙を渡り歩き、適合する惑星を見つけては原住民を屈服させ、惑星そのものを資源と化してきた。

 そうして膨大な資源を得ては、次なる目標へと移りゆく、言わば宇宙海賊のような存在である。


 そして今回、彼らが獲物と定めたのは辺境の惑星、地球。

 取るに足らない低い文明しか有さないその惑星は、いつもに増して、容易に支配できると踏んでいた。


 事実、それは99%まで実現できていた。


 わずかたった1%。

 覆したのは、年端も行かぬ魔法少女と名乗るまだ幼き少女だった。


 しかし、割合としては1%ながら、とても無視できる戦力ではなかった。

 あの戦闘で、明らかに魔法少女の力は彼らを凌駕していた。

 とても個人の有する力ではない。


 魔法と呼ばれる不可思議にしてあの強大無比な力は、あまりに脅威だ。

 下手に大軍を以って事に当たれば、彼らのほうが絶大な被害を被りかねない。


 対してそれだけの被害を出して、戦果がたったひとりの少女の命と、地球程度の搾りかすの資源ではとても割に合わない。


 本来なら、地球など無視して、他の惑星を探したほうが有意義ではあるが、たったひとりの少女に敗北を認め、おめおめと逃げ出すなど、彼らの矜持が許さない。


 だからこそ、彼らは正々堂々と真っ向から、かの魔法少女を打ち破り。彼らの威を誇示した上で、この地を支配・蹂躙せねばならない。


 それこそが、悪の結社ビジターナイツが誇り。

 悪を極める王道である。


 魔法少女の出現場所は、日本という主権国家だった。


 この数日、彼らは組織を挙げて日本を中心に情報を収集していたが、結果としては日本にしても魔法少女の存在は未知のもの(アンノウン)。有力な情報を得るには至らなかった。


 取るに足らない情報が錯綜し、当初は国家規模の情報偽装による隠蔽かとも疑ったが、どうもそうではないらしい。

 そもそも地球程度の文明で、彼らの技術を謀ることなど叶いはしない。


 想定していた日本の最終決戦兵器という線もなくなった。

 あの魔法少女という存在は、まさしく誰にも知られずなんの前触れもなく、彼らの侵攻に合わせて突如として現われたことになる。


 背後になんらかの意図が働いているとしか思えない。

 日本や地球など関係なく、我らに匹敵するほどの、なにかの存在が。


 しかしながら、魔法少女の正体がなんであれ、彼らのなすことに変わりはない。

 敵ならば打ち砕き、思惑があるのなら叩き潰すだけである。


 そのために彼らは日本のとある場所に本拠地を置き、魔法少女打倒に向けて着々と準備を進めている。



◇◇◇



「――以上が、魔法少女プリティエリアンに関する情報の最終報告となります」


 モニターに表示された資料を示し、四天王がひとり、ビショップの称号を持つ情報部門の長が告げた。


 司令室と銘打たれた部屋の中央に設えられた円形のテーブル――そこで行なわれる、組織の最高幹部が集う会合は、円卓会議と呼ばれている。

 出席者は、組織の最高権力者、総帥のダーククラウザーを筆頭に、四天王のインペリアルナイツ――クイーン、ルーク、ナイト、それに先のビショップを含めた4名との、計5名となっている。


 ただし、実際にこの場に5名が集まって会議が行なわれているわけではない。

 全員が長たる立場にあり多忙なため、今以て各々の身は専用の執務室にあり、会議には実物と区別が付かないほどの精巧な立体映像(ホログラフ)が用いられていた。


「それってつまり、例の魔法少女だっけ。あの子についてはなんにもわかってないってことよねえ? ビショップちゃん?」


 軽口を叩くのは、戦略部門の長、ルークだ。


「残念ながら、その通りです。我らが技術を持ってしても、魔法少女の解明には至りませんでした。これはもはや、地球上にその情報自体がないものと推測されます」


 ビショップの言葉に過敏に反応したのは、戦闘部門の長、ナイトだった。


「ふざけるなよ、ビショップ! なにもわからないとはどういう了見だ? それをどうやっても探すのが、あんたらの仕事だろうが! 情報なしに部下どもに戦いに行けとでもいうつもりか?」


「それは違いますよ、ナイト。()()()()()()()()()()()()のです。これは敵の正体の手がかりを探る上でも有用な情報です」


「それじゃあ、意味がないだろうが!」


「戦闘部門としては情報がないと心細いってのよね、ナイトちゃん? でも安心して。私たちはそんな貴方たちでも安心して戦える作戦を立案してあげるから」


「なんだと? ルーク、侮辱は許さんぞ、貴様!」


「そろそろいい加減になさい。総帥閣下の御前ですよ?」


 穏やかな口調で告げたのは、四天王が統括たるクイーンである。


 即座に押し黙る面々に、総帥のダーククラウザーは厳かに手を掲げて応えた。


「よい。まずはビショップ、ご苦労であった。引き続き、任に当たるがよい。以後は実際に彼奴とまみえる機会が増える。情報も次第に集まろう」


「はっ、ありがとうございます。ではそのように」


「此度はいつもと異なり、大々的な作戦を用いることはなかろう。だからと言って同胞をからかって腐るでないぞ、ルーク。まずは待て。結果如何によっては、貴様の策が必要になる事態も訪れるやもしれん」


「……は~い。わかっております。申し訳ありませんでした~」


「ナイトよ。此度の戦いでは直接戦闘部隊である貴様に負担が大きい。だが、貴様ならば成し遂げると信じておるぞ」


「光栄であります! 総帥!」


「では、以後のことは貴様に一任する、クイーン。よい報告を期待している」


「御心に沿いましょう。閣下」


「諸君。先日も申したが、魔法少女との戦いなど、これはあくまで余興に過ぎない。我らの力を示すがよい。地球人が大いに希望という幻想で盛り上がったところに、絶望という現実をくれてやれ。偉大なるビジターナイツの名のもとに」


 ダーククラウザー総帥が胸に手を当てて敬礼する。


『はっ、栄光あるビジターナイツの名のもとに!』


 声を揃え、四天王も総帥に倣い敬礼する。


 それを合図に円卓会議は終了し、立体映像(ホログラフ)は次々と消えていく。


 最後まで残っていたナイトは、拳を握り締めてほくそ笑んでいた。


「魔法少女プリティエリアン、か……ふざけた奴だが、強いのは確かだ。最近は手応えのない雑魚ばっかりで、飽き飽きしていたところだ、おもしれえ……まずは緒戦、ちょっとした小手調べだ。まさか、これで躓いてくれるなよ、お嬢ちゃん? 生き抜いて、オレの前に立ちはだかる日を楽しみにしているぜ……」


 呟いてから、ナイトの立体映像(ホログラフ)も姿を消し、司令室は静寂に包まれたのだった。


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