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出会い

人は忘れっぽい生き物である。そして、欲深い。ある物や事が連続して起こると、それをさも当たり前の事のように捉えてしまう。そして、当たり前をベースに次の欲求を満たそうとする。数学の根本を理解しないまま公式を丸暗記し点数を稼ごうとするかの様に。


「………」


人は群れる。敵から身を守るには多数の人間がいる方が効率が良いことを遥か昔、狩をしていた頃から理解しているからだ。


「………」


人は眠る。眠いからだ。


「………z z z。。」


アルトは街から離れ半日以上は歩いていた。街から離れてみたはいいが、目的もなく、ただ大きめな石や、少し黄色掛かった草を眺め眺めながら歩くのにも飽きて眠ってしまったのである。


沈みゆく太陽はどこまでも穏やかで、アルトを照らし、眠りへと誘った。

アルトの最後の言葉はこうだ。


「眠いよパト◯○◯○」


それから数刻がたったであろうか。近くで土煙をあげながら荷馬車がやってくる。


その大きな音を聞き、アルトの目はぱっちり開かれる。全身は硬直し、両足はいつでも逃げられ様な体制に自然になっていた。それもそのはずである。

まず、普通に生きていたら近くで荷物を運ぶ二匹の馬を見ることは少ない。更には荷物と思っていったものにはカーテンがかけられており、遠目からでもわかる様な美少女が乗っていたからである。


馬車の進路はこちら側のようで、どんどんと距離が迫ってくる。


すれ違うまでもう、30mといったところか。


「………」


「………」


すれ違う瞬間両者の目線が合う。見るからに高貴な存在である。その

髪はどこまでも黒く、長く伸びた足は程よい筋肉が付いている。お互いに何かを感じたのか同時に声をかけた。


「ひひーん。」


「ヒッヒーンッ!」


漆黒のたて髪と長くしなやかな足を持つ馬はたしかに返事をしてくれた。


「いやー!いい馬だったな!…あの馬はポピンズと名付けよう。いや、人の馬か。ははっ!」


こうして、ポピンズに運ばれていた、美少女、メアリーとの出会いは終わった。この物語の第1ヒロインであることに気づくことはないであろう。なぜなら出会ったことにすら気づかなかったのだから。




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