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病と少女と幽閉奇譚  作者: 繭月
少女は街に、病は人へ
8/11

第5話 静かな夜のティータイム3

 「約束の子(レギフト)とは、人と病の間の子だ。生きていても、殺しても病を撒き散らす、忌み嫌われる存在。これが世間一般の認識だろう。」


 天井に吊るされたシャンデリアは、蝋燭の光を纏ってきらきらと部屋を照らしている。薄暗い中、ふかふかのソファに座っていれば、気を抜くと寝てしまいそうだ。


 「……病は子を作って、その子に移り住んでから五年間、眠りにつくといった話はしたね。」


 ジルは頭の中を整理しながら話しているのか、いつも遅い会話のペースがさらに遅くなっていた。微動だにせず考えている様子は、マスクの効果もあり、些か不気味である。


 「ええ。」


 それでもニコラスは根気よく耳を傾けている。まあ、セルマの事でもあるので、当然といえば当然か。


 「………で、その病が目覚めた時に彼らは、本来の力を出すことが出来るようになる。」


 彼ら約束の子(レギフト)は、病さえいなければ普通の子なのである。ジルの胸中に、なんとも言えない苦みが広がる。


 「この五年間を私にも関わらせていただいたのは、安全だったから…という事でしょうか?」

 ニコラスは少し考える素振りを見せてから言った。


 「そういう事だ。」


 ニコラスは理解が早いため、余計な説明が要らず、ジルは助かっていた。

 自分の説明が遅いのもあるが、相手がニコラスでなければ何時間かかるか分かったものではない。


 「…彼らは、感情の高ぶりなどで空気中に病の種を撒く。種の形は病の種類によって様々だが、それに触れると必ずその病にかかる。気をつけろ。」


 ジルは、紅茶をひとくち口に含んだ。口の中にふわりと柑橘系の香りが広がる。少しぬるくなっていた。


 「…それと、セルマが大事なら国には渡すな。やつら、何か企んでいるようだ。」

 ふと思い出したようにジルは付け加える。


 「…?分かりました。まあ、渡すつもりもないですが。」

思っていたよりも短くなってしまいました。

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