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病と少女と幽閉奇譚  作者: 繭月
少女は街に、病は人へ
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第8話 壊れた世界

 ミシミシと壁が軋む音。


 断続的に続く、ひびの入る音。


 目の前の壁は悲鳴をあげていた。


 そして…


 世界は"割れた"。


 壁が剥がれる低く鈍い音が部屋内に響き渡る。巻き添えになったガラスが砕け散った。


 彼女は初めて外の世界を見る。


 「おおお……!?」


 天井はオレンジに染まりつつある青、白いわたあめが風に乗ってゆっくりとどこか遠くに流れていく。初めて嗅ぐ外の世界の空気は、とても澄んでいる。部屋は2階にあるらしく、地面は遠いが、それでも目の前には自分よりずっとずっと大きい緑色の植物が沢山並んでいた。


 音に驚いたのか、どこからか小さな黒いネズミが、ぴょんと外の世界へと飛び込んでいく。


 「あ…」


 手を伸ばすが、届くはずもなく空を切った。


 「…どうした?」

 アルルはぐうっと背伸びをしながら聞く。


 「ううん、なんでもない。」


 少しぼうっとしていたセルマだが、ぱっときらきらした笑顔を見せて、

 「はやくいこう!」

と言った。


 「?」

 アルルは不思議そうにセルマを見つめたが、まあ良いかと呟いてニヤリと不敵な笑みを浮かべる。


 「あ、まって。これもっていく。」


 セルマはいそいそとウミウシのぬいぐるみを持ってくる。ぎゅーっと抱きしめているため、何を言われても持っていくつもりだろう。セルマの全身から、そうひしひしと伝わってくる。


 「まあ、落とさないようしっかり持っておくことだ。」

 そう言うと、アルルはセルマをお姫様抱っこし、壁にできた大きな穴から、新しい世界へと身を投げ出す。


 初めて受ける風の風圧に、きゃーと嬉しげな悲鳴を上げるセルマの声が、夕暮れの森にこだました。

うおお…定期的に投稿できなくて申しわけないです。

年が明ければまだまともにできると思われるのですが、今はまだ自分のペースでやらせていただきますm(_ _)m

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