第7話 初めての約束
遅れて申しわけないですm(_ _)m
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「そうと決まれば早い方がよい。だが、このままの格好では不審がられるか…」
アルベルトはううむと唸る。
そんな彼の目に、セルマの来ている白いワンピースが映る。彼は何かしら迷う素振りを見せていたが、やがてぼそっと呟いた。
「…仕方がないな。」
白いワンピースをじっと見つめる。そして、何かを諦めたように、身体を一旦影に戻し、再構築していく。こんどはさっきの身体よりもだいぶ小さい。セルマと同じくらいである。
そして、影は"服"を形作っていく。
細かいところを埋め、残った影が目に吸い込まれていけば…
「…あるべると…さん!?」
セルマは目を丸くする。
そこには少女(?)がいた。
髪の葡萄色はそのままに、高い位置で結われた髪は馬の尻尾のように揺れ、セルマと色違いの黒いワンピースを身にまとっている。くるりとした大きな黒い目が可愛らしい。
「ふふん、どうだ?」
アルベルトはセルマの驚いだ顔に、満足そうな笑みでその場でくるりと回る。ふわっと広がるスカートの下に見える華奢な足は、少女のようなしなやかさを持っている。
「あるべるとさんっておんなのこだったの…?」
いまいち状況が飲み込めてないセルマは、そう呟く。
その言葉に、アルベルトはさっきの表情から一転、なんとも複雑な表情を浮かべた。女の子に見えるが、身体も心もちゃんと男の子だ。無理もない。
「女子では…ないが…。だが、そうだな…"私"の事はアルルと呼べ。さん付けも禁止だ。いいな?」
「う、うん!???」
セルマははてなをいっぱい頭上に浮かべるが、返事だけは元気がいい。
「それと外に行った時、私との関係を聞かれたら、双子の姉と答えろ。約束だ。」
セルマの顔がぱっと明るくなる。ずっと兄弟が欲しかったのだろう。丸わかりである。
ちなみにアルルの見た目は、双子と言われても遜色ない仕上がりだ。
「うんわかった!アルルおねえちゃん!」
アルベルトもといアルルは嫌そうに顔をしかめたが、
「まあ、いいだろう。」
と言った。
アルベルトは仕方なくアルル…つまり女装しただけであって、双子のふりをする事にあまり気乗りしないのだろう。
「ん。」
セルマはアルルに向かって小指を差し出す。
「…なんだ?」
アルルは不思議そうに差し出された小指をながめる。
「やくそくのおまじないしよう!せんせーが教えてくれたんだー。…こうやってゆびをからませるんだよ!」
セルマは自分の両手で再現してみせる。要は、指切りげんまんだ。
呪いという言葉に、アルルはぴくりと反応を示したが、それを見て子供だましだと分かると、セルマにバレないようにそっと息を吐いた。
「…ほらはやく!」
セルマは期待の目でアルルをじっと見ている。
ため息をつき、アルルはしぶしぶ自身の小指をセルマの小指に絡ませた。
「これでかんりょー。やくそくをやぶるとわるいことがおこるから、ちゃんとまもらないといけないんだよ!」
小指を離して、セルマは得意げに言う。
「…そうか、気をつけておこう。」
アルルは、だいぶ彼女のテンポに飲まれているようだ。