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病と少女と幽閉奇譚  作者: 繭月
少女は街に、病は人へ
10/11

第7話 初めての約束

遅れて申しわけないですm(_ _)m

やっと更新できました!

 「そうと決まれば早い方がよい。だが、このままの格好では不審がられるか…」


 アルベルトはううむと唸る。


 そんな彼の目に、セルマの来ている白いワンピースが映る。彼は何かしら迷う素振りを見せていたが、やがてぼそっと呟いた。

 「…仕方がないな。」


 白いワンピースをじっと見つめる。そして、何かを諦めたように、身体を一旦影に戻し、再構築していく。こんどはさっきの身体よりもだいぶ小さい。セルマと同じくらいである。

 そして、影は"服"を形作っていく。

 細かいところを埋め、残った影が目に吸い込まれていけば…


 「…あるべると…さん!?」

 セルマは目を丸くする。


 そこには少女(?)がいた。


 髪の葡萄色はそのままに、高い位置で結われた髪は馬の尻尾のように揺れ、セルマと色違いの黒いワンピースを身にまとっている。くるりとした大きな黒い目が可愛らしい。


 「ふふん、どうだ?」

 アルベルトはセルマの驚いだ顔に、満足そうな笑みでその場でくるりと回る。ふわっと広がるスカートの下に見える華奢な足は、少女のようなしなやかさを持っている。


 「あるべるとさんっておんなのこだったの…?」

 いまいち状況が飲み込めてないセルマは、そう呟く。

 その言葉に、アルベルトはさっきの表情から一転、なんとも複雑な表情を浮かべた。女の子に見えるが、身体も心もちゃんと男の子だ。無理もない。


 「女子(おなご)では…ないが…。だが、そうだな…"私"の事はアルルと呼べ。さん付けも禁止だ。いいな?」


 「う、うん!???」

 セルマははてなをいっぱい頭上に浮かべるが、返事だけは元気がいい。


 「それと外に行った時、私との関係を聞かれたら、双子の姉と答えろ。約束だ。」


 セルマの顔がぱっと明るくなる。ずっと兄弟が欲しかったのだろう。丸わかりである。

ちなみにアルルの見た目は、双子と言われても遜色ない仕上がりだ。


 「うんわかった!アルルおねえちゃん!」


 アルベルトもといアルルは嫌そうに顔をしかめたが、

 「まあ、いいだろう。」

 と言った。


 アルベルトは仕方なくアルル…つまり女装しただけであって、双子のふりをする事にあまり気乗りしないのだろう。


 「ん。」

 セルマはアルルに向かって小指を差し出す。

 「…なんだ?」

 アルルは不思議そうに差し出された小指をながめる。


 「やくそくのおまじないしよう!せんせーが教えてくれたんだー。…こうやってゆびをからませるんだよ!」

 セルマは自分の両手で再現してみせる。要は、指切りげんまんだ。


 呪い(まじない)という言葉に、アルルはぴくりと反応を示したが、それを見て子供だましだと分かると、セルマにバレないようにそっと息を吐いた。


 「…ほらはやく!」


 セルマは期待の目でアルルをじっと見ている。

ため息をつき、アルルはしぶしぶ自身の小指をセルマの小指に絡ませた。


 「これでかんりょー。やくそくをやぶるとわるいことがおこるから、ちゃんとまもらないといけないんだよ!」

 小指を離して、セルマは得意げに言う。


 「…そうか、気をつけておこう。」


 アルルは、だいぶ彼女のテンポに飲まれているようだ。

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