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ハルチ  作者: あみるニウム
01「日常の終焉」
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01−4

 みろくが出て行った後、僕は教室で一人、物思いに耽っていた。

 窓から外を眺めると、空には透き通るような青色が広がっていた。

 その表面を、何事もなかったかのように白色の物体が流れていた。

 空も雲も、流れながら僕を傍観しているかのようだった。

 みろくがこんな時間に僕を尋ねてくることも初めての体験だった。

 いや、みろくが僕を尋ねてくること自体、非常に珍しいことだった。

 普段はすれ違ったときに声をかけてくるぐらいなのだから。

 しかし、今になって思うと、僕もキャラが安定しないな。

 先ほどの天原さんとのやり取りとは、完全に違う人になっている。

 とはいえ、こればかりはもはや習性だ。

 相手によって、自分が変わる。

 これが僕のキャラなんだ。

 そうやって、今日まで生き抜いてきたのだから。

 そんなことよりも、みろくの話だ。

 僕が狙われているって?

 何のために?

 どういう経緯で?

 考えてみたが、全く見当がつかなかった。

 噂を聞かないのは僕が人付き合いをほとんど断っているからだとして、僕自身がそのような危険を感じたことすら一度もない。

 もし狙われているというのなら、何かしらの兆候があっても良いはずだ。

 それすらないのだ。だとすれば、やはり──。

「気のせいだろ。もしかして、ナミの気になることってのも、それだったのか? あいつら、仲が良いからな……」

 みろくが情報を持っていたのなら、ナミに伝わっていてもおかしくない。

 そもそも、僕らは家も近い幼なじみなのだ。

 そして、昔からみろくとナミはとても馬が合うようだ。

 モテ体質同士って反発するんじゃないかとも思えるが、二人はとても仲が良かった。

 異性だから、気にならないのだろうか。

 ともかく、一人モテ体質でない僕が、二人と距離を置きたいと願うのも、無理のない話だということを理解してほしい。

 しかし、僕の想いを他所に、二人は非常に馴れ馴れしかった。

 それが鬱陶しかった。

 でも、本当は──。

 いや、考えていても仕方がないな。

 読書でもしよう。

 僕は思考を止め、机の上の出しておいた本を手に取り、授業が始まるまでの時間をいつも通り過ごすことにした。

 これで普段の生活に戻ってきたと思っていた。

 実際に、その後しばらくは何もなかった。

 誰も僕を訪ねてなど来ないし、誰かに狙われているような気配もない。

 部活動に勤しむ学生が教室に入ってはすぐに出て行き、真面目な学生が早めに登校しては僕のように自分の時間を過ごすという、普段通りの、普段と変わらない、普段の生活がそこにはあった。

 しかし、それも期限つきのものでしかなかったことを、僕は後で知ることとなる。

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