05−2
「ぎいちゃん!」
ナミの声が頭に響いてきた。
ゆっくりと目を開くと、涙を浮かべながら僕を見つめるナミの顔が映った。
「なんだよ、ナミ。うるさ──」
「ばかーーーーっ!」
ナミは叫びながら、僕にしがみついてきた。
「おい、ナミ、やめろ。苦しい」
どうやら僕は横になっているようだ。
場所は……生徒会室横の応接室、かな?
おそらくは、ソファーの上に横になっているのだろう。
体が異様に重たく、全く自由が効かない。
頭もぼーっとして働かない状態だった。
えっと、何があったんだったかな……?
意識がぼんやりとしている中、僕は状況を整理しようとした。
「全く……、無茶をしおる……」
ふいに天原さんの声が聞こえた。
視線だけその声の方へと動かすと、天原さんはふうと一息ついた。
「あんなことをするなんて、無茶にも程があるぞ、ナギどの。あの症状は、二度目、三度目と、回を重ねるごとに身体的にも色濃く影響が出てくると言ったじゃろう。最悪、死にも至ることがあるのじゃぞ? 全く……、もうこんなことはせんでくれよ……」
天原さんはそう言うと、後ろを向いてしまった。
「ほら、舞くん、無事だったんだから、もう泣き止みなって」
みろくの声だ。
その声の方へと視線を遣ると、みろくが舞の肩を撫でながら慰めている姿があった。
舞は、泣いているようだ。
声を殺して、泣いているようだった。
「で、でも……、私が……、私が手を……、つな……、繋ぎ止めて……、おけなかったから……………」
ああ、そうだった。
僕が舞の手を振り解いたんだった。
あの四方を囲まれて窮地に陥った後、握り締められていた舞の手を、僕が無理矢理に引き離したんだ。




