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05−1
「ナギさま」
男はようやく落ち着いた僕に、優しく語りかけてきた。
「ミナカさまより、幾つか伝言を預かっております」
伝言というより、遺言だよな。
「まず、あの日言ったように、必ず学校には行くように、とのことでございます」
わかってるよ、ちゃんと行ってる。
「次に、その前の日の晩、話したことを必ず実行するように、とのことでございます」
ああ、わかってる、わかってる、ちゃんとやっている。
約束した通りに、ちゃんと実行してる。
ていうか、あんなくだらない約束を遺言にするなよ。
「そして、最後に、────────とのことでございました」
ごめん、よく意味がわからない。
でもたぶん、それだけは守れていない。
本当にごめん……、兄さん…………。




