03−4
翌日も同じように学校に赴く。
だが、流石に一日も経てば、兄の話がクラス中に知れ渡っていた。
友人たちは気を遣い、僕に励ましの言葉をかけてくれた。
しかし、僕はその全てを拒否した。
全ての言葉を否定した。
誰の言葉にも耳を貸さなかった。
誰の励ましをも受け入れなかった。
ただ、そこに存在だけして、誰とも関わらないようにしていた。
ナミとみろくでさえ、例外ではなかった。
数日も経つと、ナミとみろく以外に、僕に話しかける者はいなくなった。
友人は一人、また一人と僕の元を離れていった。
これでいい。
もう僕と関わるのはやめてくれ。
もう、僕の大事な人にならないでくれ。
幼い頃に両親がいなくなったときは、離れて暮らしていた兄が戻ってきて、僕と一緒に暮らしてくれた。
兄のお陰で、僕は両親が居ない悲しさを感じずに済んだ。
兄が、僕の心の穴を埋めてくれていた。
でも、その兄も、もういない。
僕の大切な人は、みんないなくなる。
それも、僕のせいで、いなくなる。
兄だって、両親だって、僕のせいでいなくなったようなものだ。
兄は、僕の代わりに行くと言って、姿を消した。
両親も、僕が病に伏せって通院する最中に、事故で亡くなった。
誰も彼もが、僕のせいで消えてしまう。
だったら、誰も大切な人を作らなければいい。
僕の大切な人が僕のせいでいなくなるのなら、大切な人なんて作らなければいいんだ。
兄を失って、そんな穿った思いを僕は抱いていた。
その思いは、今もあまり変わってはいない。
誰も、僕の大切な人にならないでくれ。
もう、僕を悲しませないでくれ。
もう……、悲しむのは嫌だ……。
もう…………、誰も失いたくはないんだ…………。




