ミントの精霊魔法
新しい話になります
ミントのパーソナルカードを見せてもらった。
名前 ミント・ブロッサム
種族 人間・猿人族
年齢 16
身分 騎士
職種 魔術騎士見習い (契約精霊・白雷の精霊ヴェルス)
思いっきりお嬢様じゃん。
ミントって呼び捨てにしなくて良かった。
「魔術騎士のブロッサムさんは、どんな魔法が使えるんすか?」
「ザイツ君、やっぱり僕に興味津々なんだね?色んな魔法を使えるから期待してくれ給え。それと、これから一緒に旅をするんだからミントって呼んでも良いよ」
「それなら俺の事も、コウサでいいっすよ。ミントさん期待してるっす」
ミントで良いと言われたが呼び捨ては避けておく。
本人が良くても周りが不快に思う事もあるんだし。
結達を呼び捨てにしていたら、取り巻きの方々からブサメンの癖に調子に乗ってると言われた経験があるのだ。
「これから魔術騎士ミントの実力を見せてあげるよ」
ミントの親が、精霊魔法を覚えさせた理由が分かった。
「火のマナよ、ここに集結し敵を焼き尽くせ。ファイヤーボール」
スーパーボール大の火の玉がヘロヘロと飛んで来た。
まあ、確かに火の玉には間違いない。
ちなみに鉄の槍で叩き落とせた。
「冷気のマナよ。その冷気で敵を凍りつくせ。アイシクル」
ちょっと寒くなったので、ヒートハンドで温まった。
体感的には、クーラーが効きすぎてる近所のスーパーレベル。
「雷のマナよ、その閃光で敵を焼き尽くせ。サンダー」
雷が明後日の方向に飛んでいった。
魔法を見失ったので、威力の確認は出来ず。
「水のマナよ。奔流をもって敵を彼方に流せ。ウォーター 」
俺がずぶ濡れになった。
バラエティ番組では重宝すると思う。
「大気と火のマナよ。力を合わせて敵を弾け飛ばせ。ボム 」
爆竹レベルの爆発が起きた。
ゴミを漁りに来た野良猫を怪我させずに追い払えるかもしれない。
「どうだい?コウサ君、僕の魔法は?」
「分かったっすよ。ミントは剣術が得意なんすよね」
ミントが使った簡易魔法は、師匠の嫌がらせ魔法と違って、本来どれも強力な筈。
多分、ミントは魔法陣にうまく魔力を組み込めていないんだろう。
1人より2人、使えない魔法でも組み合わせれば戦略は広がる。
「コウサ君。よ、良くわかってくれたね。僕は騎士だから剣術の方が得意なんだよ。それに僕には精霊魔法がある」
どや顔で胸を張るミント。
ちなみに、ミントが胸を張っても視覚的には大きな変化は起きてない。
「今は使えないんすか?」
「精霊魔法は見世物じゃないんだよ。でも、どんな魔物でも一撃で黒焦げにしてみせるさ」
何でも精霊魔法は、精霊の機嫌を損ねると使えないらしい。
「まず、一緒に依頼をこなしてもらうっすよ」
依頼に出ていたのはジャイアントスパイダー、ビックスコーピオン、ニードルマウス、ヘルチェミチェ。
毒消し薬を持ってないから、ジャイアントスパイダーとビックスコーピオンは避けておく。
(ニードルマウスは針ネズミみたいな魔物か?しかし、ヘルチェミチェってなんだ?)
データボール参照 ヘルチェミチェ
ヘルチェミチェは直訳すると地獄亀虫になります。
辺り一帯を地獄の様にしてしまう巨大な亀虫なんですよ。
ちなみに亀虫を掃除機で吸い込むと大変な事になりますから気を付けて下さいね。
へルチェミチェも止めておこう。
無事に倒せても宿屋に泊まるのを拒否された意味がない。
残るはニードルマウスのみ。
俺の記憶が確かなら、針ネズミは臆病だった筈。
針ネズミはつぶらな瞳が愛らしくてペットとしても人気があるんだし。
ちなみに木の後ろから金色の髪が見え隠れしている。
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俺の記憶は確かだった筈…でも、ここは異世界オーディヌス。
(愛らしさが欠片もねえ!!つうか、目が怖すぎる)
確かニードルマウスは針ネズミだった。
でも、大きさが3メートル程あり、目も血走っている。
げっ歯類特有の可愛さも、ドブネズミみたいに写真には写らない美しさもない。
顔はアメリカの漫画に出てくる悪いネズミを彷彿させる。
「あれがニードルマウスだね。コウサイ君、見ていてくれよ。白雷の精霊よ、我に力を貸し給え…サンダーブレード!!」
白い雷が魔方陣を形成していく。
「まいどー、儲かってまっか?」
現れたのは関西弁を喋る真っ白な鯰。
丸眼鏡を掛けて文字通り鯰髭を生やしている。
(白雷の精霊って、電気鯰の精霊だったの?)
「ヴェルス様、僕に力を貸し下さい」
「これはこれはブロッサムの嬢ちゃんでしたか。あてが、儲かってまっかって言ったら、ぼちぼちでんなって返さなあかんで」
空中にフヨフヨ漂いながら、駄目出しをする白い電気鯰…シュール過ぎる。
「そんな事よりサンダーブレードをお願いします」
「そない慌てたら儲けを見逃しまっせ」
うん、どんな契約になってるのか詳しく知りたい。
「僕が生まれ変わるチャンスなんです!!」
「仕方あらへんの、嬢ちゃん行くでっ」
「「サンダーブレード」」
巨大な白い雷が地面に落ちた。
地面はまっ黒焦げ…ちなみにニードルマウスは無傷。
「あれ?ニードルマウスは無傷っすよ?」
「ニードルマウスを倒せなんて聞いてまへん」
確かにミントは精霊魔法を使いたいとは言っていたが、ニードルマウスには一言も触れていない。
「ミントさん、ミントさん。もう一回っすよ…ミントさん?」
ミントは何故か気絶していた。
「あー、魔力切れだっすな」
つまり、ミントは精霊魔法を使う度に気絶すると。
「敵を倒してないっすから無効っすよ。クーリングオフをするっす」
「あきまへん。契約をしてないお方と商売の話は出来まへんし1MPも負ける気はおまへん。ほな、さいなら」
精霊契約、世知辛過ぎっ。
「マジかよ…」
逃げるか、いやミントを負ぶって逃げるのは危険過ぎる。
それにミントが自信を無くして兼ねない=俺がシャイン様に見捨てられてしまう。
(あのでかさで丸まれたらやばすぎる…丸まれたら?)
「まずは鉄の槍にシールドボール」
そしてシールドボールをニードルマウスに向かって転がす。
シールドボールがニードルマウスにぶつかる直前に
「フラッシュ!!」
突然の光に驚いたニードルマウスはシールドボールを抱え込む様にして丸まった。
針ネズミは危険を感じると反射的に丸まるらしい。
そんでもってニードルマウスが違和感を感じる前に
「マジックキャンセル」
シールドボールを消して鉄の槍を剥き出しにする。
さらな
「もう一発、フラッシュ!!」
鉄の槍を抱え込んだまま、丸くなれば
針のない柔らかいお肉に槍が刺さる。
「ふぃー…シャイン様そこにいるんすよね?」
「う、うむ。ザイツ、見事であった」
恐らくシャイン様はミントの事が心配で着いて来たんだろう。
「ありがとうございます。シャイン様、ミントを負ぶってもらっても良いっすか?」
本来なら貴人に部下を背負わせるなんて失礼極まりない行動。
でも、シャイン様は無言でミントを負ぶってくれた。
シャイン様とミントは幼馴染みとの事。
ミントの無邪気で一生懸命な性格は貴族の闘争に疲れたシャイン様を癒してくれたらしい。
俺の読みは当たった…シャイン様はミントの事を好きだ。
「ミントが起きたら伝えて欲しいっす。俺達の戦い方が掴めたって」
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