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第九話:謎の新キャラと、限界を超える金色の修行

【謎の新キャラ設定資料】

万年斎まんねんさい

キャラ: 『スケベだけど超強い、重い甲羅を背負った伝説の鉄砲鍛冶』風。

宗次郎の愛刀『玄武』をかつて打ち上げた、伝説のアナログ・エンジニア(刀鍛冶)。なぜか常に巨大な亀の甲羅を背負っているが、本人は「体幹トレーニングじゃ」と言い張っている(実はただの重度の猫背)。

報酬は金ではなく、「ナウでヤングなギャルの最新浮世絵(フルカラー版)」。

口癖: 「パフパフ……いや、なんでもない」「お主、オーラが足りておらんぞ」「ワシの戦闘力は53万……の1000分の1じゃ」。


豊臣のグラムロック・ドライバー、前田慶次によって綺羅が連れ去られ、宗次郎の絶対防御『玄武』が砕け散った夜から数日。

 神堂宗次郎と、豊臣メガバンクを脱サラしたヘタレ足軽・クリノジの二人は、東海道の正規ルートから大きく外れ、鬱蒼と木々が茂る険しい山道を登っていた。

「ぜぇ……はぁ……宗次郎さん、マジでこの山に、その『甲羅のじいさん』いるんすか? 俺もう足が限界っす。アルファベットの最後の三文字(XYZ)くらい、もう後がない絶望的状況っすよ……」

 クリノジが、丸い頭から滝のような汗を流し、木の根にへたり込んだ。

「クリノジ、もう少しの辛抱です。ネット(風の噂)によれば、この山頂付近に、かつて私の『玄武』を打ってくれた伝説の鍛冶師がいるはず……」

 宗次郎も、息を切らしていた。十六丁の火縄銃というヘビーな武装に加え、砕けた玄武の破片をすべて袋に詰めて背負っているのだ。

 その時。

 頭上の巨大な岩の上から、ひどくスケベったらしい、もとい、仙人のような枯れた声が降ってきた。

「ほっほっほ。こんな山奥に、むさ苦しい男が二人とは。……最新のギャルの浮世絵でも持っておるのかね?」

「えっ?」

 宗次郎とクリノジが見上げると、そこにはなんと!

 謎の新キャラが現れた!!

 アロハシャツのような派手な柄の着物を羽織り、背中には自分の体よりも大きな「亀の甲羅」を背負った、サングラスの老人。伝説の刀鍛冶、万年斎まんねんさいである。

「ま、万年斎師匠! お久しぶりです、宗次郎です!」

「おお、宗次郎か。相変わらずポカポカした顔をしておるな。……ん? その背中の袋から、なんとも悲しい鉄の悲鳴が聞こえるのう」

 万年斎は、ひらりと岩から飛び降りると(着地の瞬間に「よっこらせ」と腰を叩いたが)、宗次郎の背負う布袋を指差した。

「……申し訳ありません。師匠が打ってくださった『玄武』を、私の未熟さゆえに、砕いてしまいました」

 宗次郎が深く頭を下げ、袋を開ける。

 粉々になった玄武の刀身と絡繰の残骸を見た瞬間、万年斎のサングラスの奥の目が、スッと細められた。

「……なるほど。相手はただの物理攻撃ではないな。音楽ビートに乗せた、凄まじい覇気……海を統べる王のような、あるいは破壊の神のような力で叩き割られたか」

「はい。私は、大切な人を守れませんでした」

 宗次郎の拳が、ギリッと強く握りしめられる。

「師匠。もう一度……この玄武を打ち直していただけないでしょうか。あの大坂の黄金の城を、すべて撃ち落とすために。どうしても、この盾が必要なのです」

 万年斎は、自分のあご髭を撫でながら、じっと宗次郎を見つめた。

「……直すのは造作もない。だがな、宗次郎。今のままのお主が直った玄武を持ったところで、また同じように砕かれるだけじゃぞ」

「え……?」

「お主の『銃闘術』は確かに天才的じゃ。じゃが、それに頼り切っておる。相手の攻撃を水のように受け流すのも限界がある。あの圧倒的な暴力に対抗するには、お主自身の『オーラ』を爆発させるしかないのじゃ」

 万年斎は、ビシッと宗次郎を指差した。

「怒りじゃ、宗次郎。穏やかなお主の奥底に眠る、大切なものを奪われた怒り。それを引き金にして限界を突破し、髪の毛が金色に逆立つような、最強の戦士(スーパーな戦国人)に覚醒するのじゃ!!」

「か、髪の毛が金色に……!?」

「ひぇぇっ! 宗次郎さん、それ完全に宇宙の帝王と戦う時のアレっすよ! 大丈夫なんすか!?」

 クリノジが丸い頭を抱えてツッコミを入れる。

「……髪が金色になるかは分かりませんが。やります。私に、その修行をつけてください」

 宗次郎の瞳に、夜叉の冷たい光と、静かな怒りの炎が宿った。

 消えない悲しみも、かつての戦の綻びも、この小さな手と笑顔があれば、それでよかったねと笑える気がした。

 だが、その笑顔を奪った理不尽だけは、絶対に許さない。

「よかろう。では修行開始じゃ! まずは……この山の下の牧場から、毎朝重い牛乳瓶の入った木箱を背負って、山頂まで配達してもらうぞい!」

「えっ? 牛乳配達ですか?」

「そうじゃ! もちろん、お主ら二人とも、ワシと同じこの重い『亀の甲羅』を背負ってな!」

 ドスンッ! ドスンッ!

 万年斎がどこから取り出したのか、宗次郎とクリノジの背中に、それぞれ数十キロはあろうかという巨大な甲羅が乗せられた。

「ぎゃああああっ! 重いっす! 潰れるっす!! なんで俺まで!?」

「クリノジ、お前も宗次郎の相棒なら、それくらい耐えんか! ちなみに修行が終わる頃には、お主の戦闘力もちょっとだけ上がるかもしれんぞ!」

「本当っすか!? じゃあ、気円斬(みたいな丸いカッター)とか投げられるようになるっすかね!?」

「それはお主の努力次第じゃな! ほっほっほ!」

 こうして、理不尽な世界を撃ち落とすための、アナログ極まる地獄の山籠り修行が始まった。

 毎日毎日、重い甲羅を背負っての牛乳配達。素手での畑仕事。崖っぷちでの瞑想。

 宗次郎の体は悲鳴を上げ、何度も心が折れそうになった。

 だが、目を閉じれば、黄金の駕籠に乗せられ、遠ざかっていく綺羅の寂しそうな笑顔が浮かぶ。

(……あたしの気持ちなんて、どうでもいいんです。伊達の会社が、お兄様が、宗次郎が、幸せでいてくれるなら)

「ふざけるな……っ!!」

 宗次郎は、重い甲羅を背負ったまま、崖の上で吼えた。

「誰かの居場所を奪い、あなたを身代わりにするような平和など!! 私は、絶対に認めない!!」

 ゴゴゴゴゴォォォッ……!!

 その時。

 宗次郎の全身から、凄まじい熱風が吹き荒れた。

 彼を取り巻く空気が陽炎のように揺らぎ、見えないはずの「気」が、黄金色のオーラとなって、宗次郎の体を包み込み始めたのだ。

「おお……! で、出たぞ! 限界を超えた、金色の闘気じゃ!!」

 万年斎が、サングラスをずらして驚嘆の声を上げた。

「す、すげぇ……! 宗次郎さんの髪の毛、さすがに金髪に逆立ったりはしてないっすけど、なんかオーラがチート級っす!!」

 クリノジも、丸い目を限界まで見開いている。

「はぁぁぁぁぁッ!!」

 宗次郎が、黄金のオーラを纏ったまま、腰の火縄銃を抜いた。

 弾丸は装填されていない。だが、彼は虚空に向かって引き金を引いた。

 ――カチッ。

 その瞬間。

 銃口から放たれたのは、鉛玉ではない。

 宗次郎の「黄金の闘気」が極限まで圧縮された、目に見えない『気弾』だった。

 ズドォォォォォンッ!!

 数百メートル先の巨大な岩山が、音もなく、見事に丸く抉り取られるように粉砕された。

「……これが、私の新しい力」

 宗次郎は、火縄銃の銃口から立ち昇る金色の煙を見つめた。

 物理的な弾丸を必要としない。自らの闘気を弾丸として撃ち出す、夜叉の真髄。

「見事じゃ、宗次郎。お主はついに、己の殻(甲羅)を破ったようじゃな。……よし、ワシも約束を果たそう」

 万年斎は、ニヤリと笑い、自らの工房へと向かった。

「お主のその『金色の闘気』を完全に制御し、さらに海賊王のような覇気を纏った攻撃すらも弾き返す、最強の盾。……『真・玄武しん・げんぶ』を、明日までに打ち上げてやるわい!」

 宗次郎は、深く、深く頭を下げた。

 消えない悲しみも、かつての戦の綻びも。すべてをこの新しい力で撃ち落とし、必ずあの笑顔を取り戻す。

 大坂城で待つ黄金の怪物よ、首を洗って待っていろ。

 限界を超えた「スーパーな戦士」となった宗次郎と、丸い友クリノジの、東海道逆襲編が、いよいよ始まる!!

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