第十四話:世紀末の暗殺拳と、百裂する黄金の気弾
【新キャラクター設定資料】
◆ 牙
キャラ: 『荒野のモヒカン軍団を束ねる、一子相伝の暗殺拳使い』風。
豊臣メガバンクの末端エリア(スラム街化した宿場町)を力で支配する、巨大なトゲトゲの肩パッドと見事なモヒカンがトレードマークの男。
人間の経絡秘孔を正確に突き、内部から相手のシステム(肉体)を破壊する、恐るべき古代の暗殺拳を操る。
愛機(武器): 己の剛腕と、鋼のように鍛え上げられた指先。
口癖: 「ヒャッハー! 水と食料とデータを置いていきな!」「俺の名を言ってみろォ!」「お前はもう、詰んでいる」。
東海道を西へ進む、神堂宗次郎たち一行。
幻術の森を抜け、次なる宿場町へと足を踏み入れた四人を待っていたのは、目を疑うような『世紀末』の光景だった。
「ヒャッハー!! 今日も豊臣のメガソーラー建設のために、強制労働だァ!!」
「水だ! 水をよこせェ!」
荒れ果てた荒野のような宿場町を、トゲトゲの肩パッドに身を包み、モヒカン頭にした柄の悪いならず者たちが、改造した荷車を乗り回して暴れ回っていた。
「な、なんだここは!? 俺の知ってる戦国時代と世界観が違いすぎるっす!!」
クリノジが、丸い頭を抱えて悲鳴を上げる。
「オーホッホッホ! なんてむさ苦しくて野蛮な殿方たちですの! わたくしの美しい縦ロール(ドリル)が汚れの空気に触れてしまいますわ!」
「兄貴ィ! あいつらの格好、完全に核の炎に包まれた後の世界観ですよ! コンプライアンス的にギリギリを攻めすぎです!」
タナカとカトリーヌが、宗次郎の背中に隠れながらツッコミを入れた。
「……豊臣の強引な開発で、人々の心が荒みきっているようですね」
宗次郎は、ポカポカとした笑顔の奥に、静かな怒りを滲ませていた。
「アァン? なんだてめェら。見ない顔だな」
その時。
ならず者たちを掻き分け、ひときわ巨大な男が姿を現した。
はち切れんばかりの筋肉に、巨大なトゲ付き肩パッド。そして、見事な赤色のモヒカン。この荒野の宿場町を支配するボス、牙である。
「俺は、豊臣メガバンクからこのエリアを任された世紀末覇者、牙だ! てめェら、通行料代わりに、その綺麗な女と、身ぐるみ全部置いていきなァ!」
「きゃあっ!? わ、わたくしの美貌が、こんな野蛮人に狙われるなんて!」
「カトリーヌさん、ドリルで突っついてやってくださいっす!」
「……彼女は私の仲間です。道端の石ころのように扱うのは、おやめなさい」
宗次郎が、静かに一歩前に出た。
「ギャハハハ! 穏やかなツラした優男が、俺に逆らう気か! 俺の『経絡秘孔』を突く無敵の暗殺拳の前に、てめェの命はもう、詰んでいるんだよォッ!!」
牙が、凄まじい踏み込みと共に、宗次郎の胸元に向けて鋭い貫手(指突き)を放った。
触れれば肉体が内部から爆発する、一子相伝の恐るべき暗殺拳。
「死にやがれェッ!! 秘孔・岩山両斬波ァァッ!!」
だが。
宗次郎は、まったく動じることなく、腰の『真・玄武』の柄に手をかけた。
――カキィィィィィンッ!!!!
宗次郎が鞘から刀を半ば引き抜いた瞬間。
『真・玄武』の刀身から、六角形の「光の盾」が瞬時に展開される。
「なっ!?」
牙の必殺の指突きが光の盾に激突した瞬間、バキィッ! という鈍い音と共に、牙の指が見事に突き指(粉砕骨折一歩手前)してしまった。
「あいたァァァッ!? お、俺の暗殺拳が、見えない壁に阻まれただと!?」
牙が、痛みに顔を歪めながら飛び退く。
「……人の急所を突く恐ろしい拳ですね。ですが、私の『気』の盾は、内部からの破壊すらもキャンセルします」
宗次郎がゆっくりと目を開く。
ゴゴゴゴォォォォッ!!
その瞬間、宗次郎の全身から、眩いばかりの『黄金のオーラ』が立ち昇り、世紀末の荒野を真昼のように明るく照らし出した。
「な、なんだこの圧倒的な闘気は!? て、てめェ、ただの侍じゃねェな! 名を言ってみろォ!」
牙が顔面を蒼白にして叫ぶ。
「私はただの、剣術指南役です。……ですが、奪われた笑顔を取り戻すためなら、スーパー戦国人にも夜叉にもなります」
宗次郎は、右手の人差し指と中指を揃え、まるで短筒のように牙へと向けた。
「……はぁぁぁぁッ!!」
宗次郎の指先から、限界まで圧縮された『金色の気弾』が、機関銃のような凄まじいスピードで連射された。
「あたたたたたたたたたたたたたっ!!」
――ズババババババババババッ!!!!
目に見えない黄金の気弾の百連射が、牙の巨大なトゲ付き肩パッド、モヒカンの先端、そして装甲だけを、ミリ単位の精度で次々と粉砕していく。
「あべしッ!! ひでぶッ!! たわばァァァッ!!?」
謎の断末魔(のような悲鳴)を上げながら、牙は全身の防具をすべて剥ぎ取られ、白目を剥いて地面にドサリと倒れ込んだ。
肉体へのダメージは一切ない。完璧なまでにコントロールされた、武装解除の『黄金の百裂気弾』である。
「お、お前はもう……」
タナカが、ゴクリと唾を呑み込んで、あの名台詞を期待する。
宗次郎は、黄金のオーラをスッと収め、倒れ伏す牙を見下ろして、ポカポカとした笑顔で言った。
「……お前はもう、眠っていますよ」
「す、すげぇ……! さすがスーパー戦国人! 兄貴のチート銃闘術、世紀末の暗殺拳すらも無傷で圧倒したっす!!」
「オーホッホッホ! 当然ですわ! これでこの町にも、優雅なティータイムが戻ってきますわね!」
クリノジ、タナカ、カトリーヌが、歓声を上げて宗次郎に駆け寄る。
「……行きましょう、皆さん。荒野の先に、まだ見ぬ強敵(ともと書いてライバルと読む奴ら)が待っているかもしれませんから」
圧倒的な力『真・玄武』と『黄金の闘気』を手に入れた夜叉の前に、世紀末のならず者すら敵ではない。
攫われた姫を救うための、カオスパーティーのチート無双ロード。次なる宿場町へと、彼らの足取りは力強く進んでいくのだった。




