第十三話:絶景のサイバー忍者と、すべてを吹き飛ばす黄金
【新キャラクター設定資料】
◆ 石川 五右衛門
キャラ: 『大泥棒にして天才ハッカー / サイバー忍者』風。
豊臣メガバンクの裏稼業(データ盗難や幻術による足止め)を請け負う、フリーランスのサイバー忍者。歌舞伎役者のような隈取メイクに、発光するネオン管が仕込まれたサイバーパンクな忍び装束を纏う。
愛機(武器): 『絶景ホログラム発生器』と『レーザー煙管』。
口癖: 「絶景かな、絶景かな!」「お前のデータ(記憶)、頂いていくぜ!」「幻術の迷宮に沈みな!」。
東海道・三河の国。
無傷の超戦国人・本多忠勝を退けた神堂宗次郎たち一行は、鬱蒼と茂る不気味な森の中を歩いていた。
「オーホッホッホ! なんですの、このジメジメした森は! わたくしの美しい縦ロール(ドリル)が湿気で崩れてしまいますわ!」
「兄貴ィ、ここ絶対ヤバいっすよ。俺の社畜の勘が『この先、サービス残業の匂い』って警告してます。引き返して、温泉宿でスローライフしませんか?」
「ひぇっ! 宗次郎さん、なんか周囲が急に白く霞んできたっす! まさか、また豊臣のヤバい刺客っすか!?」
文句を言うカトリーヌ、震えるタナカ、丸い頭を光らせて怯えるクリノジ。
カオスなパーティーの三人が騒ぎ立てる中、宗次郎は一人、ポカポカとした笑顔のまま、腰の『真・玄武』の柄に手を置いていた。
「……ええ。お迎えが来ているようですね」
宗次郎が呟いた瞬間。
辺りを覆っていた白い霧が、突如としてチカチカと不自然な『ノイズ』を放ち始めた。
木々が歪み、空の色が極彩色に反転し、森全体がまるで巨大な万華鏡の中に放り込まれたかのような、サイバーパンクな異空間へと変貌したのだ。
「絶景かな、絶景かなァ!!」
極彩色の空間の上空、ホログラムで投影された巨大な南禅寺の三門(のようなサイバー建築)の屋根の上に、一人の男が立っていた。
隈取メイクに、発光する忍び装束。手には煙を上げるレーザー煙管。
大泥棒にして天才ハッカー忍者、石川五右衛門である。
「豊臣メガバンクが誇る最凶のファイヤーウォール! この石川五右衛門の『絶景ホログラム迷宮』へようこそ、千銃の夜叉と、ゆかいな仲間たちよォ!」
「ほ、ホログラム!? 戦国時代にそんなオーバーテクノロジー、ありかよ!?」
タナカが現代の知識で的確にツッコミを入れる。
「ギャハハ! ここは俺がプログラムした幻の世界! てめェらの方向感覚も、五感も、すべて俺がハッキング(支配)したぜ! さあ、大坂へ行きたきゃ、この迷宮から抜け出してみなァ!」
五右衛門がレーザー煙管を振るうと、空間がグニャリと歪み、無数の『偽物の五右衛門(分身ホログラム)』が宗次郎たちを取り囲んだ。
「きゃあっ! なんですのこの無作法な忍びは! 早く最高級の紅茶を出しなさい!」
「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ! 分身の術とかマジで無理っす! XYZしてぇッ!」
パニックに陥るカトリーヌたちを背に、宗次郎は静かに息を吐いた。
「……なるほど。視覚や聴覚を完全に狂わせる、大掛かりな幻術ですね」
「おうよ! 夜叉、てめェのそのチート級のオーラも、当たらなきゃ意味がねェんだよ! 幻影に怯えながら、一生この森を彷徨い歩きなァ!!」
無数の五右衛門たちが、一斉にクナイ型のレーザーを投擲してくる。
「……当たらなければ、ですか。それなら、簡単なことです」
宗次郎は、迫り来るレーザーの雨を避けることすらしない。
「……はぁぁぁぁッ!!」
宗次郎が気合いを入れると、全身を包む金色の闘気が爆発的に膨れ上がった。
スーパー戦国人の、限界を超えたプレッシャー。
それは、一点の敵を狙う「銃弾」ではない。森全体を飲み込むような、圧倒的な「黄金の暴風」だった。
「なっ……!?」
五右衛門が目を見開いた。
ゴォォォォォォォォォォォォッ!!!!!
宗次郎の体から放たれた凄まじい黄金のオーラが、物理的な衝撃波となって森全体を吹き飛ばしたのだ。
ホログラムを投影していた不可視の絡繰も、幻術の霧も、極彩色の偽りの空間も。
すべてが、宗次郎の黄金の光の前に『力業(物理)』で一掃され、元の鬱蒼とした三河の森へと一瞬で戻ってしまった。
「バ、バカなァァッ!? 俺の最高傑作のホログラム迷宮が、オーラの風圧だけでデリートされただとォ!?」
屋根を失い、木の上から無様に転げ落ちる五右衛門。
「……幻を追う必要はありません。すべてを吹き飛ばせば、真実はそこにあるのですから」
宗次郎は、ポカポカとした笑顔のまま、尻餅をついている五右衛門の前に歩み寄った。
「ひぃっ! 待て、待ってくれ! データは渡す! パスワードも教えるからァッ!」
「……お引き取りください」
宗次郎は、指先から放つ見えない気弾を、五右衛門の腹部にポンッと軽く当てた。
ズドォォォォォンッ!!!
「絶景かなァァァァァッ!!?」
五右衛門は、自らの決め台詞と共に、遠く三河の空の彼方(星)へと吹き飛ばされていった。もちろん、命を奪わない峰打ち(気弾)である。
「す、すげぇ……! 迷路を解かずに、迷路ごと吹き飛ばすなんて! 兄貴の脳筋チート、マジで最高っす!!」
「オーホッホッホ! 当然ですわ! わたくしの見込んだ殿方ですもの!」
「宗次郎さん、一生ついていくっす! チェキラー!」
タナカ、カトリーヌ、クリノジの三人が、黄金のオーラを収めた宗次郎に駆け寄る。
「……行きましょう、皆さん。どんな迷宮や幻が立ち塞がろうとも、私の想いは揺らぎません。あの大坂の城へ、一直線に向かいます」
愛する姫を救うため、幻術をも物理で粉砕するスーパー戦国人の無双ロード。
カオスな四人の足取りは、ますます力強く、西へと進んでいくのだった。




