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第十二話:最強の超戦国人と、1000万戦国力の壁

本多ほんだ 忠勝ただかつ

キャラ: 『戦国一の超戦国人 / 荒ぶる猛牛の二本角ダブルホーン』風。

豊臣メガバンクが最強のセキュリティ(傭兵)として雇った、フリーランスの超武将。戦国史上、無傷の伝説を持つ文字通りの「超戦国人」。漆黒の甲冑に身を包み、悪魔的な猛牛のようなプロレスラーの身のこなしで大槍を振り回す。

愛機(武器): 『蜻蛉切とんぼぎり』。南蛮渡来の絡繰からくりスピーカーを積んだ、巨大な槍。

口癖: 「この体に傷をつけた者はいない」「俺の戦国力は1000万だ」「XYZどうにかしてみろよォ!」。


東海道・駿河するがの国で、転生社畜のタナカと悪役令嬢カトリーヌという、特大のノイズをパーティーに加えて数日。

 神堂宗次郎の一行は、駿河を越え、遠江とおとうみの国へと足を踏み入れていた。

「ぜぇ……はぁ……兄貴、マジでこのパーティー、時給発生しないんすか? 労基こうりょくも使えないし、ブラックすぎだろ……」

「オーホッホッホ! 殿方の行く大坂という場所には、わたくしのティータイムにふさわしい、最高級の茶器とマカロンはあって?」

「ひぇっ! 宗次郎さん、なんか社畜とドリル女のウザ絡みが、俺の戦国力せんごくりょくをじわじわ削ってくるっす! 宗次郎さんのスーパー戦国人の闘気で、どうにか(XYZ)してぇッ!!」

 クリノジが丸い頭を光らせて泣きつくと、宗次郎は相変わらずポカポカとした最強の笑顔で、「まあまあ、道端の石ころのように捨てられた者同士、見捨てるわけにはいきませんよ」と、荷物を運んであげていた。

 その時。

 一行の目の前、街道の両脇にそびえ立つ、巨大な『阿吽あうんの超戦国人石像』のようなものが、突如として動き出した。

「な、なんだァ!?」

 石像だと思っていたのは、全身に漆黒の甲冑を纏い、背中には巨大な『蜻蛉切とんぼぎり』の槍を担いだ、巨大な武将だった。

 そして何よりおでれぇたのは、その兜には、荒ぶる猛牛を彷彿とさせる巨大な「二本のダブルホーン」が、絡繰からくりで可動する形で装着されていたことだ。

「この体に、傷をつけた者はいない」

 超戦国人武将は、地を這うような低音で吼え、担いでいた蜻蛉切をドスン! と地に突き立てた。

「俺は、豊臣メガバンクが最強のセキュリティ(傭兵)として雇った、フリーランスの超戦国人――本多忠勝ほんだ ただかつだ!!」

「ほ、本多忠勝!? あの、戦国史上、無傷の伝説を持つ最強の男っすか!?」

 クリノジが顔面を蒼白にして叫ぶ。

「ほう。……奥州までその名が届いているとは、あっぱれだ。だがな、夜叉」

 忠勝は、漆黒の兜に装着された巨大な二本角を、絡繰で「キュイイイイイィィィンッ!!」と物々しい音を立てて前方に向けた。

「俺の超戦国力は、1000万をなめるなよ!!」

「ひぇぇっ! 1000万戦国力!? それって某悪魔的なプロレスラーの数値を10倍に盛ってごまかしてるだけじゃねぇかァァッ!! コンプライアンスは!? XYZどうにかならなかったなァ!!」

 クリノジが、重大な著作権侵害の可能性にツッコミを入れつつ、丸い頭を抱えてドン引きしている。

「……1000万の戦国力、ですか。それは……素晴らしいですね」

 宗次郎は、ポカポカとした笑顔のまま、ゆっくりと一歩を踏み出した。

「おっしゃー! 宗次郎さん、スーパー戦国人のチート銃闘術で、あんな鉄クズ、全力でやっつけちまうからなッ!!」

「……はい。ですが、あの方は道端の石ころではありません。最強の超戦国人です」

 宗次郎の瞳に、黄金の闘気が揺れた。

「……私の前で、武器を振り上げるのはおやめなさい。怪我をしますよ」

「ギャハハハ! 穏やかなやつだな! だが、俺の蜻蛉切ソウルにかかれば、どんな穏やかさも紙同然だぜェッ!! XYZどうにかしてみろよォ!!」

 忠勝は、蜻蛉切の槍を三味線のように掻き鳴らしながら振り上げた。

「俺の最強のアンコールを聴けッ!! 『猛牛・大旋風突進ブル・タイフーン・チャージォォッ!!』」

 忠勝の巨体が、凄まじい回転を伴いながら空中高くへと跳ね上がった。

 夕日を背に、巨大な二本角と蜻蛉切が、地獄の業火のように燃え盛る。息つく暇もない、秒間数十発の凶悪なプロレス技(槍術)の暴力。

「……はぁぁぁぁッ!!」

 宗次郎が気合いを入れると、全身を包む金色の闘気がさらに膨れ上がり、彼の髪の毛がフワッとオーラで持ち上がった。

「……あなたの音楽ビートは、少しうるさすぎますね」

 宗次郎は、腰の『真・玄武』の柄に手をかけた。

 ――カキィィィィィンッ!!!!

 宗次郎が鞘から刀を半ば引き抜いた瞬間。

 『真・玄武』の刀身から、圧縮されたチタン合金のような六角形の「光のフォースフィールド」が瞬時に展開されたのだ。

「なっ……!? 光の盾だと!?」

 忠勝の猛烈な回転突撃が光の盾に激突するが、火花を散らすことすらできず、自慢の巨大な二本角がボロボロに欠け飛んでいく。

「万年斎師匠の技術は、素晴らしいですね。……それに、私の『気』も、少しだけ溢れ出ているようです」

 宗次郎がゆっくりと目を開く。

 ゴゴゴゴォォォォッ!!

 その瞬間、宗次郎の全身から、眩いばかりの『黄金のオーラ』が立ち昇り、遠江の街道全体を真昼のように明るく照らし出した。

「な、なんだこの圧倒的なプレッシャー(威圧感)は!? 1000万戦国力の俺が、押されているだと!?」

 忠勝が、顔面を蒼白にして後ずさる。

 消えない悲しみも、かつての戦の綻びも、この小さな手と笑顔があれば、それでよかったねと笑える気がした。

 だからこそ、もう迷わない。

「……秀吉に伝えなさい」

 宗次郎は、黄金のオーラをスッと収め、再びポカポカとした笑顔に戻って歩き出した。

「……綺羅は、誰の身代わりにもさせない。伊達の会社も、私が守る。この千銃の夜叉が、大坂の黄金の城ごと、すべて撃ち落としに行くと」

 宗次郎は、至近距離から見えない気弾オーラ・バレットを忠勝の腹部に叩き込み、彼を遥か彼方の山肌まで吹き飛ばしてしまった。もちろん、命を奪わない峰打ち(気弾)である。

「す、すげぇ……! さすがスーパー戦国人! 宗次郎さん、マジでチート級の無双っす!!」

「あ、兄貴ィ! 一生ついていきます!!」

「キュン死に(死語)しそうですわーっ!」

 クリノジ、タナカ、カトリーヌが、それぞれ大興奮で歓声を上げる。

 圧倒的な力『真・玄武』と『黄金の闘気』を手に入れた夜叉の前に、もはや並の超戦国人は敵ではない。

 東海道・カオスパーティーのチート無双ロードが、今、本格的に幕を開けたのだ!

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