第十二話:最強の超戦国人と、1000万戦国力の壁
◆ 本多 忠勝
キャラ: 『戦国一の超戦国人 / 荒ぶる猛牛の二本角』風。
豊臣メガバンクが最強のセキュリティ(傭兵)として雇った、フリーランスの超武将。戦国史上、無傷の伝説を持つ文字通りの「超戦国人」。漆黒の甲冑に身を包み、悪魔的な猛牛のようなプロレスラーの身のこなしで大槍を振り回す。
愛機(武器): 『蜻蛉切』。南蛮渡来の絡繰スピーカーを積んだ、巨大な槍。
口癖: 「この体に傷をつけた者はいない」「俺の戦国力は1000万だ」「XYZしてみろよォ!」。
東海道・駿河の国で、転生社畜のタナカと悪役令嬢カトリーヌという、特大のノイズをパーティーに加えて数日。
神堂宗次郎の一行は、駿河を越え、遠江の国へと足を踏み入れていた。
「ぜぇ……はぁ……兄貴、マジでこのパーティー、時給発生しないんすか? 労基も使えないし、ブラックすぎだろ……」
「オーホッホッホ! 殿方の行く大坂という場所には、わたくしのティータイムにふさわしい、最高級の茶器とマカロンはあって?」
「ひぇっ! 宗次郎さん、なんか社畜とドリル女のウザ絡みが、俺の戦国力をじわじわ削ってくるっす! 宗次郎さんのスーパー戦国人の闘気で、どうにか(XYZ)してぇッ!!」
クリノジが丸い頭を光らせて泣きつくと、宗次郎は相変わらずポカポカとした最強の笑顔で、「まあまあ、道端の石ころのように捨てられた者同士、見捨てるわけにはいきませんよ」と、荷物を運んであげていた。
その時。
一行の目の前、街道の両脇にそびえ立つ、巨大な『阿吽の超戦国人石像』のようなものが、突如として動き出した。
「な、なんだァ!?」
石像だと思っていたのは、全身に漆黒の甲冑を纏い、背中には巨大な『蜻蛉切』の槍を担いだ、巨大な武将だった。
そして何よりおでれぇたのは、その兜には、荒ぶる猛牛を彷彿とさせる巨大な「二本の角」が、絡繰で可動する形で装着されていたことだ。
「この体に、傷をつけた者はいない」
超戦国人武将は、地を這うような低音で吼え、担いでいた蜻蛉切をドスン! と地に突き立てた。
「俺は、豊臣メガバンクが最強のセキュリティ(傭兵)として雇った、フリーランスの超戦国人――本多忠勝だ!!」
「ほ、本多忠勝!? あの、戦国史上、無傷の伝説を持つ最強の男っすか!?」
クリノジが顔面を蒼白にして叫ぶ。
「ほう。……奥州までその名が届いているとは、あっぱれだ。だがな、夜叉」
忠勝は、漆黒の兜に装着された巨大な二本角を、絡繰で「キュイイイイイィィィンッ!!」と物々しい音を立てて前方に向けた。
「俺の超戦国力は、1000万をなめるなよ!!」
「ひぇぇっ! 1000万戦国力!? それって某悪魔的なプロレスラーの数値を10倍に盛ってごまかしてるだけじゃねぇかァァッ!! コンプライアンスは!? XYZならなかったなァ!!」
クリノジが、重大な著作権侵害の可能性にツッコミを入れつつ、丸い頭を抱えてドン引きしている。
「……1000万の戦国力、ですか。それは……素晴らしいですね」
宗次郎は、ポカポカとした笑顔のまま、ゆっくりと一歩を踏み出した。
「おっしゃー! 宗次郎さん、スーパー戦国人のチート銃闘術で、あんな鉄クズ、全力でやっつけちまうからなッ!!」
「……はい。ですが、あの方は道端の石ころではありません。最強の超戦国人です」
宗次郎の瞳に、黄金の闘気が揺れた。
「……私の前で、武器を振り上げるのはおやめなさい。怪我をしますよ」
「ギャハハハ! 穏やかなやつだな! だが、俺の蜻蛉切にかかれば、どんな穏やかさも紙同然だぜェッ!! XYZしてみろよォ!!」
忠勝は、蜻蛉切の槍を三味線のように掻き鳴らしながら振り上げた。
「俺の最強のアンコールを聴けッ!! 『猛牛・大旋風突進ォォッ!!』」
忠勝の巨体が、凄まじい回転を伴いながら空中高くへと跳ね上がった。
夕日を背に、巨大な二本角と蜻蛉切が、地獄の業火のように燃え盛る。息つく暇もない、秒間数十発の凶悪なプロレス技(槍術)の暴力。
「……はぁぁぁぁッ!!」
宗次郎が気合いを入れると、全身を包む金色の闘気がさらに膨れ上がり、彼の髪の毛がフワッとオーラで持ち上がった。
「……あなたの音楽は、少しうるさすぎますね」
宗次郎は、腰の『真・玄武』の柄に手をかけた。
――カキィィィィィンッ!!!!
宗次郎が鞘から刀を半ば引き抜いた瞬間。
『真・玄武』の刀身から、圧縮されたチタン合金のような六角形の「光の盾」が瞬時に展開されたのだ。
「なっ……!? 光の盾だと!?」
忠勝の猛烈な回転突撃が光の盾に激突するが、火花を散らすことすらできず、自慢の巨大な二本角がボロボロに欠け飛んでいく。
「万年斎師匠の技術は、素晴らしいですね。……それに、私の『気』も、少しだけ溢れ出ているようです」
宗次郎がゆっくりと目を開く。
ゴゴゴゴォォォォッ!!
その瞬間、宗次郎の全身から、眩いばかりの『黄金のオーラ』が立ち昇り、遠江の街道全体を真昼のように明るく照らし出した。
「な、なんだこの圧倒的なプレッシャー(威圧感)は!? 1000万戦国力の俺が、押されているだと!?」
忠勝が、顔面を蒼白にして後ずさる。
消えない悲しみも、かつての戦の綻びも、この小さな手と笑顔があれば、それでよかったねと笑える気がした。
だからこそ、もう迷わない。
「……秀吉に伝えなさい」
宗次郎は、黄金のオーラをスッと収め、再びポカポカとした笑顔に戻って歩き出した。
「……綺羅は、誰の身代わりにもさせない。伊達の会社も、私が守る。この千銃の夜叉が、大坂の黄金の城ごと、すべて撃ち落としに行くと」
宗次郎は、至近距離から見えない気弾を忠勝の腹部に叩き込み、彼を遥か彼方の山肌まで吹き飛ばしてしまった。もちろん、命を奪わない峰打ち(気弾)である。
「す、すげぇ……! さすがスーパー戦国人! 宗次郎さん、マジでチート級の無双っす!!」
「あ、兄貴ィ! 一生ついていきます!!」
「キュン死に(死語)しそうですわーっ!」
クリノジ、タナカ、カトリーヌが、それぞれ大興奮で歓声を上げる。
圧倒的な力『真・玄武』と『黄金の闘気』を手に入れた夜叉の前に、もはや並の超戦国人は敵ではない。
東海道・カオスパーティーのチート無双ロードが、今、本格的に幕を開けたのだ!




