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第十一話:悪役令嬢と社畜転生者、東海道で黄金のチートに出会う

【新キャラクター設定資料】

◆ タナカ(Tanaka)

キャラ: 『現代日本からの転生者 / 限界ブラック企業の元・社畜』。

令和の日本で連日徹夜のサービス残業中、なぜかオフィスに突っ込んできた『謎の白い暴走馬車(2トントラックのような形)』に轢かれ、戦国時代に村人Aとして転生。

「異世界転生したなら、絶対にスローライフを送ってやる!」と固く誓っているが、運悪く豊臣メガバンクの地上げエリアにリスポーンしてしまった可哀想な男。

口癖: 「労基ろうきに駆け込みますよ!」「俺のスローライフ返して!」「残業代出ないいくさとかブラックすぎだろ!」。

◆ カトリーヌ・フォン・ドリル(Catherine)

キャラ: 『南蛮ヨーロッパから追放されたテンプレ悪役令嬢』。

祖国で王太子に「お前との婚約は破棄する!」とテンプレ通りに断罪され、船に乗せられて極東の島国(日本)の東海道・駿河の国までドンブラコと追放されてきた。

見事な金髪縦ロール(ドリル)と、場違いなフリフリのドレスを纏っている。プライドが高く高飛車だが、実は打たれ強くてチョロい。

口癖: 「オーホッホッホ!」「わたくしを誰だと思って?」「紅茶とマカロンをお持ちなさい!」。


東海道・駿河するがの国。

 美しい富士山を望むのどかな茶畑のど真ん中で、一人の男が頭を抱えて絶叫していた。

「なんでだよォォォッ!! 俺の異世界スローライフはどこ行ったんだよォォッ!!」

 男の名はタナカ。現代日本のブラック企業で命をすり減らしていた彼は、過労死の果てに謎の暴走馬車トラックに轢かれ、この戦国時代に転生してきたばかりのピカピカの村人Aである。

 田舎で農業でもしながらのんびり暮らそう……そう思っていた彼の目の前には今、柄の悪い豊臣メガバンクの地上げ屋(足軽)たちが五人も立ち塞がっていた。

「オラァ! この茶畑は今日から豊臣のメガソーラー(巨大な日時計)建設予定地だ! さっさと立ち退けや、小作農が!」

「ふざけないでください! 契約書もなしに強制立ち退きなんて、完全にコンプライアンス違反ですよ! 労基に駆け込みますからね!」

「あァ? 労基だァ? 秀吉様ドンの言葉が絶対の法律なんだよ!!」

 足軽たちが、タナカに向かって槍を振り上げた。

「ひぃぃっ! 転生初日でデッドエンド(過労死ならぬ物理死)!?」

 タナカが目をギュッと瞑った、その時だった。

「――オーホッホッホッホ!!」

 突如、茶畑に似つかわしくない、鼓膜をつんざくような高笑いが響き渡った。

「な、なんだぁ!?」

 足軽たちが振り返ると、そこには、目も眩むような金髪を巨大な縦ロール(ドリル)に巻き上げ、フリフリの南蛮ドレスを泥だらけにした少女が、扇子で口元を隠して立っていた。

 南蛮の国で婚約破棄され、極東の島国までドンブラコと追放されてきた悪役令嬢、カトリーヌである。

「下民ども! わたくしの優雅なティータイムの邪魔をして、万死に値しますわよ! さあ、すぐに最高級のダージリンティーとマカロンをここにお持ちなさい!」

「はぁ!? なんだこの南蛮のイカれたアマは! やっちまえ!!」

 悪役令嬢のあまりのウザ絡みに、足軽たちのターゲットがカトリーヌへと移る。

「きゃあっ!? わ、わたくしに武器を向けるなんて、お父様(公爵)に言いつけますわよ! 誰か、誰か助けなさい! イケメンの騎士ナイトはいなくって!?」

 さっきまでの高飛車な態度はどこへやら、カトリーヌはドレスの裾を踏んづけて見事にすっ転んだ。

「あーあ、二人まとめて豊臣のサビ残(サービス残業)の海に沈めてやらぁ!!」

 足軽たちの刃が、タナカとカトリーヌに迫る。

 もはやこれまで――異世界転生者と悪役令嬢が、出会って三分で同時にゲームオーバーを迎えようとした、まさにその瞬間。

 ――ズギャァァァァァァァァンッ!!!!!

 突如、富士山すらも霞むほどの『凄まじい黄金のオーラ』が、茶畑の横の街道から爆発するように立ち昇った。

「な、なんだこのチート級のプレッシャーは!?」

 タナカが、サラリーマン時代に社長から怒鳴られた時以上の威圧感に震え上がる。

「……私の前で、武器を振り上げるのはおやめなさい。怪我をしますよ」

 黄金の光の中から現れたのは、ポカポカとした笑顔を浮かべ、腰に漆黒の刀『真・玄武』を差した侍――神堂宗次郎だった。その後ろには、荷物を抱えた丸い頭のクリノジが隠れている。

「な、なんだてめぇは!」

「豊臣メガバンクの者ですね。……あなたたちの強引なTOB(買収)は、ここでキャンセルです」

 宗次郎が、ゆっくりと一歩を踏み出す。

「や、やっちまえ! 銃撃隊、構えェッ!」

 足軽たちが一斉に火縄銃を宗次郎に向けた。

 だが、今の宗次郎は、ただの防御特化の侍ではない。

 限界を超えた『スーパー戦国人』である。

「……はぁぁぁぁッ!!」

 宗次郎が気合いを入れると、全身を包む金色の闘気がさらに膨れ上がり、彼の髪の毛がフワッとオーラで持ち上がった。

 そして、一切の火縄銃を抜くことなく、右手の人差し指をピストルの形にして、足軽たちに向けた。

 ――カチッ。

 指先から放たれた、圧縮された『金色の気弾』。

 ズドォォォォォンッ!!!

「ぎゃあぁぁぁぁッ!?」

 目に見えないオーラの弾丸が、足軽たちの火縄銃を寸分狂わずピンポイントで粉砕し、その衝撃波だけで五人の足軽を茶畑の果てまで吹き飛ばしてしまった。

 もちろん、命に別状はない峰打ち(気弾)である。

「お、終わったっす! 宗次郎さん、今日もマジでノーモーション・チートっすね!」

 クリノジが、パチパチと拍手喝采を送る。

「……ありえない」

 タナカは開いた口が塞がらなかった。

(俺、ネット小説で読んだことあるぞ。あんなの、完全に『俺ツエエエ』の主人公キャラじゃないか! ってことは……この人にくっついていけば、絶対に死なないし、夢のスローライフ(寄生)が送れる!)

 タナカは、凄まじい土下座のスピードで宗次郎の足元に滑り込んだ。

「あ、兄貴ィ! 助けていただいてありがとうございます! 俺、タナカっていいます! どうか、俺を兄貴のパーティーに入れてください! 荷物持ちでもなんでもしますから!!」

「え、あ、いや……私は大坂へ、危ない戦いに行く途中なので……」

 宗次郎が苦笑いして断ろうとした、その時。

「す、すてき……♡」

 すっ転んでいたカトリーヌが、顔を真っ赤にして両手を胸の前で組んでいた。

 彼女の乙女ゲーム脳が激しく警鐘を鳴らしている。

(なんなの、この殿方……! 圧倒的な暴力チートを持っているのに、あんなに優しくて甘いマスク! 婚約破棄した王太子なんかより、よっぽど極上のハイスペック・イケメンですわ!)

「わ、わたくしはカトリーヌ・フォン・ドリル! お助けいただき、感謝いたしますわ!」

 カトリーヌは、泥だらけのドレスをはたきながら、モジモジと宗次郎にすり寄った。

「その……わたくしも、行くあてがありませんの! 殿方の行く大坂という場所まで、エスコートしてくださらない? もちろん、わたくしの美貌で、殿方の旅を彩って差し上げますわよ! オーホッホッホ!(チラッ)」

「ひぇっ! 宗次郎さん、なんか厄介そうな社畜と、すんごいドリルの女が絡んできたっすよ!」

 クリノジがドン引きしている。

「あはは……。まあ、道端の石ころのように捨てられた者同士、見捨てるわけにはいきませんね。大坂までは危険ですが、私の『真・玄武』で、あなたたちのこともお守りしましょう」

 宗次郎のポカポカとした最強の笑顔に、タナカ(社畜)は「一生ついていきます社長!」と涙を流し、カトリーヌ(悪役令嬢)は「キュン死に(死語)しそうですわーっ!」と鼻血を出しそうになっていた。

 攫われた姫(綺羅)を救うための、千銃の夜叉とヘタレ足軽の旅。

 そこに、無関係な『社畜転生者』と『悪役令嬢』という特大のノイズが加わり、一行は総勢四名の大所帯パーティーとなった。

 カオス極まるRPG道中記、大坂の黄金の城を目指して、いざゆかん!!

(第十一話 終わり)

次回予告(※嘘予告です)

オッス、オラ宗次郎!

いよいよ大坂まで辿り着いたと思ったら、おでれぇたぞ!

なんと、秀吉のやつが仕掛けた絡繰で、大坂城が変形して『人型決戦兵器・オオサカゲリオン』になっちまった!!

空まで届くようなデケェ図体して、黄金のビームまで撃ってくるなんて、反則だろ!

でも、オラの全身全霊の黄金オーラと、仲間たちの想いがあれば、あんな鉄クズ、全力でやっつけちまうからな!

次回、「激突! 汎用人型黄金城オオサカゲリオン発進!?」

みんな、絶対また見てくれよな!

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