第十話:クリノジの土下座謝罪会見と、真・玄武の咆哮
【新キャラクター設定資料】
◆ 島 左近
キャラ: 『豊臣メガバンクの最恐フィクサー / 冷酷なる借金取り』風。
石田三成(コンプライアンス厨)の右腕であり、現場で強引な取り立てや敵対的買収(物理)を行う裏社会の掃除屋。黒いストライプのダブルスーツの上に、肩当てなどの一部装甲だけを身につけている。
愛機(武器): 『大蛇』。刀身がキャタピラのように高速回転する、南蛮渡来の「絡繰式・チェーンソー型大太刀」。
口癖: 「これもコストカットだ」「不良債権は物理的に処理する」「三成様の稟議には逆らえねぇんでな」。
東海道を外れた深い山奥。伝説の鉄砲鍛冶・万年斎の工房の前で、神堂宗次郎が見守る中、一人の男が正座し、冷や汗を流しながら巻物を広げていた。
元・豊臣足軽のクリノジである。
「……えー、本日は、私の不適切な発言により、読者の皆様、並びに『原作者様』に多大なるご迷惑とショックをお与えしましたこと、深くお詫び申し上げます」
クリノジは、政治家のように目を泳がせ、声を聞き取りづらく震わせながら、巻物の文字を棒読みし始めた。
「以前におきまして、私が使用しました『気円斬』という言葉は……えー、某お寺の修行僧が使いそうな、円盤状の気場を投げる技という意味の『気○斬(伏字)』の、えー、重大な言い間違いでありました。訂正してお詫びいたします」
クリノジは、巻物を握りしめ、ツルツルの頭を少しだけ下げた。
「また、同じく使用しました『戦闘力』という言葉につきましても……えー、戦国時代における個人の総合的な影響力、武力、交渉力などを示す数値、すなわち『戦国力』の、これまた重大な言い間違いでありました。……遺憾の意を表明すると共に、ここに謹んで訂正いたします」
クリノジは、ペーパーを読み終えると、覚悟を決めたように巻物を置き、そのまま地面に両手をついた。
「……原作者様!! マジで、マジですいませんでしたっす!! 俺、ただの雑魚足軽で、ネットの世界の流行り言葉とか、よくわかんないで使っちゃったっす!! 原作者様がショックで『何チャラの極意』を発動しそうだなんて、俺、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ! XYZしてぇッ!!」
クリノジは、涙と鼻水を流しながら、誠心誠意の謝罪の心をもって、ツルツルの丸い頭を地面にガンッ! とぶつける勢いで土下座した。
「……ほっほっほ。クリノジ、お主の誠意は伝わったぞい。原作者様も、きっと銀色のオーラを鎮めてくださるはずじゃ。……ワシの戦国力は53万じゃ、というのも言い間違いじゃったからの。ほっほっほ」
万年斎が呆れ顔でフォローを入れる。
「……クリノジ。原作者様も、きっと許してくださいますよ。あなたの謝罪は、道端の石ころのように、誰かの心に響いたはずです」
宗次郎が、ポカポカとした笑顔で、クリノジの丸い頭を優しく撫でた。
「ひぇっ! 宗次郎さん、マジ優しいっす! 俺、もう二度と、法に触れるような言葉は使いませんっす!! 一生ついていくっす! チェキラー!」
***
クリノジの謝罪会見が無事に終わり、一行は改めて、万年斎から、打ち直された最強の盾を受け取った。
「宗次郎。お主の金色のオーラと、ワシの最新エンジニアリングが融合した、この世で最も硬く、最も優しい盾……『真・玄武』じゃ」
「はい。師匠。……綺羅を、必ず取り戻してきます」
宗次郎の瞳に、静かな、しかし確かな金色の炎が揺れた。
万年斎に別れを告げ、宗次郎とクリノジの二人は、再び東海道の正規ルートへと戻るべく、山を降りた。
***
数日後。東海道・箱根の宿場町。
関東と関西を繋ぐこの重要な交通の要所は、豊臣メガバンクの完全な支配下(ブラック企業化)に置かれていた。
「ギャァァァッ! お、お助けを! 通行税の八割なんて払えません!」
「うるせぇ。払えねぇなら、お前の店ごと『差し押さえ(スクラップ)』だ。これも豊臣のコストカットなんでな」
宿場町の中央で、冷酷な声が響き渡る。
黒いストライプスーツに肩装甲を纏った男、島左近だ。
彼の手には、刃が恐ろしいモーター音を立てて高速回転する『絡繰チェーンソー大太刀(大蛇)』が握られており、今まさに、宿場町の商人の店を真っ二つに切り裂こうと振り上げられていた。
「ひ、ひぃぃぃっ!」
商人が絶望して目を閉じた、その瞬間。
――ガァァァァァァンッ!!!
凄まじい金属の衝突音が響き、左近のチェーンソー大太刀が、見えない壁に弾かれたかのように大きく天を仰いだ。
「あァ? なんだ、てめぇは。不良債権の肩代わりか?」
左近が不機嫌そうに目を細める。
土煙の中から現れたのは、ポカポカとした笑顔を浮かべた侍、神堂宗次郎だった。その後ろの物陰には、クリノジがガタガタと震えながら隠れている。
「……ええ。理不尽な取り立てのキャンセル(物理)に伺いました」
「ほぅ。てめぇが『千銃の夜叉』か。……三成様から、見つけ次第デリートしろと稟議が下りてんだよ」
左近は凶悪な笑みを浮かべ、チェーンソーのアクセルを全開に吹かした。
「死にやがれェッ!! 借金取り立て(リクイデーション)・スラッシュォォッ!!」
左近の巨体が弾丸のように飛び出し、超高速回転する刃が宗次郎の脳天へと振り下ろされる。
だが、宗次郎は静かに、腰の『真・玄武』の柄に手をかけた。
――カキィィィィィンッ!!!!
宗次郎が鞘から刀を半ば引き抜いた瞬間。
『真・玄武』の刀身から、圧縮されたチタン合金のような六角形の「光の盾」が瞬時に展開されたのだ。
「なっ……!?」
左近のチェーンソーが、光の盾に触れた瞬間、火花を散らすことすらできず、刃がボロボロに欠け飛んでいく。
「万年斎師匠の技術は、素晴らしいですね。……それに、私の『気』も、少しだけ溢れ出ているようです」
宗次郎が、ゆっくりと目を開く。
ゴゴゴゴォォォォッ!!
その瞬間、宗次郎の全身から、眩いばかりの『黄金のオーラ』が立ち昇り、箱根の宿場町全体を真昼のように明るく照らし出した。
「な、なんだこの圧倒的なプレッシャー(威圧感)は!? データにねぇぞ、こんなバケモノ!!」
左近が顔面を蒼白にして後ずさる。
消えない悲しみも、かつての戦の綻びも、この小さな手と笑顔があれば、それでよかったねと笑える気がした。だからこそ、もう迷わない。
「不良債権の処理、でしたね。……お引き取りください」
宗次郎は、黄金のオーラを右手に集中させ、見えない気弾を左近の腹部に叩き込んだ。
ズドォォォォォォォォンッ!!!!!
「ガハァァァァッ!?」
左近の体は、くの字にへし折れ、宿場町の関所の門を三つほどぶち抜きながら、遥か彼方の山肌まで吹き飛ばされていった。もちろん、命を奪わない峰打ち(パワーコントロール)である。
「す、すげぇ……! さすがスーパーな戦国人! 宗次郎さん、マジでチート級の無双っす!!」
クリノジが、物陰から飛び出してきて目を輝かせた。
「……行きましょう、クリノジ。大坂の黄金の怪物は、まだずっと先です」
宗次郎は黄金のオーラをスッと収め、再びポカポカとした笑顔に戻って歩き出した。
圧倒的な力『真・玄武』と『黄金の闘気』を手に入れた夜叉の前に、もはや並の幹部は敵ではない。
囚われた綺羅を救うための、チート無双ロードが、今、本格的に幕を開けたのだ!




