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掌(てのひら)の熱が灯す色

作者:久遠 睦
事故で視力を失い、八年間「安全な檻」の中で生きてきた二十五歳の美緒 。意を決して訪れた梅田の雑踏で母とはぐれ、転倒した拍子に唯一の標べである白杖さえ失ってしまいます 。絶望的な闇と恐怖に震える彼女を救い上げたのは、大学生・陽翔の驚くほど温かな掌でした 。
「僕がちゃんと出口まで連れて行きますから」
対等な人間として接する彼の声と体温に、美緒の止まっていた時間は鮮やかに動き出します 。たとえ再び過酷な運命が視界を遮ろうとも、あの日の「掌の熱」が彼女に一歩を踏み出す勇気を与えてくれる――。喧騒の街で始まった、光を失った女性が愛する人の「色」を求めて再生してゆく、ひたむきで美しい愛の軌跡です。
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