勇者王決定戦 開始
「これならば、レッソさんも納得してくれますか?」クオトは淡々とだが確実に意図的に名前を間違える。
「だから、俺の名前はレッゾだって言ってんだろうが、別に納得してやってもいいが、一般人を気にしながら戦わなければならないのは変わってねえじゃねえか」レッゾは不満げに言った。
「レッゾさんは優しいんですね、」ローザンテは少し諦念を帯びた声で独特の間を開けながら言った。
「は?どこがだよ」少し、動揺したようにレッゾは問う。
「このルールになったところで、ほかの勇者全員殺せば、何人の一般人を殺してもその人が勇者です。でも戦い方にはある程度の幅や知略の巡らしどころがあったほうが面白いじゃないですか?単純な殴り合いより、リソースゲームのほうが好きなんですよ僕。」先ほどまでの感情のない凍った泉のような声とは対照的に、荒々しい滝のような悪魔的な抑揚で、澄んだ湖のような青い瞳を眼鏡の奥で光らせながらクオトは言った。
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「私はそのルールで構わないけれど、一つだけ提案させてくれないからしら?」少しニヒルな笑みを浮かべながらローザンテは聞いた。
「どんな提案なんです?」そのルールで構わないと言われた時よりも、ひとつ提案をさせてほしいと言われた時に、笑顔を浮かべるクオト。
「ポイントの譲渡を認めてほしいのよ」
「なるほどそれはありだ、いや確かに、できる限り無益な争いを避けるという大義名分で成り立つこの戦いにおいて、ポイントの譲渡はなくてはならないルールです」
「そうなのよ、このルールだとポイントが多い勇者は当たり前だけど、上級以上の魔族を多く殺している可能性が高いわけだから魔族にも狙われる、そして勇者にも狙われるわけじゃない、そんな危険な状態になりえるのならポイントを破棄したいという状況だって当たり前に起こりうる。そうするとポイントを破棄する方法がこのルールだと二つしかないのよ、、、」みなまで言わなくてもわかるだろうという表情でローザンテは笑顔を消して品は良いがどこか悲しさを孕んだ、それでも、どこか演技じみてもいる表情で言った。
「どういう意味ですか?」モルトは純粋無垢な曇り気のない眼差しでクオトに向かって聞いた。
「ひとつは簡単です、事実上のポイントレースからのリタイア、ポイントの偽造を自己申告すれば100000マイナスでポイントを破棄できます。そしてもう一つは一般人を自分の下げたいポイント分殺すことです。」
「は?」レッゾは少し怒気を孕んだ声をクオトに向かって飛ばした。
「僕が今まで言ったルールだと一般人をを殺すことで、10ポイントずつの調整が可能なんですよ」
「あなたこれを分かっていてあのルールを押し通そうとしたんですか?」モルトははっきりとレッゾ以上に怒りを孕んだ、否正義感を孕んだ表情で言った。
「まさか、僕のケアレスミスです。申し訳ありません。一般人をできる限り殺したくないというのは本心ですので」顔の前で右の手を横にスライドさせながらクオトは言った。これが本心なのかはわからない、でもクオトの表情は今まで通り無味無臭の水のような感じで読み取ることができない。
「では、反対意見やルールの訂正や補足などを、したい方はいらっしゃいますか?」クオトはそんな疑念などは鼻から気にせず進行にもどる。モルトは周りを360度見渡すがそこに手をあげる者はいない。正直モルト自身も悔しいが一般人が巻き込まれて戦争が起こるくらいなら、このルールのほうがましだと感じていた。
「ではこれで、決まりましたね!わかりやすいように僕の電子魔術でまとめておきますね、あと始まった後ほかの勇者が何ポイント持っているかなども、フェアにランキングとして表示しておきます。魔力を注げばいつでも見られるのでお好きな時にどうぞ!通話とかもできるようにしとくので!」クオトはそういうと指をパチンと鳴らした。すると、勇者たちの視界に水の水滴のようなエフェクトが出て、それらが文字の形を形成し始めた。
ルール1 上級魔族を殺したら10ポイント、魔王軍四天王を殺したら、1000ポイント、魔王を殺したら10000ポイントただし、勇者以外の人類をころしたら、その数だけマイナス10ポイント
ルール2 虚偽の申告や申告漏れをした場合、マイナス100000ポイント、それを指摘した勇者にプラス1000ポイント
ルール3 ポイントの譲渡が可能
ルール4 平和となった瞬間において、生き残っている中で一番多くのポイントを持っていたものが真の勇者
ルール5 だが最後まで生き残った者が、真の勇者
「そういえば、この戦い名前はどうします?できればシンプルなのがいいですね」クオトは思い出したように言った。
「んなもん適当でいいだろう、勇者王決定戦とかでいいんじゃねえか?」本当に思いついたままのことをレッゾは言った。
「いいですね、馬鹿っぽくて」
「殺すは~魔族より先にお前最初に殺すは~あーマジ切れた」レッゾはギャルみたいな言い方で言った。
「別にあなたを馬鹿にしているのではなく、本当にいいと思ったから言ったんですよ。僕みたいな胡散臭い奴が素直に褒めたら、嘘っぽいじゃないですか」自覚あったのか、とほかの四人は感じた。
「ではこれより、勇者王決定戦を開始いたします」淡々とクオトは告げた。




