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不条理のクソったれ。

作者: ダニエル

食物連鎖という言葉がある、大嫌いな言葉だ。

私が他を殺し、他が私を殺し、奪い、与え、食う、代えの効かぬ命というものが当たり前に失われ、その現実を受け止めるしか無く、あまつさえそれがたった一言、食物連鎖というただの言葉で片付けられる、何なんだこの世界は。これは野生に住む動物達の事だが、人間という種族も同様だ。これと言った理由もなく生み堕とされ、生が苦しく死にたくても、死を手に入れるには、痛み苦しむ事が強制されている。逆に生が幸せに満ち溢れていて、ずっとこの生を感じていたいと願っても、時が経てば必ず死は訪れる。どんなに頑張っても結果は出ず、私より頑張っていない者達が結果を出し、最も嫌う者が、最も愛する者を傷つける。私は日本に住んでいる、街の治安もとても良い、犯罪に巻き込まれた事も、見知らぬ誰かに傷つけられた事もない、だが私が産まれた場所は、一般的、普通、というものが無かった、周りは、私には無いものを持つ者達で溢れかえっている、私が夢に描く様な日々を、当たり前に過ごす者達で溢れかえっている、まず憧れる、次に妬む、そして絶望する、私には決して手に入らないものだからだ。私の好きな漫画にはこんな言葉がある、「君は地獄に居た、その地獄が、君を正しく育てたんだ」という言葉だ、地獄にいる私には響いた、だがそれと同時に、現実の中で語られた言葉では無いという事に気付く、その言葉を掛けた者も、その言葉を掛けられた者も、特別な力、能力があり、明晰な頭脳と、己の正しさを信じ突き通す力を持っている、私にはそのどれも無い。確かに、私より貧しく、私より痛みと苦しみを日常で感じ、絶望という深淵の湖に、頭から爪先まで身を浸す者達は、この世界に五万と居るだろう、その事実を理解した上で、この世界が齎す不条理が、私を絶望させる、そんな世界で何を見出し、何の為に生きれば良いのだ、ある者は言った、「人生で最も重要な日を二つ挙げるなら、それは生まれた日と、生まれた意味が分かった日だ」と、私は思う、いつ生まれた意味が分かるのか、最後まで分からなかったら、結局何の為に生まれたのか分からず死んでゆくのかと、そんな人生に意味はあるのか、こんな事を絶えず考えても答えは出ない。私には理想がある、夢の様な世界だ、どんな人間も、どんな動物も、どんな植物も、どんな昆虫も、どんな惑星も、どんな善も、どんな悪も、その世界では等しく幸せだ、痛み苦しむ事も無く、嘆き悲しむ事も無い、退屈や暇といった時間は無く、常に幸せを感じている、そんな世界を頭の中で思い描き、奇跡が起こると信じても、この世界、現実が変わる気配は毛ほどもない。「あはははははっ、あぁ、、、なんて不条理で、、クソったれな世界なんだ」。

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