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お誕生日会でも自重しません By保護者

--シル--

さぁ、出発だ!

と思ったら、ギルドからの依頼でこの今いる町を治めている貴族の娘ちゃんの誕生日会に出席してくれってことで出発はストップされた。

どうやら、怪しい奴が紛れ込んでるらしいのでさりげなく紛れ込んでそいつを始末してくれってことらしい。


・・まぁ、普通におめでとうと言うつもりだけどプレゼントのついでにゴミ掃除をするだけよゴミ掃除。

なぁんか、双子ちゃんが野生の勘で物語でよくある定番の順序なんてガン無視して速攻で見つけちゃいそうな気もするけど気にしない。



とりあえず、会場の屋敷には入った。

時間はちょうど10分前くらい、理想的ね。



「ねぇ、場所は突き当たりの大扉でよかったのよね?」

「はい。おっしゃる通りですが・・いかがなさいましたか?」

つい数分前に同じことを教えてくれた門番に改めて尋ねると不思議そうな表情で首をかしげながら聞かれた。

「あっちの庭?に幼女に言い寄ってるデブがいるんだけどあれ・・客?」

「はぁ?・・・!?」

私が指さした方を見ると青い髪の幼女(双子ちゃんより若干上くらい)と、その子よりやや年上と思われるメイドちゃんの背に庇われ、

そして、ゲスイ表情で言い寄ってるデブのおっさんがいる。

「あの野郎・・報告ありがとうございます・・速攻対処いたします。」

「とりあえず・・あれ・・敵?」

「敵・・と言いますか、ここ数か月の間にこの町を拠点にし出した商会の長ですね・・。品ぞろえは良いのですが態度と選民意識が最悪で・・こちらも悩みの種ですよ・・。」

相当悔しそうな顔になって言ってる・・。


なるほど

「じゃあ、ちょっと私が始末してくるわ。」

「え?・・ですが、あんなのでもどこかの国の子爵家で結構広い範囲で顔が効くらしいので冤罪をかけてあなた様に何を吹っかけてくるかわかりませんよ?」

かなり私のことを心配してくれてるのを見るとこの家は問題ないわね。

というより、始末することに関しては止めない時点で内心がよく見えるわ。


にこりと微笑みながら、私の儀礼剣を見えるように腰から抜いてひらひら動かす。

「まぁ、大丈夫よそんな小物。相手にならないわ。」


「えと・・拝見させていただきま・・・・すぅ!?」

で、初めて儀礼剣を見せてもらうらしい門番はただのダガー?と思いつつ眺めていたと思ったら上位貴族の証だと頭が理解した瞬間フリーズ。


貴族の証として、大きくコインタイプと儀礼剣タイプがある。

男爵・子爵・伯爵の3つまでがコインで、残りの

侯爵・公爵が儀礼剣


細かく分けると、

男爵の証として銀色のコイン

子爵と伯爵が金色のコイン

そして侯爵と公爵が儀礼剣と呼ばれる切れ味皆無で金の装飾がされた銀色のダガーの見た目をしているがデザインとしては非常にシンプルで通常よりも一回りほど小さいサイズになっている。


通称銀色のコイン持ちが下級貴族

金色のコイン持ちが中級貴族

そして儀礼剣が上位貴族の証となっている。


そのどれも各家系ごとに決まっている家紋が刻印されており、持つことを許された人のみが所持しているというわけ。


ちなみに王族だと、上位貴族の証である儀礼剣よりも全体的に銀より金の割合が多く、デザインが豪華で1周り大きいのよ。



「どうした・・・・え・・マジか。」

「まぁ、とりあえずそういうわけでちょっとやそっとでやられないからそいつ始末してくるわ。」

「ありがとうございます・・」



とりあえず、平民であろうメイドちゃんは顔を少々青くしつつも頑張って庇っており、その背に庇われているお嬢ちゃんも顔色を悪くしつつも頑張って立ち向かっている姿に関心する。

ただ、お嬢ちゃん、両手でダガーを握っていざというときは心臓を突き刺そうという感じで構えようとするのはやめようね?

気骨があってよろしいが後が色々と面倒だから。

スタスタスタとわざと足音を立てて歩き、そのデブが私に気付くとゲスイ表情を私に向けて近づいてきた。

「ほぅ、なかなか良いじゃないkぅぁ!?」

「うっさいのよ。気色悪いから黙れ。」

喋りたくないのとうるさいのと視線の先がキモイので問答無用で股間を割と本気で蹴り上げた。

内股で地面に転がった状態で悶絶してる状況を見てお嬢ちゃんがぽかんとした表情でデブと私を視線で交互に見ており(ダガーは構えたまま)、メイドちゃんは満面の笑みでガッツポーズ。

ちなみに、騎士を筆頭とした男性陣は引きつった表情で内股になってる・・悪いことしなければそこ(男性の象徴)を蹴り上げたりしないから安心しなさい。


・・なかなか良い性格をしてるメイドちゃんである・・面白い。

それと双子ちゃんは、その辺で拾った木の枝でそのデブをつんつんしないの。

ばっちぃでしょ。

「ってか、見苦しいのよ。どけ」

みぞおちに再度蹴りを入れてどける。

「ガハッ!?い、いきなり何をする!!何様のつもりだ!!」

体重は100とかあるんじゃないかというくらいブックブクにデブだったけど割とガチ蹴りしたらいい感じに吹っ飛んでいった光景を見てお嬢ちゃんとメイドちゃんが驚いた表情で私の足を見てる。

ここでようやくメイドちゃんはお嬢ちゃんがダガーを構えているのに気づいて慌てて取り上げてる。

で、誰がどう見ても、すらっとした10~20代女性の脚よ。

よく双子ちゃんが枕にしてスリスリしてるわよ(かわいいから撫でまわしてるけど)

「少なくとも数日の内には存在しなくなるんだから・・失せろ。」

我が家の儀礼剣とそれに刻印されている家紋を目に見えるように見せながら顎をハイキックで蹴り上げ、そのまま後頭部を後ろ回し蹴りで蹴り飛ばす。

そしてそのまま吹っ飛んでいき、数メートルほど先で私の家紋を見て顔を青ざめながらフリーズしながら意識を飛ばした。


ちなみに、お嬢ちゃんはぽかんとした表情のままだったが、メイドちゃんはお目目をキラキラさせて拍手している。

うむ、ありがとう。


「終わったわよ。とりあえず、それ外に捨てといて。」

手の空いていた騎士数名が慌てて私のもとに駆け寄ってきたのでゴミ掃除を頼んだら満面の笑みで答えてくれた。

で、双子ちゃんはそのデブの額にちょっとやそっとでは消えないペンで「押すなよ?⇒○」と落書きしていた。

・・まぁ、良いか。

誰も気にしてないし・・割と面白いネタだったので後で褒めておいた。

ちなみに、のちにそれを見た多くの人たちがその丸を押したくてたまらなくて、でも触ったらダメという地味なジレンマに襲われて大変だったとか(笑)


「お任せください!」

「感謝します!」

「さすがですね。」

騎士たち大変いい笑顔である。

ちなみに、近くにいた他のメイドや執事たちも音が出ない程度に拍手をしている。

一部は、良い蹴りでしたとか素晴らしい脚だとかどういう意味でとらえればいいのか判断に困るセリフが聞こえた気がするけどリアクションに困るから気のせいにする。

・・どうやら、相当な悩みの種だったらしい、そのうるさい肉団子は。

「ところで、数日の内には存在しなくなるとは?」

「私のお父様とお母様はすごく手の早い人たちでねぇ・・どこからともかく今回の件を聞きつけて裏で始末してると思うのよね・・我ながらうちの両親・・私のこと溺愛するから・・」

「・・・・あぁ」

「あぁ・・・」

「なるほど。確かにいなくなりますね。」

「自分に娘がいたとしたら確かにそうなりますね・・しかもこんなに美人だったら特に」

遠い目をしながらそう呟くと何か察したらしく納得してくれたらしく全員がそれはそれは深く頷いていた。

・・かわいがってもらって、そして大事にされるのはうれしいけどねぇ・・何事もほどほどが一番とはよく言ったものよ。



後日、そいつは不正があったとか恨まれた正攻法の仕返しとかで貴族社会から強制的に追い出され、平民になったそうな。(詳細は不明)

そして、そいつが経営している商会は長であるそいつがクビになったことで、以前お世話になったあの商会のじいさんが買収したらしくそのまま首が挿げ替えられて終わっただけらしいわよ。

おかげでじいさんの商会としてのランクが上がっただけでスタッフの態度等はじいさんの指摘や指導によってスパルタで直され、ついでに直らない連中は全員罰金付きで首にするほどの徹底的な対応で忌み嫌われる商会としては完全に消失したようよ。


でも、ギルドの兄ちゃんが言ってた件と、あの肉団子は無関係のようね。

ちらっと双子ちゃんを見てみるとじぃっと屋敷のとある方向を見つめている。

ちなみにそこはただの壁である。


どうやらそこにいるやつらしいのと、そこ以外に興味を示してないから単独撃破で終わらせられそうね。


「あの・・ところでずっと気にしないようにしておりましたが・・その足元の大量の猫は一体・・」

相も変わらず双子ちゃん効果で猫でいっぱいである。

「双子ちゃんは野良猫ホイホイだから気にしないで。悪さはしないから。」

「は、はぁ・・・」

困惑した顔でこっちを見てるけどこっちもそれ以外言いようがないし。

けど、悪さをしないのはホント。

ちなみに、お嬢ちゃんは嬉々として集まるにゃんこの群れを撫でまわしてるわよ。

・・のちに、数匹ほどこの屋敷で飼われるようになるのは余談。



「で、会場に向かう前で、シチュエーションもへったくれもないけど、お嬢ちゃんの誕生日プレゼント、ここで渡してもいい?」

「え?・・え、えぇ、構いませんが・・」

お嬢ちゃん専属メイドらしい、さっきまでお嬢ちゃんをかばってたメイドちゃんがなぜか困惑した表情で私にそう答える。

「どうしたの?」

「え・・えぇっと・・今更で恐縮ですがギルドより護衛としてこちらにいらしてくださったのですよね?」

「そうよ?」

「・・その話を聞いたのは、いつ頃ですか?」

「確か3日くらい前だったと思うわよ?」

全員「・・・」

なぜか全員絶句した表情。

3日でプレゼントを用意出来たスピードに驚かれたのかしら?

「ん?何か問題あった?まぁ、ラッピングも何もしてないから現物そのままで渡す感じになるから申し訳ないけど。」

「い、いえ・・そういうわけではなく・・その・・」

「あぁもう、じれったいわね。はっきり言いなさいよ。」

苦笑しながら執事のじいさんがやってきて答えてくれた。

「こちらの者たちが申し訳ありません。私は、この屋敷の執事長を務めております。ムトンと申します。」

「よろしく、で?」

「本来・・と申しますか、護衛がわざわざ誕生日プレゼントを用意することはないのですよ。それも、ギルドから依頼された方でしたら特に。」

「そういうもの?主役に何かしらプレゼントしないと逆に失礼じゃないの?」

「・・お気持ちはわかりますが、通常でしたらギルドから依頼を受けた冒険者は決まって平民であることがほとんどです。貴族相手にプレゼントを用意するとなるとこういっては失礼ですが安物か、野蛮なものになるので気を使って用意しないことが普通なのです。」

たまに、討伐した魔物の骨とか鱗とかをダイレクトに持ってくる奴がいるらしい。

討伐した魔物の種類によってはきれいかもしれないけど、確かにチョイス次第では逆におびえられるんじゃないかしら?

しかも相手が幼女なら特に。

ちなみに双子ちゃんの場合は一切無反応だったし、興味対象は食えるものだけだったからそれ以外はどんなに高価なものでも売ってお金になると理解してもらうまでは全部ゴミ扱いだったわよ。

そのことをギルドで話したら近くで聞いていた冒険者一同が悲鳴を上げてたけど。

「そういうものなのね。冒険者としてこういうのに参加したことなかったから知らなかったわ。」

「貴族として参加する場合とだいぶ異なりますからね・・。ですが、私の個人的な意見ですがどんなに安物でも気持ちがこもっていればとてもうれしく思いますよ。」

「ありがとう。ちょっと言った通りラッピングする暇がなかったから現物そのままになるけどいい?」

「はい。構いませんよ。」

執事のじいさんがちらっとお嬢ちゃんに視線を向けるとお嬢ちゃんもうんうんと強く頷いてる。

「とりあえず、まずこれ。」

「これは・・アルカンシエル国の学園で使用されている教科書3冊セット・・ですね。・・しかも本物」

たまに実家で作ってるのと偽って売ってるのが混ざってるときがあるらしい。

「次にこれ」

「・・一見地味なローブですが、れっきとしたブランド物で防具としても優秀なお忍びの際に使う貴族が多いものですね。」

一見真っ黒なローブだけど肌触りは良いし、よくよく見ると柄もないシンプルなものだけど割と私はこれ好きよ?

「次にこれ」

「・・・3年は予約しても手に入るまでに時間がかかると言われる万年筆。」

使い勝手もいいし、さりげない装飾もすごくおしゃれで眺めてるだけでも楽しいわよ。

「最後にこれ」

「・・・一見ただの鉄扇ですが、魔法を使う際に杖代わりに使用することにも向いているものですね。」

「私からはとりあえずこのくらいで。」

「え・・まだあるのですか?・・これだけでもかなりのものですが・・。」

後に教えてもらうけど普通に渡すプレゼントは金貨、2桁届かない程度のを1つだけらしいわ。

「気にしない気にしない。」

まず教科書は、私の実家が生産元で手元にそれなりの数があるからただだし、

そのローブも人助けのついでにお礼にってもらったけど誰も使わないから手元に余ってたやつだし、

万年筆は双子ちゃんが何となくで発見した薬草の組み合わせによる表彰でもらったやつで、双子ちゃんいらないらしいから余り物だし。

ちなみに、きちんと用意しようとしたらどれも金貨が2桁はかかるくらいお高いものだけど。

後、その鉄扇だけど魔法の杖の役もこなしてくれる物だけど、私が青空教室をしてた時に参加してた連中全員が手持ちのお金を集めて用意してくれたもので、実は私たちにというわけではなく今回の誕生日会に参加することを伝えたら私が用意したという扱いでこれをプレゼントして欲しいということで預かったものよ。

どうやら、この町に住んでおり、この町を治めている貴族のご息女であるお嬢ちゃんに今後の自衛もかねて使ってくれたらうれしいということで用意したらしい。

実はその鉄扇に小さく紙片を潜り込ませて誰が用意したか書いておいたから後で執事のじいさんなら気づいてくれるはずよ。

デザインも男女どちらが持っていてもおかしくなく、どの年齢の子が使っていても違和感がないようなシンプルなのよ。

白を基準とした淡い色合いで蔦で縁取りされたような柄をしてるわよ。

殴ってよし

魔法の杖代わりに込めてよし

広げて相手を切り裂いてよし

相手の攻撃を受け流すバックラーにしてよし

そして懐に忍び込ませて武器と思わせないようにするのにもよしななかなか使い勝手がいいものよ。


「で、こっちは双子ちゃんが用意したものだから大目に見て頂戴。」

「え?・・・そんなに幼い子たちがわざわざ用意したのですか?」

目を見開いて驚いてる執事のじいさん。

どうやら素直に感動して涙腺が緩みかけてるらしい。

「で、これよ。」

「これは・・・・よく用意出来ましたね・・。」

「やっぱり、その葉っぱ有名なの?双子ちゃんがどこからともなく拾ってきたんだけど。」

「え、えぇ・・こちらは実用性のないただの観葉植物の一種で、花も咲かないタダの葉・・一般的には多肉植物と呼ばれる一種になりますが、時期と気温と天気、周囲の環境によって色が変化することが有名でこの種専用の研究者もいるのですが色の種類があまりにも多すぎて未だにどの組み合わせでどの色になるか判明してない品ですよ・・。」

「ね・・ねぇ・・ムトン・・これ・・珍しいものなの?」

お嬢ちゃんが恐る恐る訪ねてきた。

瞳はとても興味深そうで、少なくともこの品を気に入ってくれてるようでよかった。

「えぇ・・先ほど説明した通り花を咲かせない植物ですが色の変化が多種多様で、通称飽きることを忘れ去られた植物です。」

「へぇ・・面白そう。」

「それに、こちらは育て方も簡単で手間がほとんどかかりませんし、数を増やそうと思えば割と簡単に増えますよ。」

「私でもできる?」

「えぇ。とても簡単です。・・ですが、こちら・・いざ探そうとするとなかなか見つからない希少性が非常に高く、用意しようと依頼すれば金貨が100枚は軽くかかるのに加え、用意できたとしてもボロボロだったり枯れかけていたりと状態があまりよくないことの方がほとんどでこれほど状態の良いものを用意しようとすると倍は軽くかかりますよ。」

育てやすく増やしやすいのに見つからない不思議な植物なのね。

全員「・・・」

そういわれても双子ちゃんがどこからともなく拾ってきたからタダなのよね。

「趣味で育てたり増やしてもいいし、勉強代わりに毎日の観察日記をつけてもいいわよ。数年後にその日記を資料としてまとめたらそれを研究してる連中に見せたら喜んで大金を積んで表彰してくるんじゃない?」

「確かにありえそうですね。ですが、そういうことは気にせずに勉学の一種として観察日記をつけてみませんか?」

「絵と天気とか日付とかも一緒に書く?」

「そうですね。その時の状況や色、サイズなども詳しく書いておくと、数年後に比較してみると面白いですよ。」

「・・・おもしろそう。」

意外とハマる人はハマるらしいわね、そういうの。

この子もそういうの好きそうね。

「ちなみに、それだけじゃないのよね。」

「この植木鉢ですか?」

「そう。」

見た目は、普通の植木鉢をくるりと巻き付くように猫が寝そべっている見た目をしてる。

「これも貰い物なんだけど、まず普通の植木鉢部分は、その日の天気で色を変えるらしいわ。」

「ほう・・それは便利ですね。」

「で、その日が暑いか寒いかで色は濃くなったり淡くなったりするわ。」

「なるほど・・」

「で、周りにいる猫だけど、日ごとにランダムに柄と表情と色が変わるわ。」

「え・・・魔道具ですか?」

魔法を付与した特殊な道具のことよ。

割とどれも高いわ。

「そうね・・。ただ、作者曰く遊びで作っただけで色を変えるだけで何の役にも立たないらしいわ。色とかの発生パターンは全く決まってないくせに種類が3桁を超えてるからどういう色のどういう柄のどういう表情に猫が変わるか作者も覚えてないらしいけど。」

「それは‥すごいと思うのですが・・」

「ねぇ?けど、2つ目を作る気にはならないめんどいってことでもらったのよ。」

「なるほど・・。それと、植木鉢の中に転がっている石は一体・・・」

「それも、双子ちゃんの拾い物。元々は色付きガラスだったらしいけど川の中で削れて角が削れて、周囲の魔力を吸い込んだから魔石のなりそこないになってるそうよ。」

「それはかなりすごいものなのでは?」

「でも、魔力がこもってるというよりしみついてる程度で運用には一切役に立たないレベルでほんのりってだけよ?しかもただの色付きガラスだから使い道がないからほんとにただきれいな小石もどき。」

「なるほど・・。とりあえず、どちらも有り難くいただきます。」

「どうしても実用性を優先させちゃってせいで面白みがないかもしれないから申し訳ないけどね。」

「いえ。どの品もお嬢様の将来のことを考えてくださったのかと思うとこれほど価値のあるものはありませんよ。それに正直に言わせていただきますと、実用性皆無の品は他の方面からやってくるので場所を無駄にとるだけで置き場所と扱いに困っております。お嬢様もそういうものは嫌いではないのですがそれほど好む方でもありませんので。」

「あぁ・・そういうこと。ついでに言うとあげた教科書ね。興味のあるタイプの辞書とか図鑑も一緒に使うようにすればもっと詳しくわかるわよ。もともとそういう風に作ったからそれは。」

「なるほど・・アルカンシエル国の教科書は初めて拝見しましたので初めて知りました・・ん?作った?」

「あぁ、気にしない気にしない。」

「・・・・・そうですね。」

なんとなく私の正体に気付いたらしく執事のじいさんの目が私は絶対に敵に回したらダメだと言ってる。

・・まぁ、気にしないで良いわね。



「とりあえず、会場に行く?」

「そうですね。これらの品はありがたくお嬢様の将来のために使わせていただきます。」

「お、お姉さん!ありがとうございます!大事に使います。」

「えぇ。頑張ってね。何かあればこの町のでかい商会のじいさんを訪ねればいいわ。私の知り合いって言えばどうにかなるから。」

「はい!」

「シル様は、マルシャン商会の商会長とお知り合いでしたか?」

執事のじいさんが興味深そうにそう尋ねる。

ちなみに、他の連中は何故か私に恐縮して会話は出来てもぎこちないので基本執事のじいさんが会話相手である。

「ん?・・あぁ、あの爺さんね。この町に来た時にちょっと知り合いになったのよ。一応実家の方と契約はあるけど会うのはこの町が初ね。」

「そうだったのですね。・・やはり、その衣装はそこからでしたか。」

「あら、知ってたの?」

「えぇ。この辺り一帯で実践を重視したブランド物を扱う場所はあちらしか存在しませんから。」

「確かにあそこ以外はどこも無駄な装飾と効果にしか力を注がないものね。」

なんで、あっちこっちにフリフリをつけたり宝石をくっつけたりキラキラギラギラにしたり、

良い香りのする効果を付与したり、歩くたびに花びらが周囲に散らばったり光の粉がキラキラ散らばる魔法を付与するというものすごく無駄なものばっかり付与しようとするのかしらね?

ガチで魔法の無駄遣いじゃないのよ。

そんなのを追求するのは劇団員だけよ。


そんな私の意見は全員が同意見だったらしく深く頷いている。

お嬢ちゃんも頷いてるところを見る限り、見た目よりも使い勝手を優先するタイプのようね。

「ところで、お連れのお子様はどちらへ?」

「は?・・・・・!?」

バッ!と近くを見ると双子ちゃんがいない。

にゃんこたちはきちんと私についてきてるけど・・。


「つい数秒前までここにいたわよね!?」

「・・確かにいましたね。・・その数秒で姿を消すとは・・隠密の申し子か何かですか?」

「・・世間一般では人の姿をした野良猫と呼ばれてるわ。」

「ものすごく納得しました。」

苦笑しつつ納得顔してる一同である。


で、少し遠くから女性の怒鳴り声が聞こえた。

「ちょっとぉ!?なんで、すぐそこにいるのに!動きも早くないのに捕まえられないのよ!!あんたたちも頑張って捕まえなさいよ!?」

「無理っすよ!?さっきから全力で頑張ってるのに!すぐ目の前にいて手の届くところにいるのに捕まんないんすよ!」

「何なのこの子たち!?ほら!野生動物なんでしょ!あんたも捕まえなさいよ!」

「やだよ。さっきそのお前らに追い出されたし、害はないんだから捕まえる必要ないだろ・・・めんどくせぇ。」

「その最後のセリフが本音ね!?」



全員「・・・・」

「いましたね。」

「はぁ・・・あの子たちは本当にもう・・」

頭を抱えているとお嬢ちゃんが頭を撫でてくれる・・ありがと・・とりあえずお礼代わりに抱きしめて私の胸に埋めておく。

お嬢ちゃんが顔を赤くしつつも幸せそうで意識が飛びかけてるけど窒息してるわけじゃなさそうだから気にしない。


「ところで・・大丈夫なのでしょうか?」

「はっ!そうですよ!シル様!あんな幼い子を寄ってたかって大人が取り囲んでる時点で色々危ないですよ!」

騎士の1人が慌ててる。

その気持ちは嬉しいけどねぇ。

「あぁ・・・大丈夫よ。・・あの子たちは絶対に捕まえられないわ。」

「・・と言いますと?」

「とりあえず、家の子たち回収してくるから・・ついてきてみればわかるわ」

「はぁ・・」



で、ようやく屋敷に足を踏み入れるかと思いきや謎の怒鳴り声?コメディ?の気配のする門まで戻ると

双子ちゃんを取り囲む男女混合の計70人メンバー全員が双子ちゃんを捕まえようと奮闘している光景だった。

しかし、全員が軽やかな双子ちゃんによって全部かすりもせずに躱され、体力切れによって地面に転がってたりフラフラしながらそれでも頑張って捕まえようとしてる光景だった。

その中で1名、若干困惑してるような感心してるような表情をしてどこかすっきりした表情をした暗めの黄銅色の毛並みにワインレッドの瞳の狼?の獣人がいた。


全員「・・・」

「何と言いますか・・見事な回避術ですね。」

苦笑いする騎士1名のセリフに全員が頷く。

「実際訓練代わりに毎日現役冒険者どもと鬼ごっことかかくれんぼとかしてんだけど、50人前後VS双子ちゃんで」

「あの・・人数がおかしくないですか?圧倒的にお子さん方が不利では?」

「目の前の光景を見ても同じこと言える?」

「・・・・それだけ人数をそろえても圧勝しちゃうんですね。」

「そういうこと。むしろあの子たち、思い切り遊んでるつもりで弄んでるわ。本気でやるなら既に気配を消して私のところに戻ってきてるもの」

「なるほど。先ほどかくれんぼも圧勝とおっしゃってましたね。それなら全員を搔い潜って抜け出すのも容易ですか。」


「後でお時間があれば、我々の鍛錬代わりにかくれんぼと鬼ごっこをさせていただいても?」

「報酬は頑張りますので。」

「良いわよ。と言ってもあの子たちに直接交渉して頂戴。報酬もいらないわ、こっちもメリットあるし。」

「ありがとうございます。」

「・・・とりあえず、あの場を治めますか。」

「そうね。双子ちゃんのおかげで全員抵抗する気力も体力も尽きてるっぽいから対処も楽そうだし。」

「・・そうですね。」



で、何で双子ちゃんはいきなり鬼ごっこしてるの?

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