双子ちゃんは不思議ちゃん
長い間お待たせしました。
亀投稿ですが一応ちまちま進めてはいます・・・。
--シル--
双子ちゃんの名前とステータスが判明し、謎がさらに増えた。
それはさておき・・。
本音を言わせてもらえれば置いておきたくないけど、頑張っておいておく。
・・・この子たち、ホントにどんだけ食べるんだろう?
ステータスも見せてもらったからあの食べてる直後から目で見てわかる速度で肌や髪がつやつやになっていく理由は分かったのは良いとして・・。
ステータスを確認・・というか、ギルドで冒険者登録をしてから実は3日は経過してるのよ。
で、養生ということもあって街中を観光という名目でお散歩してリハビリしつつ食べ歩きをメインにしてたのよね。
そのたびに、片っ端から全てのメニューを全部頼んで全部完食するを繰り返してる。
まぁ・・私も結構食べる方だし、この子たちとは違うけど似たようなスキル持ってるから大食いだったりするからあまり人のこと言えないけど。
で、お店をはしごするのは当たり前でそれと追加して自分たちで狩りしたのを焼いて食べたりもしてる有様。
それで、見た目はすっかりバサバサだったりがガサガサだったりボロボロだったりしたのは皆無となり、つやつやプルプルのどこからどう見ても箱入り双子で大事に大事に育てられたお貴族様としか言えないくらいになった。
だから食溜め出来るのを除けば見た目相応の量しか食べられなくなってるはずなんだけどなぁ・・・。
ちなみに、最近の私のお気に入りの行動は、双子ちゃんを膝に乗せて私の胸に埋めつつ、ほっぺをムニムニすること。
そこで、双子ちゃんが恐る恐る甘えてくるところもまたかっわいいのよ!
特にどのくらいなら甘えてもいいのかこちらの顔色を窺いながら恐る恐るスリスリしたりするところとか!
・・本当ならこのくらいの子ならそんなにこっちの顔色を窺わずに抱き着いてきてもおかしくないんだから。
私はこの子たちに普通の年相応の喜怒哀楽や、家族愛を知って欲しいだけ・・だからこの子たちの笑顔を曇らせる疑いのあるやつらは誰であろうとも・・・消し炭にしてやる。
で、話は戻して・・
というのに、なぁんで私の両手を広げてギリギリ届くくらいの大きな大皿に山盛りになっていたはずの料理が2皿もこの子たちの前で空っぽになってるんだろう?
・・私もそれを完食させてる時点であまり人のことは言えないけど。
無理して完食しなくていいことは言ってるし、だいぶこの子たちの表情を見抜くことにも慣れてきたから、無理してないのは確認済み。
だって・・この子たちものすっごく無表情なのに加えて、人には必ず存在する癖が全くないから見抜くポイントがほんっとに難しいのよ。
まぁ、そんなところがクールな印象に見えて余計に野良猫を相手にしてる気分になるんだけど。(かわいいから問題なし)
それにこの子たちはこの子たちなりに、食べることの楽しさを見つけてるようでうれしそうだから無理しない範囲で楽しませてあげたいから好きなようにさせてる。
おかげで、この町で私たちがお店に入るとスタッフ側は戦闘前と言いたくなるくらい身構えるようになった。
あ、お金に関しては心配無用よ?
この町付近でやたらと賞金首だの山賊だのAランク以上の魔物だのが潜んでたりと討伐依頼が多かったから全部始末しておいたから。
その道中で助けてあげたのが偶然金持ちがやたらと固まってたせいで、報酬金とは別でお金くれたし。
もちろん報酬金とは別で賞金首の分のお金ももらえたし、そいつらをどうにかして欲しいという依頼が調査依頼だったりという違う形で実は多くあったらしくその関連の依頼が結果として全部解決したからその分の報酬金とか、
依頼主から別途お礼が来たりして結構稼げたし。
後は、私たちを絵にしたいから描かせてくれって絵師がやってきたから描かせてあげてその報酬金ももらったりとまぁ・・なんかいろいろあった。(人数は結構いたわよ)
そして、教会にも行ったわ。
当然、建物に入った瞬間全員から跪いて祈りを捧げられたわ。
当然私もセットで。
とりあえず、私同様自由に行動はしたいけど面倒な馬鹿どもへの対処を無理しない範囲で頼んでおいた。
そしたら、速攻でOKしてもらえた。(むしろ何か要望があるかやってほしいことを求められた)
まぁ、その依頼金としてなぜか握手を求められたけど。(それ以外は不要と言われたので事実上タダ)
双子ちゃんの場合、人見知りというか警戒心が強いから握手なんてまともなスキンシップは当然拒否というかスルーしてたので、結果として握手どころかお手だったけどされた側はそれで良いらしい・・というよりその態度がクールでつれない野良猫のようで好評だった。(気持ちはわかるし、私も時々お手させてるし)
で、今は何をしてるかというと・・
「んで、君らのおすすめはどれだ?」
((メニューよりいくつか指をさす))
「それらか・・それか、頼んだことなかったなそれ・・じゃあそれらを頼むことにするわ。サンキューなちびっ子たち。」
((コクリ))
しゃれた居酒屋的な下町の食堂という感じのところで食事をとっており、なぜか見た目もごつくて顔立ちもかなりの強面のおっさん(見た目30歳くらい)と双子ちゃんたちが大して会話もしてないというのに仲良くなり、双子ちゃんのおすすめの品を聞いている。
まぁ、もともとはよく食べるなって楽しそうに声かけてきて、それに対して頷くだけの双子ちゃんに興味を持ったらしく軽く私と世間話とかこの辺りのここ最近の噂話とかの情報を教えてくれた後、さっきの会話をしておっさんは足取り軽く去っていった。
見た目はかなり強面で多分大抵の人は近づくこともためらうんじゃないかって感じの人だった。
最初は、私目当てに近づいてきた下種なやつかと思ったけど、そんなことはなくすごく軽く世間話して、むしろ私と双子ちゃんという若い女性と子供だけという組み合わせに心配して気をつけろと、注意する場所とかを教えてくれるすごく良い人だった。
ちなみに、双子ちゃんチョイスの品々は実際に頼んだおっさんが気に入り、そのリアクションに周囲の人も頼み、同じく気に入り・・という感じでそのお店の代表作という感じで今後よく売れるようになったのは余談。
後、そのおっさん、この町では有名なAランク冒険者でいじめや脅迫とかをするような馬鹿どもを〆てまわったり下級ランクの冒険者たちにアドバイスをしたりと下級冒険者たちのフォローをしてる人らしい。
実際、良い人だとわかったのも私も長年の経験と勘もあったけど、双子ちゃんたちが距離を取らずに普通にやり取りをしていたことで確定したのもあるし。
この子たちの良い人悪い人を見抜く力は正直びっくりするほどの精度だ。
街中を見て回りながらさりげなくこの子たちの様子を見ていたらすっと距離を取った人は軽く調べてみたら全員悪い人と言える連中だった(どのくらい悪いかの度合いは除く)
とりあえずは、悪い人に騙されて連れ去られる心配はないようで安心した。
それと、買い物というより観光って感じであちこちのお店を見て回っていた時なんだけど。
この子たちにお店から外に出なければ好きに見て回っていいよと言ったとき・・。
私は私でちょっとほしいものがあり、購入していた時に
「あ、あの・・」
支払いとかを対応してくれていたお嬢ちゃんがすごく恐る恐る私に声をかけてきた。
「どうしたの?」
「えぇっと・・お連れのお子様が・・・」
と言いながらちらちらと私の後ろ・・ではなく斜め上をチラ見している。
「んー・・・・・ん?」
見てもよくわからないことになっていた。
双子ちゃんたちは、壁に直立不動状態で立っており、そこから壁に掛けられている絵画を眺めている。
全員「・・・」
その場にいた人全員が首を双子ちゃんと同じ角度で傾けた状態でフリーズしている。
双子ちゃんはというと、満足したらしくそのまま壁を歩いていき、天井にぶら下がっているシャンデリアを天井に立ってジィっと眺めている。
当然のように双子ちゃんは私たちから見るとさかさまに立っている。
全員「・・・」
そのあと双子ちゃんは何ごともなかったかのように壁を伝って地面まで歩いて戻ってきて展示品を眺めていた。
うん・・そういうスキルを持ってたから理屈はわかるんだけど・・頭が理解できない・・というかこの子たち自由過ぎない?
あぁ・・間違いなくこの子たち野良猫だわ。
あのスキル名は、【猫の肉球】だったけど、確か自由気ままな行動とか神出鬼没とかそういうにゃんこを彷彿とさせる行動関連のことを”猫の足跡”と呼ぶ地域が確かあったはず。
間違いなくそれだわ・・すごく納得したわ。
「あぁ・・物は壊してないし、騒いでないし、壁も天井も汚してないみたいだから大丈夫よ。」
あの子たちきちんと靴の汚れを渡した浄化の指輪を使ってきれいにしてから壁と天井を歩いてるみたいだし。
世間一般の常識としても騒いだり他人の物を壊したり迷惑になるなってあるけど、壁と天井を歩くなってルールはないもの。
問題ない問題なし。
「え、えぇっと・・・そういう問題なのでしょうか?」
「かわいいから良いのよ。」
かわいいは正義、つまりはかわいいんだからたとえ、屁理屈だったとしても許されるのよ。
それを脂ぎったおっさんがしてたら速攻で蹴り飛ばしてるはずだし。
「・・なるほど。人ではなく妖精さんか天使と思えば良いんですね?」
「よくわかってるじゃない。」
なんか思考放棄したような顔で言ってるけど、まさにそのとおりよ。
自由気ままな所を踏まえると妖精さんと言った方が正しい気がするし。
なので、あの子たちは妖精さんだから普通の人間のルールに縛られる存在じゃないのよ。
ちなみにこの行動は、その後、教会でも双子ちゃんはしてたわよ。
ステンドグラスとか壁画とか、壁や柱に描かれている彫刻が気になって近くで見たかったみたい。
怒られなかったかって?
問題なかったわよ。
汚したわけでも壊したわけでもないし、その作品とかを踏んでたわけでもなくきちんと避けて通ってたしむしろ全員から拝まれてたから。
まぁ、翼や輪っかは普段は隠してるんですか?って真顔で質問する人が増えたけど、そんなこと知らないわよ。
お風呂で丸洗いしたけど少なくともなかったけど。
むしろ、私としては猫耳と猫しっぽが生えててもおかしくないのにどこにも生えてないほうが不思議でたまらないんだから。
そっちも同じくついてなかった・・なぜ。
だからと言って、双子ちゃんが天使か妖精ならシル様は女神さまですねと真顔で言わないでほしいし、わかるわかるって感じでうんうんと頷かないでほしい。(双子ちゃんもそうなのかと納得しないでよろしい)
話は軽く逸れるけど、依頼で1日猫を数匹預かる依頼をしてたんだけど、その時・・行動パターンが全く同じだったし、猫と謎の声なき会話をしてたみたいだし一緒に混ぜてても違和感なかったし。
途中猫耳バンドをつけてみたら似合いすぎて外し忘れるということがあったけど。(双子ちゃんもつけっぱなしでスルーしてたし)
猫の方も双子ちゃんのことを同族扱いしてる雰囲気で、警戒心ゼロだったし。(私は敵ではない程度だった)
後日、飼い主が猫を引き取りに来た時、双子ちゃんを見て「あれ?家の猫って人の姿に変身出来たっけなぁ?」と本気で悩んでたし、一応人だと説明したけど、最後までものすごく疑り深かった。
でも、一言言うとすれば、大変眼福だったから時々猫耳を双子ちゃんには着けることにした。
当然寝るときのパジャマは猫耳パジャマ一択に決まってるわね。
で、この子たちの【神童】スキルの検証で色々と教え込んでみた。
私の母国の関係で、いくつかの楽器の扱い方と楽譜の見方と読み方、そしてドレミとかまぁ音楽系ね。
他にも、色々と広範囲のことが書かれている本をいくつか渡してみた。
そうしたら、そのほとんどを習得したっぽい。
・・・この子たち、ガチでやばすぎない?
ただ、理解はしていても体の方が想定よりも動きがぎこちなくなるらしく本人たちは非常にご不満だったご様子。
と言っても、私からすると十分出来てたと思うし、そこらの自称プロよりも上手だったんだけど・・そう言っても聞き流されたけど。
後、この子たち地味に冒険者ランクがFからEにランクアップしてるわよ。
冒険者ランクは、以前言った通り、上から順位に
SSS>SS>S>A>B>C>D>E>F
こういう順になってる。
登録したらどんな身分だろうが年齢だろうが問答無用でFランクになる。
そこからランクを上げるためには、同じランクの依頼を一定数以上受ける必要がある。
その数は特に決まってはいないけれど、簡単に言えば得点形式ね。
ランクごとにランクアップするには必要なポイント数が決まっていて、そのポイントを稼ぐためには
依頼を受けて依頼主からの評価を稼ぐしかない。
軽い例題を上げると、
FからEに上がるために、100ポイント必要だったとする。
依頼を1つ受けると依頼主から10点満点の内、満足度が何点だったか報告がある。
その点数を多くの依頼を受けて集め、その合計数が100ポイントを突破したところでEランクに上がる。
という感じになるわ。
そして、EからDに上がるために必要なポイントはFからEに上がる時よりも必要なポイント数は当然多い。
後、A以上のランクに上がるためには必要なポイント数とは別でいくつか評価項目が増えるわ。
それは、S、SS、SSSと上がっていくにつれて項目は当然増えるし、評価点はそれはもう厳しくなる。
全部はギルド職員内限定の情報で、いわゆる社外秘だから言えないけれど、
言ってしまうと私生活の態度や経歴、性格、周囲(依頼とは関係ないという意味)のその人に対する評価も重要なポイントになってくるってわけ。
それもあって、Aランクから上に上がれる人は少ないし、憧れの存在となるってことよ。
で、双子ちゃんがランクアップしたって話ね。
簡単に言えば、この子たちを心配してこの子たちのギルド登録をした兄さんが依頼の監督としてこの子たちの依頼に同行したのよ。
その時の依頼は薬草採取だったわ。
・・なんとなく察したと思うけど、この子たちの薬草を見つける感知精度は正直規格外。
採取するものを教えたら(1つサンプルを見せる)、ジィっと見た後、ふんふんと匂いを嗅いでコクリと頷いたかと思ったらどこからともなく拾ってくるのよ・・・。
時折、おまけとして違うものも一緒に拾ってくるときがあるけど、大抵希少なやつだったりすることが多いからついでに依頼主におまけとして放り込んでおくと飛び上がって喜ばれる・・そして、評価は高くなり、
報酬金とは別でなんか色々くれたりする。
・・・過去に鼻の良い魔物を従魔(簡単に言えば仲間にしたってことね)にしたやつが従魔に薬草を取りに行かせて稼いでいると聞いたことがあったけどその強みを分かった気がしたわ。
で、私は私で私やこの子たちの見た目で寄ってくる馬鹿どもや、賞金首が地味に集まってくるからそれを始末してついでに換金したり、この子たちの実戦経験の糧として利用したりするからそれもまた評価が上がるという何とも言えないループ。(だから私を見て拝むな)
それに驚きつつも高く評価してくれたのよね。
で、それを聞きつけて薬草を採取して欲しいという指名依頼がこの子たちに来たわ。
そして、それらを全部きっちりと想像以上の速度で達成しちゃったから評価は当然高かった。
私がきっちりと教えたこともあって薬草の扱いも、保管方法も採取の仕方も丁寧だからね。
で、するするとEランクに上がったってわけ。
面白かったのは、時折依頼されているものとは異なるものを複数拾ってくることがあるってこと。
一応、依頼されたものもきちんと採ってくるように頼めば採ってきてくれるけど、理由を聞いてみたら、それで十分とだけ言った。
私は正直調合とかそういうのはあまり詳しくないからとりあえず依頼品は拾わせつつ提出するときに一緒に双子ちゃんたちが拾ってきたのを渡して双子ちゃんのセリフを伝えてみた。
そうすると、受付の人は何か心当たりがあったのか知り合いの薬師数名に聞いてみたそうな。
そしたら、まさかの依頼主が欲しいといった薬草を使ってある薬を作ろうとしてたそうなんだけど、双子ちゃんが最初に拾ってきた類でも同じ効果を発揮することが出来ることが判明。
しかも、依頼したものよりも集めやすく良く採れるものだった。
その発見がかなり大きなものだったらしく、報酬金とは別枠でその情報量としてかなりの大金をもらったわ。
・・まぁ、他にも似たようなことをこの子たちしでかしてるけど。
なんでわかるのかしらね?
やっぱりにゃんこなんじゃないかしらこの子たち。
野生の勘と匂いで同じ匂いのものを拾ってきたのが偶然違うものだったり同じものだったりするだけなんじゃないだろうか。
その結果、薬草採取依頼をする人たち・・というか、薬師関係の人たちからは神のように双子ちゃんたちは崇拝されたりしてるけどこの子たちは想像通りスルーしてるのでとりあえず気にしないことにする。(下手したら毎日誰かに拝まれてるしね・・この子たち)
まぁ、他にも壁や天井を平然と歩きまわるからそれを利用して大掃除の依頼を受けたりして手の届かないところを掃除してもらったりしてたらそれはそれで高評価だったりするんだけど。(掃除も丁寧だからね、この子たち)
あ、指名依頼について言ってなかったわね。
通常の依頼は、魔物退治や、薬草採取、鉱石採取、護衛、雑用など、まぁ色々あるけれど言ってしまえば対応してくれる冒険者は細かく誰が受けてもいいという不特定多数宛の依頼をランクや条件に適した冒険者が選んで受けるというシステム。
で、その中でも例外は指名依頼。
通常の依頼と違って、その人に対応して欲しいという依頼主からの強い要望によって発生する依頼。
さっき説明したポイントで言うと、指名依頼の方が圧倒的に高いわ。
と言っても、その冒険者のランクによって出来る上限は決まってるから依頼内容によっては無理だったりするから、妥協案として類似した依頼に変更してもらうケースもあるわ。
で、1つ問題が発生していた。
それは、ちょっと双子ちゃんに勉強を教えていた時。
いわゆる青空教室ってやつね。
現物を見せた状態でそれに対することや、それに関連していることを教えることで本をベースにした時よりも頭に入りやすいからちょこちょこしてるのよ。
その際、通りすがりの野郎ども(女性もいるけど)がついでに双子ちゃんと一緒に並んで私の勉強会に参加したりしてるのも割といつものことだからスルー。
「‥と言う感じd・・・」
双子ちゃん((?))
かわいく首をかしげてる双子ちゃんはさておき・・。
「あん?姉ちゃんどうした?」
「ちょっとあんたらに聞いてもいい?」
「俺らでわかることなら答えるぞ。」
ついでとばかりに混ざって授業を受けてた野郎と同じパーティの女性の計4名の塊に聞く。
他にも似たような塊が結構いるけど。
「・・そこかしこに集まってるにゃんこは何?」
そう。
なんか知らないけど、集団密度がすごいことになってる。
町の中央辺りにある広場で今日はしてたんだけど、
まず双子ちゃんがいるのは良い。
途中から混ざってる男女混合グループが計10くらいいたり
野郎だけの塊が5くらいいたり
女性だけの塊が10くらいいたりするのはもういい・・。
で、そこらかしこににゃんこがすごい大量にいる。
「あぁ・・・」
「私たちが来た時にはすでにいたわよ?ねぇ?」
「あぁ。てっきり姉ちゃんとその子らの連れかと思ってたんだけど。」
「てか、気づいてなかったんか?」
「え・・」
「俺ら、一応毎日この勉強会に参加してるけど毎回いるよな?・・学校ってとこに行ったことなかったから正直新鮮な気持ちでありがてぇんだよなぁ。」
「えぇ、いるわね。この勉強会正直すごく助かってるのよね。・・猫もこの子たちもかわいいし。」
「え?猫と一緒に受ける青空教室なんじゃなかったの?・・ここの勉強のおかげで依頼を受ける前にどういうことを調べればいいかわかるようになったし。」
なにそれ・・。
周りにちらっと視線を向けると全員が頷いた。
・・・えぇ。
・・・・・
・・よし。
「よし、双子ちゃん、答えなさい。いつから?」
猫に埋もれてる双子ちゃんに尋ねる。
猫にキレイに埋もれてるのでかろうじて目と鼻だけが見える。
よくよく見ると集まってる連中も動けなくなるくらいには足元が猫で埋もれてる。
・・気づかなかったけど私も足元にも猫が集まってる。
しばらくして双子ちゃんのどちらかの腕がにょきっと猫の山から出てきた。(双子で顔が同じなのに加えて頭から足まで猫で埋もれてるからガチでどっちがどっちの腕かわからない)
筆談なので腕に握られてる紙に書いてあった内容を読むと。
(この町に来てから3日目)
とのこと。
・・・・
「だいぶ前からじゃないのよぉ!!!」
「ん?」
「そのリアクション・・ガチで気づいてなかった感じ?」
「みたいだな。」
「・・おかしいわ。・・毎日外で教えてるけどにゃんこなんていなかったわ・・いきなり増えた?けど、こいつらが前からいると言ってる・・どういうこと?」
「・・・俺らの扱いがそこらの動物かなんかと同じ扱いなんだが。」
「まぁ・・知ってたけど。」
「そこが良い。ぞくぞくする。」
「あぁ・・一応初日から参加してる私たちの見た限りだと、最初は10匹もいなかったわよ。」
「えぇ。そこから徐々に増えていたのと、器用なことにあなたの視界に入らないように動いてたわよ。」
「はぁぁぁ・・・やっぱりこの子たちにゃんこよね?猫耳に猫しっぽを隠してるのよね?」
「私たちも同意見だけどどこにも生えてなかったわよ。」
「そうなのよね・・お風呂で丸洗いしてるときに毎日確認してるけどないのよね・・おかしいわ。絶対におかしい。」
「気持ちはわかるけど・・毎日かい。」
「はぁ・・まぁいいわ。私ら、あと数日後にはここ出てくわよ。もともと途中で立ち寄ってこの子たちの養生目的で休んでただけだし。」
「あぁ・・やっぱりかぁ。」
「しょうがないわよ。」
「個人的にはこの勉強会が終わるのがなぁ・・。」
「教会に行けば教えてくれるわよ。」
「え?」
「そうなのか?」
「あら?知らないの?」
割と有名だと思ってたけど。
「いや、なんていうか、孤児とかの子供相手限定でやってるもんだと思っててさ。」
「あぁ・・確かにそっちが多いわね。けど、年齢制限はないわよ。・・ちびっ子に囲まれて一緒に学ぶのは気恥ずかしいかもしれないけどね。」
「それはあるわね。」
「あぁ・・けど、この勉強会でそんなこと気にしてたら生きていけないって実感したから気にしねぇけど。」
「それはあるわね。」
「じゃあ、あんたらにはこれをあげるわよ。」
私は、分厚い本(3本セット)を全員に渡す。
「これは?」
「私の国でメインで使ってる勉強用の本よ。基礎的なことをまんべんなく書いてあるいわゆる初心者用のやつね。ただ、範囲がかなり広いから人によってはいらない範囲もあるし、あくまでも初心者用だからそれよりも上位の知識が欲しいなら図書館とかに行かないとないけど。まぁ、一緒に勉強する範囲の図鑑も一緒に見るようにすればもっと知識を深めやすいわよ。」
「まじか!」
「良いの!?」
「そんなすげぇやついいのかよ!?」
「・・でおいくらで?」
「ん?いらないわよ。タダであげるわ。」
「まじかよ。」
「女神さまじゃねぇか。」
「あんた等までそれを言うか。」
「え?まじで女神様なの?」
「違うわあほ。」
「そうか・・女神さまは生き様を表しているんだな。」
「良い話風に私を女神にすんな。」
ったく・・どいつもこいつも私を女神にすんな。
ちなみに、こいつらに渡した本は、私の国にある子供用の教育機関で使われるタイプで、その本のどの部分を読んで学ぶかで自身の興味対象を知り、将来どういうのになりたいか知るためのもので、その3冊で入学から卒業までずっと使うものよ。
卒業するに合わせて、自分で図鑑やそれ専用の本を見つけていくのよ。
そういう資料を探すのも勉強の1つで、場合によっては人と交流して情報交換をしたり教えあったりする。
そういう部分も考慮されて作ってあるのよ、その本は。
まぁ、基本的なことだったらその本だけで済むからそこから上に行きたい人だけって感じだけどね。
で、なぜ私がそれを大量に持っているかというと、その教科書・・実は私の家の祖先が作ったものなのよ。
そして、年々改良を重ねて、その時代に合わせて作り変えているんだけど、その関係で年代ごとにすべてのシリーズがあるのは別として、なぜか教科書を大量に作ってるとこから毎回大量にタダでくれるのよね・・なぜか。
なので、私の手元どころか実家には各年代ごとの教科書(一応全部3冊セット)が100ずつあるのよ。
だから、私にとっては在庫処分。
けど、こいつらからするとタダでくれる良い人・・ということになるの。
まぁ、これを普通に買おうとすると金貨10枚は軽くするからねぇ・・。
「まぁ、私がいないとはいえ、私が教えてたのはその本ベース。わからない部分は教会に聞きに行くか、専用の図鑑とかを探しなさいな。」
「うっす。」
「ありがとう!」
「ほんっと助かる!」
「まぁ、がんばんなさい。」
双子ちゃんも一緒に学ぶ人がいるというこの状況をなんだかんだで楽しんでるっぽかったから一応助かってるからそのお礼も兼ねてるのよ・・恥ずかしいから口にしないけど。
ちなみに、あとで双子ちゃんのステータスを見せてもらったら、こんな称号が増えてたけど。
称号
猫友(野良猫限定)
別名:類は友を呼ぶ
どこからともなくとにかく野良猫を中心に猫が集まってくる。
野良猫であれば、住処が決まってなければ必ずついてくるようになる。
集まった猫の頂点に立つことが許される。
集まった猫は、ボスであるこのスキル持ちの者の庇護下に入るため、敵対者に対する殺傷能力が10倍になり、素早さが音速レベルを優に超えるようになる。
ついでにサイレントにゃーを習得
・・・・・猫に関しては、丸洗いされてもいいやつだけついて来いと言ったら、10匹だけ残ったのは余談。(それ以外はものすごい勢いで逃げた)
残った猫は、基本近くをついてくるだけでたまにご飯を提供して、寝床だけ用意すれば基本放置で良いとのこと。
ご飯は自力で基本的に確保するからだそうな。
後、名前もいらないそうな・・縄張りが双子ちゃん付近になっただけのようだ。
・・ちなみに、これらのやり取りは全部双子ちゃん経由・・なんでこの子たち、にゃんこと会話してるの?
後、ついてくるのは10匹でも、それ以外の丸洗いを拒否した組は私らがこの町にいる間は毎回寄ってきて、時間になると去っていくのはもう・・・スルーすることにしたのは余談。