アルカンシエル国入国
--シル--
なんだかんだあったけど、無事に故郷のアルカンシエル国に到着した。
忘れられてる気がするけど、私が冤罪にかかってた件についてはどうやらとっくにお父様とお母様によって解決してるらしくまったく気にしないで良いらしい。
むしろ、私・・・と言うより虹の公爵令嬢としての崇拝者連中が嬉々としてお父様たちが仕返しした後に追撃してるそうな・・まぁ良いか・・聞かなかったことにしよう。
なので、私宛という謎の寄付が定期的に大量に届くそうだがそれに関しては全部受け取り拒否するから適当に寄付しておいて・・。
あっちの国は国のサイズが1割くらいに小さくなったそうだけど、国自体はまさかのギルマスがなぜか国王ポジションに就いてるらしく私の無事に安堵しつつも頑張って良い国にしようと奮闘してるらしい。
まぁ、本人は国王になりたくなかったらしいけど周囲がなぜか猛烈にプッシュしたらしくその押しの強さに負けてこうなったらしく、自動的にギルマスとしてギルドでお仕事はする余裕がなくなったのでそのままギルドは退職したらしい。
今は、もともと私がギルマスの秘書(役職としては副ギルド長)だったわけだけど、1人後輩ちゃん(17歳女子)に割と前から色々教えこんでたこともあってその子がギルマスになったそうな・・ただ、あの子優秀なんだけど慌ただしいというかドジっ子で地味にネガティブだからなんで自分なんかがぁ!と嘆いてるそうな。
とはいえ、ロリ巨乳な美少女なのでマスコットアイドル的な感じで他ギルドメンバーがサポートしてるのでなんだかんだで和気藹藹しつつも順調に勤めてるそうだ。
で、到着してヒナとイノ、マリナの黒髪3人衆に入国審査の1つとして演奏してもらうところよ。
一応説明すると、我が国の入国審査は他の国と同様にタダ確認して終わりというパターンもあるけど、もう1つ入国時に演奏することで自身の吟遊詩人としての実力をアピールする+αの審査があるのよ。
それに関しては、失格も何もないけどその結果次第で国内でのこの国に住む連中(身分問わず全員)の態度が変わるのよ。
ヒナについては、一応口頭で或る意味私やリンよりもヤバい子だと説明しておいたけどそれでもあの子とあの子たちの実力を分からせるには演奏させてみせるのが一番手っ取り早い。
・・なんていうか、ヒナの料理人としての実力はレシピと言う見てわかる証拠があるし我が国にも普及してるから理解されてるけど、ピアニストとしての実力は実際に見て聞いた連中の意見と言う見てわからない情報しかないせいで誇張だと思われてる節があるしね。
「それで、シルさん。なんで皆さん疲れた顔してるんですか?」
ようやくお目覚めな天使ちゃんが心底不思議そうに首をかしげてるが、いまだにマリナにお姫様抱っこされたままだ。
その状態で背中に双子ちゃん、頭の上にヒヨコ
背後にはアイリスと言う状態だとはた目から見るとマリナが全てを従わせてるように見えるわね・・。
イノが
「ヒナ殿からするとマリナ殿に抱っこされてるのは日常茶飯事でござるからなぁ。」
と言ってるところでマリナが答える。
と言うか、ヒナをお姫様抱っこするのにやたらと慣れた動きだと思ったら日常茶飯事かい・・。
「無理に起こすと体調不良になりますし、だからと言って起きるまで待つよりもこっちで着替えさせて抱っこして連れて行った方が早いですし、ヒナは軽いので荷物にもなりませんし癒しですから。」
・・ヒナの扱いに慣れてやがる。
「だからまりにゃん、おかんって言われるんだよ?」
「そんなことを真正面からマリナ殿に言うのはヒナ殿だけでござるよ。大抵マリナ殿にビビって口に出来ないでござる。」
「まりにゃん怖くないし、美人でおっぱい大きいからモテそうなのにね?」
「見た目だけで近づいた結果、全員が地獄を見たのを覚えてないのでござるか?」
「あ、あの人たちまりにゃん目当てだったんだ?いつもの襲撃かと思ってた。」
襲撃が日常化してる時点でおかしいと思うのは私だけ?
「アレに関しては、私は撃退しただけで殲滅はしてませんよ。」
「まぁ、確かに撃退後の始末は拙者がしたでござるが。」
マリナの扱いが一種のドラゴンみたいなことになってるんだけど・・こいつ、マジで何をした?
マリナはうっすらと微笑むだけ・・・気にしないことにしよう。
というか、トドメ刺したのはイノの方かい・・。
「私を守ってくれたのですか?」
どこか小悪魔チックに微笑みながらイノに尋ねるマリナ。
「うぅむ・・否定はしないでござるがどちらかと言うと、マリナ殿は拙者の生涯の相棒でござろう?」
「そうですね。許嫁と言う意味でもカップルと言う意味でも、親友と言う意味でもそうなりますね。」
「故に、マリナ殿を下らぬ欲望で狙うのが気に食わなかったのでござるよ・・一種の独占欲で我ながら嫌になるでござる。」
「そんなことはありませんよ。」
「マリナ殿?」
「私に対してそんな風に守ってくれる異性何て基本的にいませんし、いたとしても見た目で近寄るゲス共だけです。そんな中でイノの気持ちも想いもすごく愛おしいんですよ。・・いつもありがとうございます。」
「むぅ・・拙者としては、表立って戦うことが出来ないが故にその分の見返りとして裏で動いてるだけなのでござるが・・真正面からそう言われると嬉しくはあっても気恥ずかしいでござる。」
「ふふっ。大好きですよ?」
嬉しそうに微笑むマリナと顔を赤くしつつも苦笑してるイノもどちらも幸せそうである。
「・・拙者も愛おしく思ってるでござるよ。」
なんだかんだで良い仲ね。
ヒナ曰く、割と前からこんな感じだったそうな。
「とりあえず、3人とも演奏の準備してもらえる?」
3人「はぁい」
・・・なぜだろう、無性に子供の引率をしてる先生の気分。
で、3人揃って楽器を召喚しつつ準備を始める。
ちなみに、順番待ちの連中がおおらかなのはこうして入国審査で演奏する奴がいるのを知ってるからそれを聞くためと言うこともあって割と融通が利いたりする。
「うぅむ、何にするでござるか?無難に死闘でござるか?それとも皇后?」
死闘・・多分、それビッグブリッジの死闘よね?
我が国では演奏出来る奴はほぼ皆無って言われてるやつを相変わらず手軽に言うわね・・。
と言うか、シレっと言ってるけどそのお偉いさんは誰なのさ・・。
「んー確かに皇后も良いけど今の気分は、フランかも?もしくはプロヴィデンス?」
知らない人名が出たんだけど・・。
と言うか、更に違うのが出たけど、摂理がなんて?
「ふむ・・それならクリスティーでござるか?」
更に違う人名が出た・・誰・・。
で、よくわからないお偉いさんや謎の摂理は選択されなかったのね・・誰と言うか何だったかわからないままだけど。
「オーエンですね。確かにちょうどいいですね。」
どういう繋がりのある人なの?
「当然、超絶技巧のアレンジでござるよね?」
「当然でしょ。」
更に違う人の名前が出た・・マジで誰・・。
てか、ヒナもだけどやっぱりこいつらも当たり前のように変態レベルの高難易度を好むのね・・。
「ちょっと待て、あんた等。」
3人「えー」
「えーちゃうわ。とりあえず何の曲を弾こうとしてるのか言え。」
「その情報は、必要なのでござるか?」
イノの言いたいことはよくわかる。
「てっきり、適当な曲を弾いてる光景を見て審査をするのかと思ってたのですが。」
「どの曲を弾くかに合わせて、審査のランクを変えるのよ。」
私やリンみたいにどの曲でも演奏してる光景を見て聞けばわかる奴は割と少数なのよ。
「えー。曲名、わかんないんですか?」
「あれでわかる奴は、あんた等くらいよ。私でもなんとなく記憶に引っかかる程度であんた等みたいに謎の単語だけ言われてもわからんわ。」
3人「えー」
「とりあえず曲名としましては、U.N.オーエンは彼女なのか?と言う曲の超絶技巧バージョンをアレンジしたタイプですね。」
「それって確か、あんた等が良く好む東方ってシリーズのやつでしょ?難易度は定食に小皿を付け加えるように当たり前のように言ってるけど、普通にビッグブリッジの死闘と同等かモノによってはそれ以上よね?」
そのシリーズの曲を知ってる連中がこの辺りにいる奴らだとほぼ皆無だからあえてわかりやすく説明すると全員の顔が引きつった。
「だって、そのくらいじゃないと面白くないじゃないですか。」
普通は、難易度をあげるのは本人の好奇心と趣味でやるモノじゃないし、あったとしても自身の実力を試すというチャレンジ精神を楽しむ所謂ジャンルは違うけど戦闘狂のようなものがせいぜいよ?
「あんた等だったらそうでしょうよ・・」
何がどうなってあの謎の人名が出たのかは、後で教えてもらうとして、まぁ・・良いか。
「とりあえず初めて良いです?」
「良いけど1曲だけよ。2曲目以降を弾きたければ私の家に到着するまで我慢しなさい。」
あんた等、揃いも揃って放置したら何時間でも演奏し続けてるでしょうが。
ヒナみたいに禁断症状はないみたいだからどちらかと言うといつまでも続けるヒナに付き合い続けてるが楽しいから全く苦にならないと言った方が正しい気がする。
3人「はーい」
「シルさん家に着いたら、皇后やろう?」
「そうでござるな。それから冒涜も含めてテラリア祭りでござる。」
地味にヤバいものを放り込んでるけど良いの?と言うかその含めてるのは何?
「それなら、キングスライムから順番にやりますか。」
・・なんか娘息子が増えた気分だわ。
と言うか、家に着いたら早速演奏する気満々かい・・何のシリーズなのかは知らないし、構わないけどさ・・地味に最後にマリナが言ってたスライムの王様らしき生物もいるって・・マジでそのテラ何タラってどういうセットなのよ・・。
それから数秒も間がなくいきなり始まった。
ヒナがいきなりえげつない難易度のピアノ裁きを始め、それに付随してイノがギターを弾き、それに合わせてマリナがベースを弾く。
どれも1つ1つの技術が逆立ちしても叶う相手がいないと全員が嫌でもわからされるほどの実力者だと理解出来ただろう。
証拠として全員が目を見開いた状態で口をぽかんと開けたままフリーズしてる。
私やリン、双子ちゃんに関しては毎日こいつらが嬉々として演奏するから慣れっこなんだけどそれでも相変わらずえげつないわよねぇ。
何がすごいって、全員の実力が私の歌と同等なのに加えて一切の狂いもなくぴったり合わせてるってところなのよ。
1年以上共にいなかった時間があったにもかかわらず。
そして何より、当たり前のようにこの世界では演奏出来る奴がほぼ皆無だという高難易度の曲を当然のように難易度を高めた挙句更にアレンジする時点で変態レベルなのよ・・本人たちはガチで世界中で一つまみも存在しないほどの難易度だと理解してないけど。
前半はヒナのピアノをメインに演奏し、後半に差し掛かったところですごくナチュラルにイノのギターをメインに切り替えるという地味にえげつないことをしでかしながら。
まぁ、本人たちは心底楽しいという感じで楽しんでるし、楽しめば楽しむほどその演奏力はさらにペースがマシ、更にえげつなくなっていく。
或る意味では、ヒナの種族である天使自体も割とこの世界で記録されてる限り、数百年は発生してないほどの激レアでかなりすごいんだけどそれよりもヤベェと言われる実力なのよね・・。
3人「ふぅ」
「満足した?」
「はい。」
「久しぶりに全力を出せて気持ちがいいです。」
「どっきり大成功と言う気持ちで楽しいでござるな。」
イノの言いたいことはわかる。
周囲の連中も予想を軽く上回る実力に驚きを隠せず固まってるし。
「ただ、ちょっとあんた等全力でやりすぎよ。」
3人「えー」
「だって、そのせいでこいつら役に立たないじゃないのよ。」
未だに固まってるし。
「手加減した方がよろしかったでしょうか?」
「いや?よそならあれだけどこの国だったらむしろ全力でやった方が一番効果的よ。この国は音楽を始め芸術系統の実力特化な国家だもの。」
「なら、今固まってる人たちは?」
「実力を見誤っただけの単なる実力不足。」
全員「ぐはっ!!」
「じゃあもう通って良いんですか?」
「最後にギルドカードを見せる必要があるわ。」
「でも固まってますよ?」
「叩けば直りますか?」
「マリナ殿が下手に叩くと骨が折れないでござるか?」
「過去に両腕を複雑骨折させたことあったっけ、まりにゃん?」
「ありましたね。ちょっと態度が上から目線でイラっとして力が出ました。」
「その後拙者が裏で始末しておいたでござるよ。」
「あぁ、そういえば次の日にはなぜか警察に捕まってたね、あの人。」
・・・こいつらマジでいろいろやらかしてるわね?
「はっ!・・確認します!しますから!複雑骨折はご勘弁を!」
あ、復活した。
ヒナの噂と目の前で見せられた実力で、この子たちが言ってるのがガチだと気付いて命の危機だと察したのかしらね?
どこかマリナが詰まらないという表情をしつつジィっと騎士を見つめており、その視線からナニかを察した騎士が顔を引きつらせてる。
「とりあえず、シルさんのお家に行く感じです?」
「その前にマリナとイノをパーティに加入するように手続きするのと私とリンが帰ってきた通達を頼んでおきたいからギルドね。」
ちなみに双子ちゃんは演奏しなかったしあの時あえて言わなかったけど、実は双子ちゃん、これまではいろんな楽器を弾いてたんだけど、どうやら最終的にメインでやるのはピアノをチョイスしたらしくそれ以降は演奏してるのはピアノだけだったりする。
で、その実力は実は2人が連奏すれば死闘は弾けたりするのだが、本人たちはヒナたちのように超絶技巧バージョンが弾けないと一人前ではないという認識らしい。(あの子たち超絶技巧Ver以外弾かない)
というより死闘が弾けてる時点で一人前を通り越して玄人というかヒナたち同様ヤバい人と言う認識なんだけど本人たちからすると憧れでもあるヒナたちレベルじゃないという時点で論外なんだとか・・まぁ、本人たちは楽しそうだしヒナたちも嬉しそうだから良いか・・。
「・・で、なんでヒナはマリナに再度お姫様抱っこされてるのよ。」
「寝起きのヒナは、歩く速度が普段の半分以下ですから。」
まぁ、確かにヒナは寝起き早々にピアノ弾いただけでまだ微妙に普段よりぼんやりしてるから機動力は遅いけど・・確かに私もヒナのペースに合わせるのが面倒で抱っこするけど。
「おまけに、フラフラと気になる方へ寄り道し続けるでござるからな。まず向かう先が決まっている場合は抱き上げた方が楽で手早く済むのでござるよ。」
「まりにゃんは、基本的に私と一緒に歩くよりも抱っこしてる方が多いですよ?ざっくり全体の7割?」
・・・ほぼ抱っこされ続けてるのね。
それでなぜにおんぶではなくお姫様抱っこをチョイスするのか・・常識人みたいに冷静な顔してシレっと癖のある子だわぁ・・マリナ。
なんとなく、ヒナの可愛さを堪能したいという願望が見える気がするのは私の私欲なのだろうか?
まぁ良いか、私は楽だし本人たちは楽しそうだし。
というか、私が抱っこしてもヒナが全く抵抗せずにされるがままで色々と心配してたけど元凶はマリナだったか・・。
「シル様!おかえりなさいませ。」
ギルドに到着して、受付をしていたお姉さん(30歳くらいの明るい人)に笑顔で迎えてもらう。
「えぇ、ただいま。色々あったけど帰ってきたわ。」
「色々と大変だったみたいですね・・。」
「まぁ、ねぇ・・とりあえず、従魔登録の手続きと、パーティー加入の手続きを頼める?」
「かしこまりました。えぇっと・・白く燃えるマーブルヒヨコと大量のにゃんこが天使様の従魔に。そして、その天使様の黒き守護者2名がシル様のパーティへ加入ですね。」
・・合ってはいるけど、なかなかにすごいざっくりとしつつも間違ってはいない説明をするお姉さん。
この人は、ソラさん。
私とリンが冒険者として初めて登録したときから受付嬢をしてる人でほとんど私とリンの専属の受付嬢みたいな人で、お父様とお母様もその手腕を認めている凄腕受付嬢だったりする人だ。
おそらくヒナやマリナ、イノたちの対応もソラさんがやることになると思う。
で、割と癖のある人で説明するとき大抵間違ってはいないけどすごい言い方をする人で、面白い人だ。
人によってはすごく疲れた表情にさせるタイプで、気の合わない人は合わない中々な人だが、私やリンは気が合って大抵この人に頼んでる。
「シル様も殿下もようやくパーティを結成したのですね。」
「連れが増えたし人数的にもちょうどいいかなってね。」
「確かにそうですね・・それにしてもかわいこちゃんたちを大量ゲットしましたね。」
「まぁ、どれも全部偶然の積み重ねなんだけどね。」
「やはり女神様だからですね!」
「ちゃうわアホ。」
「あははは!!」
「とりあえず、黒髪三人衆に双子ちゃんに一応紹介するわ。この人はソラさんで、誰が言ったわけでもないけどなんとなく私やリンの専属の受付嬢をしてくれる人で、割とこの国を中心に周辺諸国にまで謎の伝手があるし、この国での発言力も結構あるからとりあえずこの人に話をすれば話が早いから。」
「どうもです。」
「どうもでーす。私としてもかわいい子たちの相手が出来て若返りそー!気軽に声かけて良いからねぇ?でなぜか私が受付をすると全員が疲れた顔をするから私を選ぶ人がいなくて割と暇してるから遠慮なく声かけてねー?」
そして、可愛いもの好きで割と冗談と言うか面白いことが好きで私やリンの身分を知っていながら平然と言いたいことをズバッと言う図太い神経の明るいというか軽い人だ。
で、明るくてぱっと見、白ギャルっぽい赤い髪のお姉さんで気が利く上に察しが良くてこちらが踏み込んで欲しくないことがあれば何も言わずに流してくれたりと人との距離感の取り方が上手な人だ。
なので割とモテるのだが、本人の趣味が頭の良い爽やかゴリマッチョという何とも言えない感じで1つも欠けていれば失格らしい。
後、本人も言ってるがモテるし、仕事は出来るのだがなぜかずっと1人身で、本人は恋人?別に要らなくね?と独身万歳な状態とはいえ、この人に告白する人はなぜか1人も存在しないのに加え、受付時にこの人に頼む人がなぜかいないという謎で、本人も楽出来るし良いやーとケラケラ笑ってるのが割とここでの光景。
「何というか、面白い人でしたね。」
一応、暴走魔剣の関連事件について報告をして、売るものは一通りこの国に入る前に売っぱらったとも含めて報告したけどどうやら別ルートでアンデッドの大量出没についての調査依頼があったらしく偶然とはいえ私らが解決したということで報酬金があったので一応もらった。
「まぁねぇ・・。実際仕事は出来るし面白い人だし、私やリンの身分を知っていながら平然と言いたいことをストレートに言うから肝が据わってる人よ。・・多分、私らのアレについても知ったとしてもすごいねーで終わらせる人よ。」
あれと言うのは、当然加護持ちをはじめとしたあれやこれのことよ。
「わぁ・・とりあえず、何かあればソラさんに相談で良い感じです?」
「そうね。私やリンの身内がいないときはそれでいいわ。軽そうに見えるけど口は堅い人だからその辺りも信用出来るから。」
「へぇー。」
そして地味に、ヒナをずっとお姫様抱っこしてたマリナやフェニックスだのフェンリルだのにゃんこ部隊だのを周囲のメンツは私やリンの身分を知って言いたくても言えないという表情をしてたというのにあのリアクションをしてる時点である意味凄い人だというのは言わずもがな・・ね。
おまけに、ヒナが私のガチ妹になってるという点も含めて、天使様の一言で表現した挙句、ケラケラ笑いながらキレイにスルーしてる時点で大概だと思う。
「とりあえず、シルさんのお家に?」
「そうね。リンも一旦城に帰る必要があるだろうけど、とりあえずあんた等をお父様たちや我が家の連中に紹介を先にしないとね。後、ヒナたちの部屋の手配もする必要あるし。」
ヒナやマリナ、イノ、双子ちゃんたちの部屋は私の家と言うか屋敷に割と空き部屋は大量にあるから場所とかそれ以外の家具とか云々の手配がいるのよね。
ちなみに説明すると、我が国は国の中央に城があり、その周囲に城下町がある形になっており、国自体はものすごく広いわ。
そして、その城下町を含むこの国を取り囲む壁はとんでもなくデカく、分厚く、使われている素材もとんでもなく硬いのに加え、様々な魔道具を使用して結界だの壁を強化したりだのと色々されてるので芸術の国と言われてるけれど、一部では最後の砦とも呼ばれてるらしい。(そして当然のように川と言いたくなるほどバカでかい堀がある)
どうやら、何かあればこの国に逃げろと言われてるらしくそれもあってそう呼ばれてるそうな。
国内全てを見て回るとしたら、全力で走り回りながら超ダイジェストにスキップしまくっても30日は最低でもかかるとか言われる有様でかなり広いわよ。
で、我が家はそんな中央にそびえたつ城の周囲を取り囲むように存在してる謎の森がありそれを更に取り囲む城塞らしき物体が実は我が家だったり。
そして、自動的に城に入る際の門番等の手続きをするのは我が家のメンツよ。
これに関しては、我が家がおじ様である陛下たち王族に信頼されてるが故に、セキュリティ的な対策としてこういう措置だったりするわ。
ちなみにその森に野生動物が住み着いてるのよ。
時折、普通の動物とは到底思えない造詣の生き物がいるけど、敵意はないので全員がスルーしており、たまに絵描き連中がモデル代わりに観察してる程度の扱いだが、生物系の研究をしてる連中からすると新種では!?とリアクションするらしいけど全員スルーしてる。
我が家で雇ってる連中の中に生物の研究をしてるやつがいてそいつに聞いたらそう言われたけど、見て満足したらしくそれ以降はスルーされてる。
その周り、深く掘があり、ちょっとした湖の中央に城が経ってると言った方がわかりやすく、そっちにも水鳥だの魚類だのがいるけど。
ちなみに、城壁周りの堀は城下町ではそこから城下町のいたるところに水路を引いてそれを生活水として使われており、国を取り囲む数倍以上ある堀に関しては、訓練代わりに泳ぐ連中を良く目にする。
城塞と言いつつ、隣接するように存在してる巨大な屋敷が我が家で、城塞も我が家の敷地なので自動的に城の警備を我が家のメンツがやってるのよ。
「あのシルさん」
「んー?」
「あの城塞みたいな頑丈そうな立派なお屋敷がシルさんのお家です?」
「で、合ってるわよ。」
我が家である城塞と城を取り囲む城壁は、この国で何かあった時の緊急避難先も兼ねているから馬鹿でかいし、アホみたいに頑丈なのよ。
「じゃあ、あの白いアノールロンドは?」
視線を城にくぎ付けにして目をキラキラさせつつそう呟くヒナを始め、マリナとイノ。
「は?何それ?」
リンの実家である城にそんな名前付いてないんだけど。
3人「え?」
え?じゃなくて・・いや何それ・・。
「あのおっきなお城のことですよ?アノールロンドじゃないんです?」
「少なくともそんな名前じゃないわね。・・あんた等の世界にその名前であれと同じ形の城があるの?」
「ありますね。」
「正しくは、創作物語に出てくる敵陣の城でござるな。えぇっと・・こんな感じの城でござる。」
サラサラっとイノが描いた絵を見せてもらうと、真っ黒だが確かにリンが住む城と同じ形をしてる。
「確かに同じね・・」
「確かに一緒だ・・もしや、あの城を建てた人物はそのアノールロンド?を基に作った可能性が?」
「・・あり得るわね。割とこの国、異世界人との繋がりがちらほらあるし。」
あの城を建築したときに異世界人が混ざってた?
・・ちょっと後で調べるか。
「なるほど?」
「ほれほれ、観光したい気持ちもわかるけど、これからたっぷり時間があるんだからとりあえず私の家に行くわよ。」
3人「はーい」
さて、何気に数年ぶりに家に帰るわけだけど、なんていうか・・疲れたわ。




