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最強令嬢の観察日記-PS:育児対象は拾いました-  作者: ミコト
序章

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33/61

保護者による問題点確認と、背後霊2名の馴れ初め話

あの時、マーブルひよこが魔剣に炎をブッパしたのはあのタイミング、つまり魔剣はかなり弱体化していたのに加え、瀕死の状態だったから

そして、万が一破壊後に復活したり変化する危険性もヒナさんの癒しの魔力でそうなる前に潰せると確信していたから。

正直ひよこが破壊しなくてもそのうち破壊出来てたもののその方が早く終わり、ヒナさんへの負担も多少なりとも少なくて済むというひよこの判断だったりします。


そんな感じです。

ふわっとそんな感じなんだなーと思って頂ければと



本編どーぞ

--シル--

ヒナが種族進化?しながら、呪われたアイテムの浄化や異常な数のアンデッドの撃破、

そして、暴走魔剣の破壊という単独で偉業を成し遂げ、体力切れして深い眠りについた。







ヒナが倒れる勢いで眠りについた後だけど、

とりあえずヒナが無双しまくった挙句、浄化したアンデッドの魔石やドロップアイテム(元呪われた品)の回収と、一応周囲が燃えてないかなどの安全確認を行いつつ、周囲を観察した。

私が燃やし尽くして破壊した跡地は地面はえぐれているものの、ヒナによって草花が咲き誇り、私がレーザー状に残した跡地は偶然水脈が繋がっていたらしく気が付けば立派な川になっていた。

そのため、最初は森だったはずがきれいな草原になっていたけど、とりあえず気にしないことにしよう。

後、視界の端にヒナの聖属性の魔力に影響されたのか地味に希少性の高い薬草だの花だの木の実だのが咲いているように見えたけど気のせいということにした。(双子ちゃんがしっかり採取してたのも気のせい気のせい)


でも、これだけヒナが大暴れしたことを考慮するとあのパーティの連中を途中で追い出して正解だったわね。

まぁ、あの依頼はあいつらに任せて問題なさそうだし、私の本気にガチビビりしてたから鬱陶しかったからちょうどよかったわね。

というか、ヒナが地味に私にビビっていたあの連中を気に食わなさそうにしてたけど、私というか私の一族に関しては正体を知ると大抵ビビるか崇拝するかのどっちかになることが多いから今更感がある。

それよりも、ヒナはなんで私のアレを見て、マスタースパークと呼んだのかしら・・。

私は、炎の使い手であって雷なんぞ使えないというのに・・何度言ってもマスタースパークだと一点張りだし・・なんで私が扱ってるミニ八卦炉だと名前を知ってんのよ・・初見だったでしょうがあんた・・。



「リン、ヒナの調子はどう?」

「僕が見た感じ、特にケガとか病気とか変な状態異常にかかってないし、普通に疲れて寝てるだけみたい。」

「ほっ・・よかった。」

「ただ、相当深く眠りについてるから軽く数日は起きないかも。」

「あぁ・・・普通は進化中は寝てるはずが起きて行動してるというイレギュラーもあったし当然と言えば当然か。」

「確かにな。」

「それと・・・・」

「うん・・・」

リンの視線の先には当たり前のように私の頭の上でリラックスしてるあの白い炎を解き放つヒヨコである。

こいつ・・あれから一切離れる気配がないのよ。

でも、優秀なのよねぇ・・・。

私に近寄る魔物だのなんだのをことごとく白い炎で燃やして対処してくれるし、飛んで周囲の安全確認だったりをしてくれるし・・。


多分、懐かれたわねぇ・・。

一体、誰が従魔としての主になるのやら・・なんとなく誰になるかわかってる気がするけど今は放置。

「ヒナの体の刻印とか色々調べたいことは山ほどあるけどとりあえずこいつよね・・」

「実際すごく優秀だし、困る点はないから良いのではないか?それに可愛いし」

最後のセリフが本音だな?

リンは、私以上に可愛いもの好きだったりする。


実際、ヒヨコがメインでにゃんこたちに指示を出し、空を飛んで周囲の偵察を行い、敵がいれば対処し、双子ちゃんの面倒を見つつ何やら勉強とか教えてくれたりヒナの代わりに甘やかしたり(正しくはモフられてるだけ)とホントによく働く。

そして、そんな合間でヒナのことを定期的に様子を見てる有様である。(10分に1回と多いけど)

もうさ・・完全にこのヒヨコ、アイリス同様にヒナに吸い寄せられたタイプでしょ・・。

前世が人間だったと言っても信じるわよ?この人間臭いヒヨコ。


まぁ・・そっちは放置で良いか。

便利だし、可愛いし。(リンが積極的にモフってるし)



「で・・次ににゃんこたちよね・・」

「うん・・・見た目はしっぽが2本に増えたタイプと3倍くらいの長さに伸びたタイプがいるだけでそれ以外の身体的特徴は全く変化がないな。」

「まぁ、体格の違いで多少しっぽの長さとか太さが違うくらいだけどそれはそんなもんでしょ。」

ホントにタダしっぽが変化しただけか?

いつもの膝乗りちゃんは、しっぽが2本に増えた以外は特に変わらず私の膝の上を独占している。


とかあーだこーだと言いながらアイリスの背中にヒナを乗せて、双子ちゃんに任せつつ、ゆっくり休める場所を探してのんびりと進んでいたら、バカでかいゴーレムが現れた。

それも、鉄とかが混ざったような岩の人型ゴーレムでとにかくでかいし、アホみたいに硬そうである。


うわ・・面倒なのが現れた・・・しかも、無駄に20体もいるし、1体で全長10メートルあるし・・。

どうしようかとあまり回復はしてないけどそいつらを消し飛ばすくらいの魔力は残ってるし、動きは遅いからリンが切断することも出来るけどと等分してやるかぁと考えてたら。



視界の端からものすごい数の細長い光がまっすぐ発射され、ゴーレムの7割が穴だらけになり、

残りはしっぽを振るってそいつらを切断するにゃんこたちがいた。

私たち「・・・・」



ちょっと待って?

マジで待って?

どういうこと?



よく見てなかった私だけど、偶然目にしたらしいリン(顔が引きつってる)に聞いたところ。

「しっぽが2本あるタイプのにゃんこたちが口からビームを発射して、しっぽの長いタイプのにゃんこは、しっぽが突如として蛇腹剣みたいな利器に変化してゴーレムに飛び掛かってた。」

「・・・」

えぇ・・・にゃんこたちまで魔改造されたわけ?

正直これまでのにゃんこたちでも十分だったのよ?

確かに今目の前にいたゴーレムは無理だったけど、見上げるサイズの動物型の魔物とかだったら、群れで連携して退治を普通にしてたから。


で、そんなやらかしたにゃんこたちはというと、しっぽの長いにゃんこはしっぽを元のモフモフに戻して器用にゴーレムの残骸に巻き付かせて回収し、2本のしっぽのにゃんこは器用にゴーレムの残骸をしっぽで持ち上げて同じく回収しつつ近くの山菜を同じくしっぽで採取道具を使って採取していた。

えぇ・・・君たち道具も使いこなせるようになったのね・・。

というか、見覚えのない魔石も拾ってるけどそれナニ?

は?さっきのヒヨコの炎の余波に巻き込まれて残った部位?

あぁ・・そう、ありがと・・魔石以外は消し飛ぶ程度の魔物だったのね。(後に最低Bランクのそれなりに上位のばかりだと判明)


やっぱり下手な人間よりもにゃんこ優秀だわ。

・・というか、待って?

今、にゃんこは軽く40匹前後は軽くいて今後も地味に増えるとほぼ確定してるのに加えて、こいつら同様にこの2種類に変化する可能性は非常に高い。

・・・で、そんなかなり強化されたニャンコ部隊がいるだけで、下手な上位ランクの冒険者パーティよりも強いんじゃないの?

おまけに、周囲の気配とかに敏感で可愛いし、まさしく最強じゃない?にゃんこ。

後にそれなりに本気モードのアイリスと良い勝負をするくらいすごかったと判明し、リンとの特訓相手にアイリスと私に加えて、複数のにゃんこが追加されるようになった。


「でも、尾長にゃんこと2尾にゃんこだと言いにくいわね・・なんか呼び名ないの?」

「というより、種族だよな・・間違いなくただのにゃんこじゃなくなってるはずだ。」

一応双子ちゃん経由で聞いたけど、当然知らないという回答だった。

「・・あ、そういえば鑑定の魔法を付与したモノクルをシル、持ってなかったか?」

「あ!そうだった。お父様から預かってたわ。」

鑑定魔法は、割と珍しい魔法というかスキルで、持っている人間は1万の内数人くらいと言われている。

見れる範囲は、魔力制御の練度次第だとか、頭の回転の良さだとか、いろいろ言われてるけど詳しくはよくわかってなかったりする。

後、その中で半々くらいの確率で鑑定のスキルをスキルではなく魔眼として保有していることもあり、違いとしては魔眼の場合は魔力消費なしで出来る為、そちらの方が優秀と言われているが実際は消費魔力の有無だけで中身は変わらない。


で、私は特にどれがどういうものだとか調べるという云々の興味は学生時代に粗方やり尽くして飽きてるので使わないだろうと思いつつも、お父様からのアドバイスということもありマジックバッグの奥底に眠らせていたのだ。


まさかこんなタイミングで使うことになるとは思わなかった。


あ!

「これでヒナのこともわかるんじゃないの?」

「全部ではないかもしれないけど確かにそうだな。」

とりあえず、にゃんこから見るか



猫又

天使の眷属の一種で、2本のしっぽを持つごく普通の猫の姿をしており、主な役割は自身の主である天使の遠距離タイプの護衛。

通常の猫よりも身体能力と、周囲の気配の探知&察知に優れているのに加え、魔力量が多く、回復速度が速い。

主な攻撃手段は口から貫通特化のビームで、破壊タイプの聖属性である。


ケットシー

天使の眷属の一種で、ごく普通の猫の姿をしているがしっぽの長さが通常の3倍ほどあり、主な役割は自身の主である天使の近距離タイプの護衛。

通常の猫よりも身体能力と、周囲の気配の探知&察知に優れているのに加え、魔力を消費して動く速度を速め、自身の肉体を硬化させる。

そして、主な武器は自身のしっぽを蛇腹剣へと変化させて自身の爪と牙も併用して戦う。

それらの攻撃は全て破壊タイプの聖属性の効果が付与されている。




うっわ・・道理であれだけえげつない威力してるわけだわ・・。

普通に使ってるけどこいつら・・破壊の聖属性は、最も練度とか込める魔力が少なかったとしても例えば他属性の魔法の威力を上中下の3段階に分けた場合、中に軽く届くほどの威力を誇ってる。

それだけえげつないのよ・・聖属性は。

「うっわ・・・」

「これ絶対ヒナがガチの天使になったの確定じゃん。」

「やっぱりそうよね・・」

「というより、ヒナよりも先にこっちのヒヨコを確認した方がいいんじゃ?」

「・・そういやそうだったわ。」

というわけでほぼ確定してるけど見させてもらう。(ヒヨコも良きに計らえみたいな態度してるし)




フェニックス

破壊タイプの聖属性の炎を自在に操る白と黄色のマーブルながらの全長20~30センチほどのヒヨコ。

非常に頭がよく、空を飛ぶことに関して体力切れすることはない。

圧倒的な炎の火力に加え、膨大な魔力と肉体再生能力に優れており、魔力を消費して自身の肉体を修復することが可能。

体力と魔力の回復速度が非常に速いが、太陽の光を浴びるだけで更に早まる。

そして、主な食事は炎で魔法によるものでも自然現象のものでもどちらでも問題なく、食事することで自身の魔力を更に素早く回復させる。

ちなみに、世間一般では非常に美しい姿をしていると言われているが、正しくは自身を中心に白い炎を纏って空を羽ばたき、周囲を焼き尽くしている光景が白い炎も肉体の一部と勘違いされたことだったりする。






「・・・もともとフェニックスについては知っていたけど。」

「えげつないわね・・」

道理で、不死鳥と言われるわけだわ・・というか、美しい姿の真相がただの見間違いだっただなんて・・ちょっとショック。

可愛いけど・・かわいいけどぉ・・。


ちょっと試しに、割と本気で炎をぶっ放したけどものすごくおいしそうにラーメンよろしく一飲みで食いつくされた。


「ふぅ・・・でも、ヒナのあの舞いはすごかったな。」

「えぇ・・正直あれほど見惚れたのは生まれて初めてだったわ。」

「僕も同感。で・・ヒナのこと・・視れそう?」

「ん・・・あ、やっぱり駄目だわ。」

「やっぱりか・・」

加護持ち相手には、鑑定のスキルや魔眼は全く効かないのは加護持ちについて調べていると割と常識だったりするが、加護持ち自体がおとぎ話の扱いになりかけてるので大抵は非常に高価な妨害用の魔道具を持ってるんだろうと思われてる。

しかも、種族が希少なものだったり強力なものだったりすると更に効かなかったりするし。


想像とか推測どころかヒナが天使に進化したのはほぼ確定だけど、天使という種族はほぼほぼ最上位に存在する種族である。

聖属性を扱う種族に関しては圧倒的で、天使が聖属性の癒しの魔法をものすごく手加減した状態でも普通のヒーラー(冒険者ランク上位以上)と軽く1周りくらい上回るほどの威力を発揮するほどだ。

おまけにヒナは、もともと神職の一族であり、毎年神様へ舞いを捧げていたと聞いた。

ということは少なくとも習慣的に毎日祈りを幼い頃からこちらの世界に飛ばされるまで続けていたという可能性は正直ほぼ100%

となると、神との繋がりが元から近かったということだ。

それに加えて、こちらの世界に来てから更にその繋がりは強化されたとなると、神の眷属と言われている天使に進化するのは正直おかしくない。





「はぁ・・・ある程度推測は出来たけど、街中で休むわけにもいかないわよね・・」

「普段ならともかく消耗してるヒナを見せるのはね・・状況的にも正直面倒になる。」

フェンリルがいる時点で大概だけど、進化の副作用のようなもので眠り続けている状態で、あまり他人が近くにいる環境に連れて行きたくないし、今のヒナはガチで絶対安静だからアイリスもものすごく慎重に動いてくれてるし、双子ちゃんも全力でヒナを物理的に支えてるし。

万が一の最悪の事態も想定しておかないとダメ。


となると、騒ぎを起こした場所からは離れた森の中の洞窟があればそこが一番ね・・。












それから、しばらくして運よく深い森を見つけ、その中に深く入り組んでる洞窟があった。

その森は、採取出来るものがほとんどないのに加え、魔法的な効果があるわけでもないのに迷子になる連中が多いと言われている通称迷いの森だ。

方向感覚が狂いやすいんだとか・・私らはそんな影響もなく普通にウロチョロ出来たけど・・なぜか。

で、その中で更に迷いやすい洞窟だ。

後、ものすごく不思議なことにここには危険な魔物はほぼ全く存在しないため、好んで近寄る奴はいないのだ。

魔物がいなければ動物が多そうなイメージだがそれもなぜかおらず、せいぜいなぜか自力で歩き回る植物がいるくらいだ。(襲ってこない)

・・そんな場所で双子ちゃんがその歩く植物からそいつらの種を数種類もらってたのは気のせい気のせい。


とまぁ、とりあえず人目を気にせずに落ち着ける場所を確保出来たので、一安心ということで、ヒナをとりあえず清拭してあげるついでにすっぽんぽんにひん剥きつつ問題ないか、あの刻印がどうなってるのか確認させてもらう。

・・・寝てる良いスタイルした美少女の服を脱がして体を隅々まで眺めるとか、なんていうか同性でもムラっとするわね。

普段から毎日ヒナとは一緒にお風呂だったり、着せ替えだったりしてるから今更感あるけど、それでも意識の有無だけでこれだけ違うのね(しみじみ)




わかったことは、あの時見た通り目の色が緑っぽい銀に変わっていることと、

髪の長さがお尻を余裕で通り越して太ももまでまっすぐ伸びたこと、

そして、首元から背中、手の甲という順で白い線で刻印されていた。

なんていうか、天使の羽をなるべく豪華に厳かなイメージで刻印したような感じだ。

一応、胸元などのおなか側や、お尻から下には刻印は全くなかったが、なぜに足の裏に猫の肉球の刻印されてるのだろうか?(手のひらにはなかった)

もしや頭に猫耳が?と思って探したけど普通の人の耳だったし、お尻には猫のしっぽはなく、プリッとした小ぶりな良い形をしたお尻しかなかった。

でも、よくよく見てみると背中の刻印の中にしれっと猫らしき何かがちらほら刻印されてる。


・・この子はどれだけ、にゃんこに愛されてるのだろうか。

それと余談だけど、体の怪我もなく、良い形をした胸のサイズも特に変わらずDにぎり届かない絶妙サイズのままだった。



うん・・推測になるけど、これだけ猫と天使の翼が刻印されてるんだから、にゃんこたちが変化したのはヒナの影響ね・・。

おそらく種族は天使は天使でも猫を眷属にした天使・・だと思うけど、猫って天使とそんな繋がりのある生き物だったかしら?


とりあえず、食料とかは豊富どころか有り余ってるレベルであるし、ヒナがレシピとか作り置きとかしてくれてるから私等で何とかなるわね。

さすがにヒナと同レベルのご飯は作れないけど、ヒナのレシピ通りに頑張ればそれに近いくらいは出来る。

地味にそれだけ自分たちで作れるようになった事実に密かにリンと揃って感動してるのは内緒。


とはいえ、ヒナをリンとアイリスとで看病してるとはいえ、周囲はにゃんこや双子ちゃん、ヒヨコが暇つぶしに走り回ったりして遊んでるとはいえ、周囲の警戒はしてるからほぼほぼやることがなくて暇。

双子ちゃんも、定期的にヒナの様子を見に戻ってくるし。

と、ぼんやりしつつ考えてたら朔さんが話しかけてきた。

「暇であれば、1つ昔話をしようか。」

「昔話ですか?」

「うむ。私と奏の出会いから付き合うようになった辺りだ。興味がなければ私らの世界で有名な物語を適当に話すが。」

確かにその物語の方も面白そうだけど。

「ぜひ、お二人の話を聞かせてください。」

それはすごくすっごく気になってたのだ。

リンも双子ちゃんも全力で頷いてる。

この超人2名が何をどうすれば付き合い、結婚することになったのか。

ヒナからこの2人のやらかしについては聞いてるけど馴れ初めは全く聞いてないから余計に気になってたのよ。

「ふむ。では、軽くダイジェストにはなるが話をしよう。一部はすでに聞いている分もあるだろうが、姿勢を正すものでもない故に、気を楽にして聞いてくれ。」


二人が出会ったのは、小学校に入学したとき、同じクラスだったらしい。

一応ヒナたちの世界の学校については教えてもらってるから知ってるわよ。

「当時は・・というより、普段から私も奏も他人にあまり興味を持つタイプではなかったからな、せいぜいかわいい子がいると思っただけで友達になりたいとも話をしてみたいとも特に思ってなかったな。」

「私も朔さんと同じだったわねぇ。かっこいい子がいるなぁと思っただけだったし。」

二人ともに認識はあっても距離を置くことも近づこうとも思わなかったようだ。

「そんなある日だったな。私と奏は学校で禁断症状を発揮している最中だった。大抵午後の時間になるとそうなるからな。」

あぁ・・前にヒナが言ってたやつ・・やっぱり二人はヒナよりも禁断症状の発症が早いのね・・。

「そうはいっても、反応しないだけで見ているし、認識はしているぞ?」

「学校の授業は必要だから対処するし、食事も移動も必要だからやるけどそれ以外は反応なくても良いでしょ?」

そう言う認識で、無反応だったり自堕落になるのね・・。

「で、大抵私や奏の友人たちがなぜか周りで騒ぐんだ。」

「そして、騒ぎながらせっせと私たちの世話をしてくれるのよね、なぜか。」

あぁ・・ヒナが言ってた二人の世話係&苦労を背負った連中・・。

「そんなやり取りを同じクラスで何日も行うんだ。当然、友人たちは思うだろう。」

何を?

「同じことを別々でやるならまとめてしまえと。」

まさか・・

「そう・・私と奏はな、ワンセットで固められ、二人同時に世話をすることにしたんだよ、彼らは。」

「そして、お友達は朔さんのお友達と協力して私たちの周りを騒ぐことにしたのよ。そこが朔さんと本当の意味で接触したきっかけだったわね。」

当時は、周囲が押し込んだのね・・理由はさておき。

「まぁ、私も特に抵抗するつもりはなかった故に放置してたしな。」

「当時は、禁断症状が発症する午後から帰宅時間になるまでの間一緒にいたというかいさせられたけど、だんだん時間になるたびに動かすのが面倒になったのでしょうねぇ。朝から帰宅時間の間、つまり学校にいる間はずっと一緒にいるようになったわ。」

確かに途中から毎日・・それなら、朝からずっと一緒にしてしまえってなるのはわからなくもない。

「私も朔さんもそこまで率先して話をするタイプじゃなかったから大抵話をせずにずっと隣に居続けるだけという感じだったわね。」

「だが、その時間も会話がなくともどこか落ち着いて嫌いではなかった。」

なるほど・・二人の纏う雰囲気は柔らかなものだし、何かしら相性も良かったのでしょうね。

「そして、それが何か月、何年も続くと顔を合わせ、目を合わせる機会も増えるだろう?」

「隣にいるのだからそうでしょうね。」

「そうしているうちにね、自然と視線で会話が出来るようになるのよ。」

二人の相手の内心を察する能力の原点はそこだったか。

「そうしていくうちに、私たちは色々と似通うことが多いこともわかった。」

「それに、すごく気も合うし、一緒にいるのは居心地が良かったし、自分の中で最も何が大事何なのか何に対して全力を注いでいるのか、それらを知っていくうちに当時は似た者同士の趣味仲間のような認識だったわ。」

「今思えば、それが惚れたきっかけだったのだろうな。当時は全くの無自覚だったが」

所謂友人だと思っていた相手を異性として無自覚に見てたという友人同士から恋人へ無自覚にステップアップのパターンね・・嫌いじゃない。

「そんな風に過ごしていくうちに、徐々にプライベートでも会うようになり、一緒に出掛けたり、会話をするようになったり、プレゼントをしたり。」

「相手の大好きに対して全力で注ぐ真剣で、それでいて全力で楽しんでいる姿を見て、感激もしたし憧れたわね。」

「それから、結婚するまでずっと一緒にいるが、互いに好きだと実感するようになったのはそれから小学校を卒業した頃だったな。」

つまり6年ほどかかったと・・。

「卒業式の日に桜舞い散る中で佇みながら柔らかく微笑んでくれる奏を見てやっと気づいたんだ。あぁ、私は趣味仲間として、友愛としての好きではなく、恋人に、そして将来を誓いたい相手として好きだったんだと。友人からは今更かよと言われたがな。」

「私も同じだったわねぇ。いつも一緒にいるからどんな表情も見てるつもりだったのに、卒業式の日に優しくて、けれどどこか愛おし気に眺めてくれる視線や表情がどこかくすぐったくて、ずっと傍にいたいと思うようになってやっと私は朔さんが大好きで、愛してたんだって気付いたのよ。お友達からは遅いと言われちゃったけどね。」

わぁ、わぁ・・甘酸っぱい!(嫌いじゃない)

「それから、互いに告白をしたのは中学を卒業した頃だったな。」

そこからだいぶかかりましたね・・3年ですか。

「互いに好きなんだろうなってなんとなく察してはいたのよ?だから中学時代は小学校の頃よりもなんとなく精神的に距離が近かったし、すごく楽しかったし、ドキドキもしたし?」

「そして高校になってから恋人として過ごし、卒業し、20歳になった頃に結婚したな。」

「恋人としては5年・・ですか?」

「卒業と同時に結婚してもよかったんだが、恋人としての時間も大事にしたかったんだ。」

「卒業して2年間は恋人同士で同棲生活してたからお友達からはもう結婚してるようなものなんだからさっさと結婚しろよと言われたわねぇ。」

「それは、中学時代には既に言われてただろう。」

「まぁねぇ?」

その頃に言われてたということは、相当二人がお似合いだったのと同時に砂糖を吐くようなやり取りがないのにどこか甘酸っぱい雰囲気を纏わせて、周囲をやきもきさせてたんだろうなぁ・・。

それに周囲のリアクションらしきセリフからも二人が好き合う同士だと言うのは公然の事実だったのだろう。


「まぁ、ホントに軽くまとめたが私たちの出会いはこんな感じだ。ただ、友人たちがやたらと疲れた顔をしてたり私たちが結婚式を挙げたときはなぜか当事者である私たちよりも泣いて喜んでたな・・。結婚祝いにヒナが普段使っているあれと同じタイプのピアノをくれたし」

「その合間合間で、私たちの趣味がきっかけでやたらと身分チートな人たちと仲良しになっちゃったり、同棲しようと家探ししてたら無料でプレゼントされたり、おすそ分け代わりに色々もらったりした程度ね。」

それはそれで気になるがなんとなくわかった気がした。

「何というか、聞いてるこっちがドキドキしました。」

「趣味が合う同士が無自覚に心を寄せ合い、恋人になる・・なんというか、下手な恋愛物語よりも良いなぁと思えました。」

「それは確かによく言われたな。」

やっぱり言われたんかい・・。

「いろんな話を知っているし、私たちについての話も聞きたいなら聞いてくれ。特に隠すつもりはない故に聞かれればいつでも答える。」

「ありがとうございます。」



二人はいつも隣同士にいてそれが当たり前のようにいる。

そして、互いに互いが好きで大事なんだと言わずともわかる。

身分上、いろんな人を見てきたけど、二人ほど想い合い、支え合っているパターンの夫婦は初めてかもしれない。

大抵片方を支えるメインとサポーターという感じだったり、相棒同士という感じだったり、メインとそのファンだったりという感じだったがお二人の場合は、相棒同士というわけでもなく互いがメインであり互いがサポーターという正直初めて見るタイプの夫婦だ。



・・私のお父様とお母様がそのタイプだとそう考えながら思い出し、私は改めてもしも結婚するなら二人のような関係になれる人が良いなと思った。

・・・・結婚するつもりはないしお父様もお母様も無理しなくて良いと言ってたし。




さてと、この居心地のいい気持ちのままお昼寝でもしようかしらね。

すごく良い夢が見れそうだわ。

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