鍛冶師さんへ依頼しよう
--ヒナ--
私が加護持ちという神様に気に入られている証を持っていることや、お父さんとお母さんが守護霊としてずっとそばにいてくれたことなどいろんな驚いたことがありました。
後は、ようやく私のギルドカードが手に入って、自分のステータスがどんなものなのか判明したヒナさんです。
現時点では、まともに攻撃出来る類のものが身体能力や魔力操作が拙いことも踏まえるとほぼ皆無だけど、将来的に癒しか、攻撃的なものかどっちにするか選択することになるらしい。
そこは、ゆっくりと出来ることから順番に頑張っていけば自然とどうしていきたいか決まると思うから焦らないで行こうと思う。
港町に到着してからは、とりあえず旅の疲れをとったり、暇つぶしに色々食べ物を加工して、それをギルド経由で売ったり、レシピを売って欲しいとギルドに言われて渡したら想像以上に高い値段で買ってくれてびっくりしたりしてお金を稼いでる状態です。
無理してお金は稼がなくても良いんだけど、なるべく自分の装備とか必要なものは自分で稼いで自分で購入できるようにしたいから・・。
それに喜んでもらえるなら、それが一番でそのついでにお金が手に入ってるようなものというのが正しい。
そして、例の如くニャンコが、よく集まる。
で、シルさんが、ついてきたいやつは丸洗いさせるつもりでいろと言ったら結果15匹増えて残りは全部ものすごい勢いで逃げた。
洗われるのが相当嫌だったらしい。
後、ついてくる子達は、特徴としてスカーフを首に巻くらしい。
そして今日も今日とて、楽しく教会のパイプオルガンを勝手に拝借して演奏してます。
確かに、ピアノは召喚できるけど、そっちはいつでも使えるんだから、今はパイプオルガンを堪能します。
私が召喚できるピアノは、ベヒシュタインピアノと呼ばれる種類の私の故郷の世界で3台ピアノと呼ばれるうちの一つですごく透明感のある良い音を出してくれるお高いピアノである。
そのピアノは、お父さんとお母さんが私が小学校在籍中に買ってくれたもので、お母さんにいわゆる免許皆伝された際のご褒美のような扱いでもらったものである。
なので、とても思い出深いピアノなんですよ。
だから、それが召喚という形で再び私の元にやってくることを知った時はすごく泣いた。
すごくうれしかったから。
私にとってはお父さんとお母さんの次に家族のように思っていた大切なものだったから。
毎日暇あればそこで演奏するものだから観客が無駄に増えて、終わるとそのたびにお金を私に渡してくる有様です。(当然静かだけど)
お金が欲しいわけじゃなくてただ弾きたいから弾いてるだけなんだけどなぁ・・みんなわかってくれないけど・・だから、天使様と呼びながら拝まないで欲しい。
拝むならそっちにガチの女神様がいるから・・と言ったらそっちはそっちで拝んでるからと、これは別腹とでも言いたげなセリフが返ってきました・・OTL。
とりあえず、毎日お金をたくさんもらっても持て余すから、お金を払いたい人は全員で街中の公共施設を中心に清掃したり、孤児院などの恵まれない人たちが集まるようなところ?とかに寄付をするような形にさせてもらった。
そうすれば、私は無駄にお金をもらうこともないし、この町に住んでる人もうれしいからまさしくWinWin。
まぁ・・そのせいで私を祈る人が増えたけど・・(遠い目)
で、今何をしてるかというと、シルさんが私用にきちんとした装備を準備してから船に乗ると言ってるのでその装備を探してる状態です。
「と言いたいとこだけど、いつの間にかヒナ。あんたのことを嗅ぎつけた家の両親がもうあんた専用の装備というか一生ものの服?を準備してここまで送ってくれたのよね。」
「・・・・」
え・・シルさんが実家で作らせようとか言ってたの冗談じゃなかったの・・?
ガチだったの?
「ガチだったらしいわ。というか、言う前に動いてたわ。」
えぇ・・・。
「それを、ギルド宛に届いてるからそれを受け取りに行くわよ。」
もう到着してた・・ホントいつのタイミングから私のことを察してたの?
シルさんのお父さんとお母さん・・。
「まぁ・・もったいないので受け取りますけど正直このワンピースでも十分なんですけど。」
想像したくなくなるほどとんでもなくお高いんだろうけど、それを受け取らないほうが逆に迷惑&もったいないからありがたく使わせてもらうけども・・。
優秀な分私が安全になるということでもあるし・・ぬぐぐ。
「あんたの貧弱さを考えるとちょっと物足りないのよね。確かにそこそこのだから十分と言えばそうなんだけどね。」
私がにゃんこに押し倒されて動けなくなるほどの貧弱さも原因だったらしい。
・・というか、地味にシルさんの妹ポジションが、妹分ではなくガチの妹になりかけてない?
ご実家のご両親・・ガチで私をシルさんの妹というかお二人の娘扱いしようと養子にしようと動いてたりしない?
その装備ってそのための布石というか、事前通達の1つだったりしない?
で、なんでシルさんは否定しないって透き通った表情で言うの?
シルさんが私をことあるごとに妹にしたいと言ってるのは当然知ってるけどアレ・・ガチだったの?
それだけ褒められてるというか喜んでるっていうのはわかるんだけど、ガチだったの?
本気で妹にしようとしてない?
もしかして、私を拾ってくれた初日からすでに私をガチの妹にする計画を裏で進めてたんじゃないの?
そう言いたくなるくらいのスムーズさなんだけど?
嫌じゃないけど色々びっくりするんだけど・・気づいたら既にそうなってそうで怖いんだけど。
そして、ノア君とイブちゃんは諦めろと言いたげな感じで肩をポンポンするのはなぁに?
それってどういう意味なのかなぁ?
とりあえず、食べるのが好きでたくさん食べる子たちだからお野菜や薬草を生地に練りこんでブロック状のベーコンやハムを混ぜ込んだパウンドケーキをお食べ?(シルさんも喜んで食べてる)
あぁ・・はいはい。
宿屋の料理長さんもレシピ上げるから・・。
別で作ってあげるから・・店主のおじさんも・・ちゃんとあげるから。
私はこの宿で基本的に毎回おやつも含めて料理を作っており、そのたびに料理長さんにレシピをプレゼントしてる状態です。
それもあって、宿代は食事代を差し引いたのに加えて、割安になってるんです。
当然、レシピの対価としてこの地域特有の料理のレシピだったり、調理方法だったりを教わってます。
地域特有のものは面白いから知っておきたいんだよね。(だからWinWinなのです)
というより、ほぼ毎日あちこちのレストランというか食堂?の人たちが私に料理を教わりに・・というかレシピを教わりに来るんですよ。
そして、その対価としてさっき言ったような地域特有のものとかを教わってるんです。
後は、何か作った料理を1食分貰ったりとかですね。
大抵はノア君とイブちゃんが食べてます。(見た目以上にすっごい食べるから・・この子たち)
それもあって、ちょっと長めに滞在してます。
私が貧弱だからかなりシルさんが気を使って長めに滞在してるんですよ。
まだこの世界に来たばかりで右も左もわからないから色々と慣れることも踏まえて。
まぁ、旅の疲れをしっかりとってから準備してるというのもあるけど・・じゃないと多分寝込む自信がある。
と言っても、料理をしたりパイプオルガンで演奏したりするのは問題ないからマイペースにいろいろやらせてもらってるよ。
そういうのもあって私を訪ねる人はかなり気を使ってくれてる。
・・私が貧弱なのを察してるから。
とかいう間に、ギルドに到着。
でも、シルさんのお父さんとお母さんの察しの良さもびっくりだけど、一体どういう装備なんだろ?
ちなみに、ゲスな表情をしたおっさんたちがいたけど、笑顔のシルさんがきれいな回し蹴りで、遠心力がたっぷり乗ったかかとをみぞおちにきれいに決めて一撃で沈めてました。
全員。
しかも、相手が一言喋ろうと口を開けたところで一撃ズドンです。
おかげで全員ドン引きして近づいてこないので大変快適です。
細かいことは気にしないことにする。
「いらっしゃいませ。あれから大丈夫でしたか?」
あ、ギルドカード作ってくれた時のお兄さん。
「えぇ。気遣いありがとうね。無事に大丈夫よ。」
「それは良かった。本日は荷物の受け取りですか?ちょうど預かってますが。」
「話が早くて助かるわ。それを受け取りに来たのよ。」
「では、こちらになります。一応宛先の確認をお願いします。」
「えぇっと・・えぇ。大丈夫よ。」
「それと、ヒナさん。ギルドランクがさっそく1つ上がってますよ。」
ん?
「私、1回も依頼受けてないんですけど・・。」
「この町に訪れてから何度かレシピの販売や、演奏による町内の清掃や、寄付の手配。加工食品の販売を行ってくださいましたよね?」
「結果的には?」
「その関連の依頼が実は何度か来ておりまして、結果としてヒナさんが全て解決してくださったため、ランクアップ出来る条件を達成していたのですよ。」
「そうだったんだ・・・」
というわけで、よくわからないままFからEになってました。
とか言いながら、レシピを販売する私。
主にお父さんがたくさん教えてくれたから売れるだけ売っておいて、そこから拡散されて、その地域特有の新レシピが開発されて、またそれがきっかけで違うレシピが開発される・・というループを期待して。
「いつもありがとうございます。おかげでこの町の食事が他の町や国からも評判になりだしてますよ。」
「えぇ・・」
まぁ、好きにしてくれればいいと思う。
だから私を巻き込まないで欲しい。
「まぁ、悪いことじゃないから良い・・かな。・・私に集まられても困るのでレシピの出どころは適当にごまかしてもらえたりとか・・。」
「構いませんよ。どのみち近日中にこの大陸を離れますよね?」
「ですね。」
シルさんの故郷が違う大陸だし。
「ですので、通りすがりの方からもらったが、すでに違う大陸に旅立ってしまい、どこに行ったか分からないと伝えておきます。」
嘘じゃないしね。
ちょっとだけ、言ってないことがあるだけで。
「それで大丈夫です。お願いします。」
「それに、ヒナさんの場合、それで多くの人に迫られたらそのまま体調を崩しそうで心配になります。」
苦笑しながらそういうお兄さん。
うん、よくわかっていらっしゃる。
「確実にそうなると思います。」
「なので、実はヒナさんから頂いたレシピを扱う料理人たちは自身でも新しいレシピを編み出そうとしたり、そのレシピを改良しようと自身の力で努力することが増えてるのですよ。」
とてもいいことですというお兄さん。
「そうだったんだ・・」
気を使ってくれてるとは知ってたけど想像以上だった・・。
「まぁ・・その・・無理はしない程度に・・」
「ほどほどにするように伝えておきます。それで倒れられてもこちらがありつけないので。」
ちゃっかりしてるお兄さんである。
「と、無駄話を失礼しました。」
「良いわよ。ありがとうね。」
「いえ。」
とりあえず、着替えるというか装備を確認もかねてとりあえずお宿の借りてる部屋に戻ることにしました。
「さて・・どういうものをお父様とお母様は準備したのやら・・あんたが貧弱なのは知ってるだろうから軽くて動きやすいものだとは思うんだけど・・」
そう言いながら包装を開け、箱を開けると・・
「服?」
「へぇ・・布に魔法を付与する形で軽くて頑丈なものにしてるみたいね。まぁ、魔法のない世界出身だからぴんと来ないだろうけど、こういうのは割とありはするけど、その込める魔法の強さや数は、作る人の技量が重要だったりするのよ。後は、使われてる生地にある程度左右されたりするわね。」
「へぇー」
見た目は、真っ黒なワンピース。
というより、エプロンドレス。
黒と白を基準としたもので、フリフリとかをとことん省いてすごくシンプルにしたような半そでタイプ・・あの、どう見ても不思議の国のアリスなんですけど。
フリフリとかをとことん省いてるからアリスベースのゴスロリ(シンプルバージョン)と言った方が正しい気がするけど。
後は・・付け袖?
二の腕辺りに取り付けて、手首くらいまであるやつ・・色はエプロンドレスに合わせてある・・・見た目は、袖だけだったら和服の袖を外付けしたような感じ?
そして、靴下・・というか、真っ黒なオーバーニーソックス。
帽子というか、ヘッドフリルとか頭に着けるタイプのがないのは・・シルさんのご両親の趣味なのかな?
良いけど。
私頭に着けるタイプはあまり身に着けないタイプだからどこかで飛んでいくというか置いて行きそうだし・・。
「あら、かわいい。」
まぁ、確かにかわいい。
「それにこれ・・とことんシンプルに作ってるみたいだから動きやすそうね。」
「確かに・・後エプロンドレスだから料理するときもそのままよさそう・・」
「確かにそうね。とりあえず着たら?着れば、ギルドカードに出てるから詳細がわかるわよ。」
「そうなんですか?」
「ギルドカードにはある程度能力のある装備なら出てくるし、お父様たちのことだもの。出ないようなものは送らないわ。」
確かに・・けど、背中側に光に照らされるときらりと天使の翼を彷彿とさせる刺繍が見えるように入れてるのは私が仮にも二つ名の中に天使と入ってるからなの?
わざとなの?
ガチの天使にさせようとしてない?
しかも、ぱっと見は見えなくて、光に照らされた時限定で見えるようにしてるのが、意図的な気がするというか、地味に手が込んでる、、。
で、着替えました。
ただ・・シルさん・・着替えてる最中至近距離で私の着替え姿をガン見しないで欲しい・・ものすごく恥ずかしいから。
そこで、恥ずかしがりながらゆっくり着替えるのが萌えるって言わないで欲しい・・。
とりあえずギルドカードで見てみよう・・。
名前:ヒナ・ネコ
二つ名:ピアノの黒天使
ランク:E
性別:♀
年齢:15
種族:異世界人
身分:音楽神の愛し子
職業:料理人、ピアニスト
属性:光
体力:E
魔力:C+
攻撃:E-
防御:E-
俊敏:E
練度:B+
攻撃1:【ナイフ術】【鞭術】【衝撃波】【閃光】【鎖操作】【演奏治療】
攻撃2:【魔力強化】【感情強化】【突貫強化】
補助1:【料理(極)】【演奏(極)】【野生の勘】【ピアノ(形見)召喚】
自動1:【絶対音感】【技巧】
衣類:守護者のエプロンドレスセット
武器:魔剣(鎖)
装飾:仕込みワークブーツ、マジックバッグ(ポーチタイプ)
加護
日本の神のお守り、音楽神の寵愛、料理神の親愛
称号
世界規模の拉致被害者、守護霊(両親)に守られし者、猫に愛されし者
守護者のエプロンドレスセット
シンプルなデザインの白と黒を基準とした半そでタイプのアリス風エプロンドレス。
エプロンドレスに合わせた和風デザインの袖付け
黒のオーバーニーソックスをセットとした装備。
エプロンドレスは、軽く動きやすく、そして頑丈であることを追求した代物であり、見た目以上に軽くできている。
ある程度の刃や魔法は弾き、魔力を込めるとその効果をさらに高めることが可能で、ゆったりとしているため体のラインは外からはわからないようになっている。
袖付けは、小物であれば収納することが可能で収納したものの重さを感じさせないようにできている。
オーバーニーソックスは足の疲れを軽減させ、匂いを常に消してくれる。
セットで身に着けることで、あらゆる汚れをはじき、魔力の回復速度を速めてくれる。
オマケとして、背中側には光に照らされると天使の翼を彷彿とさせる刺繍が浮かび上がるが、特に意味はない。
マジックバッグ(ポーチタイプ)
腰に取り付けるタイプのこげ茶のマジックバッグ。
最大容量は、半径5メートル×3で収まる程度であれば重さを感じさせないようになっている。
無関係の者が触れるとフラッシュバンが発動し、対象を目つぶしし、ついでに全身をマヒさせるおまけつき。
わぁ・・・
「私のために作りましたと言わんばかりの大盤振る舞い・・。」
「軽くて動きやすく。それでいて可愛く。おまけにあんたが料理することと、防御もかねて鎖を服の下から全身に巻き付かせたり袖口にスタンバイさせていてもバレにくいようにしてるわね・・まさしくヒナ専用と言っても過言じゃないわ。」
「ご丁寧に、セット効果もあるけどこれ・・バラバラで装備することが基本ありえないからわかったうえでそうしてますよね?」
「だと思うわ。」
ちなみに、マジックバッグは私がしょっちゅうレシピを配ったりパイプオルガンで演奏したりするのに、お金を受け取らないから(小心者だからです!)、みんながプレゼントしてくれたものです。
効果はシルさんが言うには結構いいやつなんだって。
とりあえずありがたく受け取ることにしてしっかりお礼は言っておきました。
まぁ、お礼を言うなら演奏してくれればそれでうれしいと言われたけど。
私からすると演奏するのはいつものことだから結果としてお礼はいらないという意味では?と思う。
天使の翼の刺繍について、聞いてみたけど天使と言われてるからとりあえず入れておこうと思ったんじゃないかとのこと。
あの、わざわざ私をガチの天使にしようとしないでいいんですけど。
あ・・そうだ。
お金が無駄に有り余ってるし、備品で欲しいのがあれば今の内に買っておいた方が良いってシルさん言ってたし、あれを頼みたいな。
おまけに港町はいろんな船が集まるから各地のいろんなものが集まるから物を揃えるなら便利らしい。
「で、何を買いたいの?」
「えっと・・料理道具です。」
今は、シルさんがもともと持ってたお料理セットを使ってます。
まな板と、数種類の包丁セット、そして、深いフライパンとお鍋、お玉。
まぁ、使い勝手は良いし、包丁はかなり高価なものっぽいからすごく良いけど、欲を言えばもうちょっとほしい。
「そうね。買いましょう。」
すっかり私の料理の虜になってるらしいシルさん即答。
そして、ノア君とイブちゃんも速攻で強く頷いており、にゃんこたちも地味に賛同するようにジィっと私を見つめる・・まぁにゃんこたちのご飯もにゃんこ用で薄味で作ってるけど・・気に入ってくれてたらしい。
「とりあえず、見て回りましょうか。」
結果から言うと、思ったようなものは予想通りなかった。
「あれだけ探してもヒナ、あんたが言ってるようなのはなかったわね。」
「だろうなぁとは思いました。」
いろんな料理人さんとお話ししたけど、一度も見かけたことなかったし。
「じゃあ、鍛冶屋に行くか。そこでオーダーメイドすればいいわ。」
「そっか・・頼めばいいんだ。・・ついでに、武器・・?も頼みたくって。」
「武器?鎖以外で?」
「というより、鎖に取り付けるようなタイプ?」
すごくふんわりしたイメージなんです。
なんていうか矢じりっぽい奴を鎖の先に取り付けるような奴。
場合によっては、小型ナイフを取り付けるような感じでもいいけど・・簡易的な鎖鎌もどき。
私が説明すると納得したらしい。
「なるほどね・・確かに今の状態だとただの鈍器だし、アリかもね。」
で、すっかり有名人になってしまったので、近くの人に適当に聞いたらこの町一番の鍛冶師らしい人のお店を教えてもらいました。
やってきた場所は、金属を加工したものがたくさんあった。
主に盾や鎧などの防具系が多そうで、ちらほらフライパンとかもある。
聞いた話によると、ここは数的には防具が多いけど調理器具などの系統が専門なんだとか。
「ん?どうした?何か探しもんか?」
筋肉ムキムキの強面のおじいさんがやってきた。
「えと・・調理器具のオーダーメイドをしたくって・・」
「ほう?どんなんだ?」
「ちょっと数が多いんですけど・・」
菜箸とか、ヘラやレードルはレシピの報酬代わりに料理人さんたちにいろんな種類を結構もらえたし。
「良いぜ。面白そうだ。」
で、欲しいのを一通り言っておいた。
グリルプレート
玉子焼き用の四角いフライパン
ホットサンドメーカー
中華鍋
バット&油切
ミル
「・・・って感じなんですけど。」
「おいおいおい・・・どいつもこいつも初めて聞くような奴だな。・・嬢ちゃん、料理人か?」
「正しくはすごく料理上手だったお父さんがプロの料理人で、そんなお父さんの弟子みたいな感じです。」
お父さんがプロの料理人というだけあって、そのあたりが揃ってた方がもっとおいしく作れる自信があるし、シルさんたちが喜んでくれるから。
「なるほどな。良いな面白い。その依頼、受けさせてもらうぜ。」
「後、こっちは調理器具じゃないんですけど、頼みたいものがありまして・・」
「面白そうだ。聞かせてくれ。」
「要望みたいな感じで、細かいイメージが出来てないんです・・」
「ある程度は俺の趣味も入っちまうが良いか?」
「で、大丈夫です。」
で、私の鎖を見せながらその先に矢じりだったり、小型ナイフなどを取り付けるようなそういうのが欲しいと伝えた。
「なるほど・・それなら簡単に取り換えが出来るようにしておいた方がいいな・・って、口外するつもりはないが嬢ちゃん魔剣保持者だったんだな。」
「・・剣の面影皆無ですけど、わかるんです?」
ぱっと見、ただの黒い鎖なんですけど。
「気持ちはわかるが、鍛冶師としての勘だ。だが、面白そうだな・・・そうだ。調理器具はこっちで適当な素材を使わせてもらうが、武器に関しては嬢ちゃんと相性がいいものを使った方がいいな。」
「そっちも適当に頑丈そうなのじゃダメなんですか?」
「ダメじゃねえが。扱うもんが魔剣に取り付けるって感じになる。そうなると、それ相応に嬢ちゃんと相性のいい素材を使ってやらねぇとそいつはほぼほぼ使い捨てみてーにあっという間にボロボロになるぜ?」
聞くと、魔剣は主を選ぶだけあって、気に入った素材じゃないと取り付けたものの劣化がすごく早くなるんだそうな。
「へぇ・・」
「で、奥にいろいろと素材を転がしてるから嬢ちゃんが気に入ったやつを選んでくれ。」
「私がですか?」
プロが決めた方がよさそうな気がする。
「こういうのはな。魔剣が選んだ主が良いと思ったものが一番なんだよ。」
「なるほど・・」
奥に行くといろんな鉱石や宝石がたくさんあった。
「好きに見て構わねぇぜ?」
「はい。」
色々見て回るけど・・・なんというか見てるだけでも結構楽しい。
その中で、ぱっと見スモーキークォーツっぽい透けた黒い鉱石?宝石?を見つけた。
・・・これなんだろ?
すごく気になってしょうがない。
「ほう?・・そいつを選んだか。」
「何か問題ありました?なんとなく気になっちゃって・・」
「こいつはな。神聖石と言われてるぶつだ。」
「しんせいせき?」
「名前の通り聖なる石らしい。そいつは、心が清らかなやつしか扱うことが出来ないのに加え、その中で更に扱う人を選ぶんだ。」
「魔剣みたいにですか?」
「あぁ。魔剣みてぇに反撃はしてこねぇが、選ばれない相手が触れると・・」
そう言っておじいさんが触れると透明度がなくなったただの真っ黒な石になった。
「こんな感じで透明度がなくなるんだ。そして、清らかな心を持つ相手でも使用者として認められないと・・そうだな、そこのちびっこ、どっちでもいいから握ってみてくれ。」
そう言って、ノア君が握ったら、今度は黒さがなくなってただの透明な石になった。
「今度は黒さがなくなる。面白れぇだろ。だが、主を選ぶだけあって、使用者が望む姿に変えるらしい。だからこいつを使う。・・少々金がかかるが大丈夫か?無理なら待つが。」
すごく良いお爺さんだ。
「これで大丈夫ですか?」
毎日好きなようにレシピをばらまいたりパイプオルガンを弾きまくったり、私のピアノ演奏で呪いや病気が治ったとかいう人が混ざっててその人からお礼を積まれたりしたのがあるので。
「おいおい・・・予想以上にため込んでんなぁ・・そんなにいらねぇよ。こいつで十分だ。」
金貨が地味に数枚は軽くあったけど、1枚でよかったらしい。
そこで、シルさんが尋ねる。
「素材代だけだったとしても安くない?」
「姉ちゃんの言うとおりだが、その素材は・・俺が若い頃に偶然手にしてからずっと誇りを溜まってたんだ。だからな、ようやく主を見つけて俺もうれしぃんだそれも兼ねてるが故にそいつに金はそんなにかかんねぇんだよ。」
「そう・・納得したわ。」
そうなんだ・・あ、そうだ。
「じゃあ・・これ空いた時に食べてください。」
「あん?弁当か?」
「はい。」
ボリューム満点で、そして食べやすさを考慮して作ったホットサンドです。
ただかなりでかいから、ちょっと見た目すごいけど、おいしいよ?
「うまそうだ。ありがたくいただかせてもらう。とりあえず、1日はかかるから明日、また来てくれ。」
「よろしくお願いします。」
「おう。」
シルさんがついでに、サバイバルナイフや、鉄の串をそれなりの量を購入した。
後は、私の靴に仕込んでる小型ナイフが実は使い捨てに等しいくらい脆いので、頑丈な小型ナイフを数本と火かき棒を購入しました。(こっちは頼まなくても普通に置いてあった)
「なんかたくさん買ってくれてありがとうな。」
「良いものが揃ってたし、ちょうどよかったのよ。この小型ナイフもね。」
「そんなちっちぇナイフ誰が使うんだと思いながら作ったが、どうすんだ?」
「あ、それ。私の靴に仕込むナイフが壊れそうだったので、それ用です。」
「ほう?面白いな・・。」
そんな感じで、無事に依頼することが出来ました。
完成が楽しみ。
後、無駄に溜まってたお金を消費できて満足。
・・小心者だからずっと手元に大金があるの怖いんだもん!
余談ですが、ヒナさんは一日の内にそれなりの長さ、ピアノをある程度弾かないと禁断症状として怠け者になりますが、過去にやらかしたのは中学時の泊まりがけの修学旅行のとき。
当然泊まり先にピアノはないので、後半は常にだらけてました。
その間は友人達が、手を引いて連れて行ったり
女性で体格が大きめな子が、おんぶしたりという感じで運び、、と、お世話してました。
大変かと思いきやヒナさんの素顔を知る友人達なので、ただのご褒美だったらしく、後日ヒナさんがお礼と謝罪をしようとしたら逆に感謝されるということがあったりしました。
周囲のメンツからは、小柄だったこともあり妹を相手してる姉達にしか見えず、無駄に好印象だったとか。




