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最強令嬢の育児日記-PS:育児対象は拾いました-  作者: ミコト
双子ちゃん本格始動

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11/37

ようやく誕生日会開始

--シル--

とりあえず本来の目的だった、どこぞのバカが、貴族宅でやらかしてるからよろしくと頼まれた件を双子ちゃんが、解決してくれたので、ようやく誕生日会を開始した。


どうやら、ずっと悪人の気配がうっとおしかったらしい。


とりあえず騒がせたお詫びを渡しておこうかしら。

「というわけで、せっかくのお誕生日会を騒がせたお詫びにこれあげる。」

「ありがとうございま・・・す・・・」

すでに3~4個渡しているのにもかかわらず追加で渡す私に何か言おうとしたものの私の身分を思い出して全てを飲み込んで素直に受け取る幼女ちゃんだが、なぜかフリーズしており、近くにいたメンツも全員フリーズしてる。

「どうかした?」

「いえ・・・あの・・これは・・」

「フィンガーブレスっていうアクセサリーよ?知らない?」

指輪と腕輪を鎖でつないだようなやつのことよ。

人差し指、中指、薬指にそれぞれ白銀の鎖が伸びており、腕輪も指輪部分も同じく白銀。

そしてよくよく見ると色々刻印されてる一品。

きちんとサイズは勝手に調整されるわよ。

だから一生ものよ。


ちなみに、双子ちゃんの分とか代わりに渡した分とかを含めて、これで6つ目(どれも値段は最低金貨10前後)だったりする事実をひっそりと執事のじいさんが告げg・・・報告したため、絶句された挙句、土下座されそうになったのは余談。

まぁ、他にも教科書の3本セット以外にもあらゆる範囲の教本と呼べる気がする本を10冊ほど騎士の連中にバラバラで、あとで渡しておいてと言って渡してたりするけど、気にしない。(あと1冊1冊は割と分厚かったりするのも気にしない)


執事のじいさんが代わりに応えた。

「それは存じているのですが、こちら・・ただのアクセサリーではありませんよね?」

「そうよ。我が家で雇ってる連中が合作で作ったやつで、私は使わないからあげる。」

「それは・・ありがとうございます。ちなみに、どういうものなのでしょうか?」

私の自家製であることの意味を正しく受け取ったらしい執事のじいさんが言いたいことを飲み込んで話を続ける。

「これ自体は、ちょっとやそっとじゃ壊れないおしゃれな籠手よ。ただ、杖代わりになるように魔法制御の補助をしてくれるわ。」

きちんと両腕に身に着けるいわゆるセットものよ。

「それは・・両手が開くのでいざというときに便利ですね。さらに、杖を持てない緊急時に悟らせないことも可能・・。」

杖を持っていないと思わせることは、いざというときにやり返せる。

それは、かなり貴族令嬢ということを考慮するとメリットとしては高いはず。

「後、それに魔力を込めた状態で殴ればゼロ距離で衝撃波が通常の5倍の威力で発動するからいざというときは殴るだけでもそれなりに身を守るわよ。ストレス溜まるだろうし、屑は殴ってやればいいのよ。そのくらいすればこの子みたいにおとなしい子だったら間違いなく周りはこの子の味方をするだろうし」

魔力を込めれば込めるだけ威力が倍加したりするけど、言わなくてもいいわよね。

おまけにその衝撃波は周囲一帯に散らばるような感じではなく、殴った相手にだけ衝撃波が飛んでいくように指向性が定まっているので余計に威力が増加してたりするけど・・まぁ、これも無理して言わなくてもいいわよね、危ないわけじゃないし。


元々私用に作られてたんだけど、アクセサリーを身に着けないから邪魔という扱いをしたために、箪笥の肥やしになってた一品だったり。(そもそも私は殴る前に蹴るタイプだし)

でも、デザインはきれいだから身につけなくても眺めてたりはしてたから、作った連中にはそう言って慰めたけど。

で、いつかそれを使うに値する人物を私が見つけたらその人に使いこなしてもらおうということになり、今回渡すことにしたのよ。

全員「・・・」

なぜか全員絶句。

「あ・・あの・・そんなにすごいもの・・良いのですか?」

幼女ちゃんが恐る恐る私に尋ねる。

「そうね・・じゃあ、私がそれを渡してよかったと思えるくらいにそれを使いこなして活躍して頂戴?」

「っ!はい、頑張ります。」

ある種の激励ね。

将来のざっくりした目標があればこの子は、もっと伸びるわ。

だから、将来を楽しみにしているから頑張ってね。




「で、シルさん・・ちょっと聞きたいんだけど・・」

「ん?」

ツンデレちゃんが私に何か聞きたいらしい。

「あの時、オチビさんたちからの手紙に書かれてたあれって結局どういう意味だったの?」

「あれって・・・・狩&トレジャーハント中ってあれ?」

「そう、それ。」

「私がここに来た理由を説明した時点で通じてるものだと思ってたわ。」

「何っていうか・・わかるようなわからないような・・」

「えぇ・・ちなみに、理解したメンツはいるの?」

わかった人、挙手というと、執事のじいさんと商会のじいさん、あとは、夫人と当主だけだった。

お嬢ちゃんとメイドちゃんはわかるようなわからないようなという表情で考え中の表情。(年齢を考慮するとなかなか良いわね)

「・・意外と少ないわね。まぁいいわ。簡単に言えば、狩は、害虫、つまりは、どうにかしろって言われてた悪い奴の退治。

トレジャーハントは、そいつらがいろいろやらかした証拠品よ。」

「・・・・あ、なるほど。・・説明されて分かった・・というより、そのままの意味だったのね、私の頭は固かった・・。」

地味にツンデレちゃんは気付かなくて落ち込んでる模様。

「意外とそういう言い回しは便利よ?雑談交じりでも、遊び感覚でもいいからそういう似たような言い回しを使ってみなさいな。意外と面白いわよ?」

「例えば?」

「そうね・・。バイトしたことある?」

「バイト?・・一応あるわよ?ギルドの依頼の一種って感じだけど。」

「バイトってさ、勤務する時間が何種類かあるでしょ?」

「そうね。3交代で、早い方と最後の遅い方とか、日中だけとか夜間だけとか。」

「それならいいわね。ここからがその言葉遊びよ。」

「ここからなのね。」

「そ。例えば明日が早い勤務だったら、圧送とか。逆に明日が遅いならあっちとか、阿地とか。」

私の言い回しを聞いてわからなかったと先ほど言ってたメンツは頑張って考えている。

「・・・あ、そういうことね。純粋に1つずつ読み方を変えてそのまま組み合わせただけなのね?」

「そうそう。さっきのだって、討伐依頼なら、害虫駆除でもハンディングも狩りも似たようなものでしょ?」

「・・・確かに。で、探すものは何でもいいとして採取に証拠品探しは、宝探しだと・・確かに。・・意味を考えたら大まかに言えば一緒だわ。」

「それに、そういう言い回しを考えるのって、面白いし、よくわからない言い回しをする人だっているでしょ?依頼相手とかで。・・・何事も頭が固いとやってけないわよ?」

「あぁ・・・確かにいるわね。というかいたわ。・・過去に、ギュッとして、ぐるっとしてからガツン!って言われたことがあったわ・・。」

「圧縮してから何かに包んでぶつけるの?」

わかんないの?

多分双子ちゃんも私と同レベルで理解出来ると思うけど。

「・・・・なんでわかるのよ。それガチで依頼人がそのまんま言って来てすごい困ったんだけど・・実際その通りだって、依頼人の友人が通訳してくれてわかったんだけど。」

「そういうのを瞬時に理解できるのは依頼主にとってはすごくうれしいものよ?」

というより、そういう言い方をする奴に限って無駄に頑固で面倒なことになることだってるわよ?

ツンデレちゃんのその時はかなり運がいいと思う。

「・・・確かに。ちょっと頑張ってみよう。・・それにちょっと面白そうだし。」

定番どころだと、テーマを1つ決めてその類語を思いつくだけ言って、多く言えたやつが勝ちとかね。

「じゃあ、これあげるからみんなで学ぶなり遊ぶなりしなさいな。」

「この本は?」

「そういう言葉遊び関連をまとめた、遊びと勉強を混ぜ合わせた一応教本よ。将来の職業次第では、いろんな人相手にいろんな言い回しをする必要ってあるでしょ?」

これも、お嬢ちゃんにプレゼントしてる中に混じってるわよ。

「確かに・・有名な所だと商人とか外交官とか。」

「そういう感じで遊び感覚でいろんな言い回しを覚えれば、いざ無茶ぶりをされたときに考える余裕があるからある程度余裕を持って対処・行動が出来るから、我が国ではそういう感じで学ぶことを遊びながら覚えるという方針を推奨しているのよ。他にも、コミュニケーションを多くの人と取らせるためにわざと教科書の内容を最低限にとどめて、辞書やその関連に詳しい人と会話をさせたり、互いの意見を言い合ったり。」

その言葉を聞いて執事のじいさんが驚いた表情で私を見て言った。

「・・あの教科書はそこまで計算された上であそこまで詳しく書かれていたのですか?」

「そうよ。あの1冊だけでもある程度十分な情報はまとまっているけど、学園に通うとなるともう少し詳しく知りたい内容だってあるでしょ?」

「そうですね。」

「それに、多くの場所からいろんな人が集まる場所なんだもの交流しないほうが損でしょ。他にも、将来どの職業についても調べ物をすることってあるじゃない?まぁ、学園に通ってなければその1冊の情報だけで十分だったりするからその線引きはかなり難しかったらしいわ。後は、伝手は広げておいて損はないでしょ?」

「そうですね。確かにそれはありますね・・それらのことも全て考慮されているものだったのですね・・さすがですね。」

私の実家で作っている教科書だと知っているので執事のじいさんは私の祖先がこの教科書をそこまで考えたうえで作っていることに驚きつつも感心しているようだ。

「え・・ちょ、ちょっと待って頂戴!」

「どしたの?」

「その教科書って・・アルカンシエル国で発行されてるあの教科書のことよね?」

「そうよ?」

「なんで、そこまでその教科書について詳しいの?」

「なぜって・・え?気づいてないわけ?私、ファミリーネームを隠しもしてないのに?」

「え?」

「あぁ・・お兄さんが後を継ぐからそのあたりをきちんとお勉強してないわね?ツンデレちゃん。」

「ツンデレちゃん言うな・・・え、てかなんで我が家を兄が継ぐのを知ってるの!?」

「で、ツンデレちゃんは実は薬師で、薬草や毒草の目利きが得意でしょ?」

「マジで何で知ってるの!?」

「だって、ツンデレちゃんの家と契約してるもの。」

「・・・・・・え・・・え?」

ガチで困惑というか、私の情報網?にビビってる。

実際、後ろからゆるりと抱きしめてあげてるのにいつもみたいに逃げる余裕がないので私にされるがままになってる。



「え?・・え?」

「我が家とその近辺の知り合いとかは、基本的にツンデレちゃんの家から派遣された人が育てた薬草か、薬師とかを雇ってるんだけど?」

「・・・・ちょっと待って・・本気で待って?・・そこまで知ってるのに加えて、確か儀礼剣も持ってたわよね?」

顔が引きつった表情で私に抱きしめられたまま私を見つめるツンデレちゃん。

私、身長180は届かないくらいで割と高身長なんだけど、ツンデレちゃんは15歳を超えたばかりなのに加えて小柄らしく160届かないのよね。

だから、そのまま抱きしめたら私の胸に埋めることが出来たり。


「持ってるわよ?ほれ。」

儀礼剣を、紋章が見えるように見せてあげる。


しばらく見たツンデレちゃんは、何か思い出したらしく顔が青ざめかけている。

「・・・シルさんのファミリーネームって、イーリスさんって言ったわよね?」

「言ったというか、ギルドカードに書いてある通りだけど。」

「・・・秋の大陸出身?」

「そうね。」

「ま・・・まさか・・・イーリスって・・あのイーリス?」

「イーリスってファミリーネームって複数あるの?」

ファミリーネームは、教会側で全世界で重複しないように管理してるから、基本的にファミリーネームを持つときは必ず教会に行く必要があるのよ。

ファミリーネーム持ち = 貴族 っていう決まりがあるからね。

要するに男爵の地位を授かる時はファミリーネーム持ちになれたということになるから、教会で儀式を行うのが恒例になるわけね。


青ざめるのを通り過ぎて真っ白になってるツンデレちゃん。

私がツンデレちゃんを抱きしめたり私の胸に埋めたり撫でまわしたりしてるのにされるがままになってる。

この子、かわいいからつい構いたくなるのよね・・なぜかしら?

足元に集まるにゃんこたちを見て気付く。


・・・なるほど。

ある意味、双子ちゃんとは別の方面でにゃんこっぽいから構いたくなるのね。

私は猫派だから。

そして、双子ちゃんもにゃんこっぽいから同じく構いたくなる。

今はおとなしく、この家の料理人たちが嬉々として大量にいろんな料理を作っては笑顔の他のメイドさんたちに餌付けされてる。



「あの・・マスター・・どうしたんすか?」

様子のおかしいツンデレちゃんを心配して声をかけるクランメンバーの声にハッ!っとした表情で復活した。(私の行動に反応する余裕はいまだにないようだけど)

「どうしたも・・こうしたも・・ないわよ・・。シルさんは・・・いや、シル様は間違いないわ・・。」

「いや、だからそこの巨乳美女がどうしたんすか?」

白から青に表情をかろうじて戻した状態でぽつりぽつりと呟きだすツンデレちゃん。

「この家のお嬢様がもらった教科書・・アレ、知ってるわよね?」

「芸術の国って言われてるアルカンシエル国のやつっすよね?」

「じゃあ、あの教科書を作ってるのはどの家か知ってる?」

「えっと・・・どこだっけ?」

他のクランメンバーがあれこれ言いだす。

「あんた知らないの?」

「アルカンシエル国の中でもその知識は必ず知らないと絶対死ぬ羽目になるわよ?」

「そうそう。」

「アルカンシエル国のイーリス公爵家に決まってるじゃねぇかよ。」

「イーリス公爵家って言えば、あの国で最も有名な家だよね?」

「そうだぜ?何しろ、あの国の宰相閣下であるご当主様と、あの大国最強の騎士団長の公爵家夫人。」

「しかも、あの国の王族一同どころか貴族一同すらも神聖視するほど信頼するある意味あの国最強の一族。」

「普通なら不敬罪がどうのとか国家転覆とかを狙ってるとかいろいろ面倒なことになるパターンがあったりするけど・・国王陛下が堂々と何か困ったことがあればイーリス公爵家に頼れって満面の笑みで言ってるのは有名だし・・。」

「あらゆる敵を葬り去り続けながら仕事は完ぺきにこなしつつ、愛娘を溺愛し、愛娘に近寄る敵はすべて消し飛ばすのを片手間にこなす最凶夫婦。」

「そして、その徹底ぶりについたあだ名が2人揃って芸術の国の最終兵器。」

「って、話は常識中の常識だよ。」

「そうなのか・・で、それがどうしたんすか?」


「あの教科書・・どこかの店で買ったものだと思う?」

執事のじいさんが私から渡されたまま持ってるので全員がそれを見る。(お父様のサインも見える)

「・・店で買ったにしてはきれいすぎない?」

「同感。」

「ってか、あのサインは?」

「え?知らないの?」

「教科書については知ってるけどあのサインは知らない。」

「あれはね?イーリス公爵家のご当主様の直筆サインよ!すっごいレアなのよ!?」

「マジで?」

「まじまじ」

「で、なんでそれが書かれてるの?」

「あのサインは、イーリス家の方で直接作られた証なのよ。つまり、そんじょそこらのお店で買うやつには必ず書かれることのない一品。」

「というより、あのサイン入り教科書を渡されるというのは、イーリス公爵家に認められたって意味でもあるからものすごく名誉ある代物なのよ!?」

「要するに、あのサイン入り教科書は、イーリス公爵家の関係者しか持ってないし、それを転売とか他の誰かに渡そうすると数日もしないうちにそいつの姿を永遠に見なくなるって噂よ。」

あぁ・・確かにお父様もお母様もそれ・・よくやってるわ。(2人の趣味は笑顔でゴミ掃除)

「こわっ・・冗談抜きでこわっ!」

「でも、あの国の最終兵器なんでしょ?・・冗談になるはずないじゃない。」

「だよな・・・ん?」

「どうしたの?」

「そんな教科書を、今現在、我らがマスターをそのおっきなお胸に埋めて好き放題に撫でまわしてる美女がプレゼントした?・・しかも無料で?手軽に?」

「おまけに、その教科書について関係者しか知らないこともよく知ってるのに加えて?」

「俺らのマスターの実家のこともよく知ってる。」

「トドメに、あの巨乳美女のご両親ってものすごい親ばかで、数日もしないうちに近辺情報は完全把握して敵は消し去る徹底ぶり・・って。」

全員「・・・」

「まさか・・・」



「まさかとは思いますが・・あなた様があの、逆鱗姫?」

我が家についての情報交換会終わった?

私にされるがままになってるツンデレちゃんが青ざめた表情がだんだん私の胸に埋められて赤くなりつつ意識がもうろうとし始めてるけど。(表情もとろけ始めてる)

「そう呼ばれてるわね。・・っていうか、シル・イーリスだって最初から隠してないのによくもまぁ、気づかないものだなぁと思ってたわ。よその大陸だからそういうものなのかと思ってたけど、あんたらの会話からそうでもないってわかったけど。」

「シル様・・恐れながら、あなた様のご実家に関しては、貴族関係・・と申しますか、芸術の国に関わる、もしくは尋ねた、尋ねようとした者であれば誰もが知ることであり、大陸を離れてる云々は関係ないほど有名ですよ。」

「そういうもの?割と気づかれてなかったから大陸を離れてるから気付かれてないのかと思ってたけど。」

「そういうものです。実際、奥様はシル様の顔を一目見た瞬間に気付かれてましたよ。」

「・・確かに。実際私の似顔絵とかって出回ってるわけじゃないのよね?」

「そうですね。シル様のご両親が猫かわいがりしてる、虹の公爵令嬢であり、舞踏爆弾魔ダンシングボマーとして冒険者としても非常に腕の立つ美女だということくらいしか知られてませんよ。」


クランメンバー「・・マジかぁ。」

「あんた等ガチで気づいてなかったの?」

「うっす。」

「ある意味おとぎ話のような認識だったので目の前にいるすごく気さくな巨乳美女がそうだなんて思わなくて・・。」

「身分差を完全無視してすごく親しみやすかったから余計に・・貴族の中でも上位貴族は気難しいって先入観が・・」

「あぁ・・そういうこと。基本的には正しいわね。まぁ、我が国に関してはそういう馬鹿は存在しないわ。」

「そうなんですか?」

「えぇ。だって、お父様とお母様がそういうの大嫌いだから全員、存在ごと消してるに決まってるじゃない。まぁ、初代様からそういう性格のメンツが揃った一族だから今に始まったことじゃないけど。」

全員「・・・」

「で・・その・・そろそろマスターを放してもらえると・・・」

「ん?・・・あ」

気付くと顔を赤くした状態でぐでんぐでんになってる。

どうやら、私のことが誰か気付いて不用意に暴れて距離を取るのは失礼という考えになったせいで逃げようにも逃げられずにそのままこうなったようだ。

「えぇっと・・いる?」

「・・もらいます。・・後、そのお胸は危険なので埋めるのはそちらの双子のお子さんだけにしてください。」

私の胸は危険らしい。

そして、埋めて良いのは双子ちゃんだけらしい。

「あぁ・・マスターがぐでんぐでんになってる。」

「いつも、つんつんしてて時々デレってしてるところがかわいいのにこれは・・新たな扉が開かれそう。」

「わかる・・。」


とりあえずメンバーらしい女の子たちに手渡しする。

で、どこかうらやましそうな表情になってたお嬢ちゃんをとりあえず抱きしめておく。

埋めたらぐでんぐでんになるからソフトな感じ。


双子ちゃんたちを相手するようになってから無性に何か抱きしめておきたくなるのよね。

・・まぁ、適当なものは嫌だし、むしろ下手なやつだったら消し飛ばすけど。

なので、双子ちゃんを抱きしめられない時は大抵、近くにいるにゃんこを抱っこしてたりする。

ちなみに、抱っこするというか抱っこを喜ぶにゃんこは大抵、膝乗りちゃんである一番でかいにゃんこだけだったりする。(ほかの子は抱っこも膝乗りも要求してこないのよね・・このでっかい子だけ)

「でも、私自身身分とかどうでもいいから最初に会った時みたいなラフな感じで構わないわよ。」

「えっと・・よろしいので?」

「ていうか、そんなのであーだこーだ言う性格なら最初から言ってるっての。」

「・・・それもそうっすね。」

「けど、他の貴族はあんたらが想像する通り七面倒な連中だろうからそれで合ってるわ。」

「うっす。」


「っていうか・・お子さん方・・食べすぎでは?シル様も含めて。」

双子ちゃんもだけど私も会話しながら食事してたらツッコミを入れられた。

「そう?でも、この子たちは無理はしないから大丈夫よ。」

「いや・・すでに、俺ら以上に平然と食ってるんすけど。」

「双子ちゃんはいつもそんなものよ?私の場合も大体こんなもんだけど。」

商会長のじいさんも私たちのことを知ってるのでうんうんと頷いてる。

「・・・」

「あ」

「あって、どうしたん?」

「思い出した・・・シル様・・まさか、その子たちが、あの”静寂乃双子サイレンスジェミニ”?」

「そうよ。ステータスにもそう書いてあったし」

静寂乃双子サイレンスジェミニって、最近有名な?」

ただひたすら物静かで、目の前にいてもどこにいるか見失いそうになるから実は幻か、特定の人にしか見えない妖精や精霊の一種だとか、ガチの天使だから心が清らかな人にしか見えないとかいろいろ言われてるけど。

そして、その姿を目にしたらその日は幸運に恵まれるとか何とか。

実際はただひたすら気配を消してるから見失いそうになったりしてるだけなんだけど。


そんな噂を加速させる主な原因は私のことを女神さまとほざく連中である。

私が女神ならそれに寄り添う双子ちゃんは天使だ!

とか何とか。

しかも、ちょっとやそっとの相手では決して近寄ることすらしないどころかお手も含めてお触りを許す相手が滅多にいない(双子ちゃんの辛口評価の結果)のでそれがそれらの噂を倍速してる理由だったりする。


「そうそう。」

「・・言われてみればそうだわ。見て感じたまんまだわ。」

「にしても・・巨乳美女と並べるとこの子たちもかわいいから目の保養がやばいわぁ。」

「わかる。」

「でも、踏み込みすぎるとうちのマスターみたいにぐでんぐでんになるぞ。」

「・・・きれいな花には毒があるのね。」

「あってるようなそうでないような・・。」

言いたい放題ね・・まぁいいけど。


「にしてもどうすんの?家のマスターあのおっきなおっぱいのせいでぐでんぐでんになってて、歌どころじゃないんだけど。」

「・・・ってちょっと待って?」

「どしたん?」

「私ら、もしかしてさ・・あの虹の公爵令嬢様の目の前で歌って、演奏するの?」

クラン「・・・」

「アレ?・・もしかして、過去最高に俺ら・・プレッシャーがヤバい?」

「・・・ヤベェどうしよう。」

こいつらの言いたいことはわかるからあえて教えてあげる。

「特に下手とかどうのとか言わないわよ。あんたらがどれだけ真剣に演奏してるか歌ってるか、または楽しんでるか見抜くだけだから。」

「つまりは、ふざけてなければオールオッケーだと?」

「それでいいわよ。下手でも全力で楽しんでるとか真剣だったらそれはそれで今後に期待するだけだし。というより逆に上手くても感情がこもってなければ逆に聞く価値すらないと思ってるけど。」

「あの、俺ギターを弾いてるんすけど、それで質問いいっすか?」

「良いわよ?」

「別のパーティで、同じくギターを弾いてるやつがいて、俺は上手くなりたいとは思うけど、楽しむことも大事だって思ってるんすよ。けどそいつは上手ければ良いんだから感情なんて邪魔だって言うんすよ・・俺・・間違ってるんすかね?」

「なるほどねぇ・・。私の意見としては楽しむ気持ちはすごく大事よ。」

「そうですよね!?ちなみに理由とかあります?」

「そうね・・簡単に言えば、ただ上手ければ良いんなら、正直そいつが演奏しなくても音を魔道具に録音してそれを垂れ流しにすればいいんだからそいつが演奏するだけ無駄だと思うけど。」

全員「・・・」

「・・・言われてみればそうっすね。うまい演奏を聞きたいなら魔道具で演出してそれを聞けばいいんだからわざわざ人間が演奏してうまいだろーって自慢する必要ないんですよね。」

「でしょ?だから、上手くなるのは大事だけど感情を捨てたら正直、演奏の練習をするだけ無駄だと思ってるからあなたのその気持ちは大事にとっておきなさい。むしろ、感情がなくなり始めたらその時点で音楽をやめなさい。」

「・・そうっすね。俺・・頑張って練習して、上手くなっていくのを実感するのもそうなんすけど、練習するときも本番で演奏するときもすごく楽しいんすよ。・・その気持ちを忘れないようにします。」

「頑張んなさい。それにどれだけうまくても本人が楽しんでなければ、それを聞いて感動させたいなんて寝言をほざくなって思うわよ。」

「確かに・・。」

「だから、上手く演奏しようという気持ちよりも、私にどれだけ楽しんでるか証明して見せなさい。」

クラン「はい!」


ふむ。

この感じだと私も色々と楽しめそうね。



後で、こいつらのその気持ちに評価して音楽系の教本をプレゼントしてあげましょう。

あらゆる楽器に対する基礎的部分が載ってるのよ。

そこから先の応用は本人たちの経験とかによる頑張りどころだから土台を固める部分って感じだけど。


歌で言うところの、呼吸法や姿勢に感情の乗せ方とかそんな感じね。

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