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不幸な世界からの唐突な追放

あるところに小さな村がありました。

この世界に4つ存在する大きな大きな大陸の内1つの大陸の端の方にあるザ、田舎の一角。

特産物といえば、村人の何倍の数はある牧場関係だけな、本当に小さな穏やかな村

そんな村は、偶然上空を通り過ぎたドラゴンによって、一瞬で滅びました。

家も人も柵もペットも虫も全て


ドラゴン

この世界では、魔物と呼ばれる体内に魔石という力の源を宿した生物が存在する。

その中でも頂点に立ち、

地震、雷、台風と並ぶ天災や、災害扱いされる程全ての生物の頂点に立つ最強の生き物であり、それを倒すことができれば単独撃破でなくとも英雄扱いされるほどである。


そんなドラゴンの炎のブレスによって全てが灰になってしまった村だが、牧場の羊、馬、牛、山羊、鳥は、灰にならずに良い火加減で、炙られて、焼かれている。

何故そんなことをドラゴンがしたか何てことはドラゴンの言葉が分からない限りの永遠の謎だろう。

だが、今回に関しては現場を目視した者がいれば断言出来ただろう。

ただ、お腹が空いてちょうどいいところに餌があったから自身のブレスで焼いた。

そのとき偶然近くにあった村が人諸共巻き込まれただけだと。

実際、そんなドラゴンは地上に降り立ち、大変ご機嫌そうに食事しているのだから。

そして、食べかすもなく綺麗に食べ尽くしているところからも食事マナーがよく出来た?ドラゴンだろうか。

ドラゴンの世界で食事マナーが存在するかは謎だが。

人からすれば良い迷惑だが、ドラゴンからすれば知ったことではない。


そんな村だが、小さな、

本当に小さな動く影が2つあった。


白にほんのわずかに翠色を混ぜたかのような淡い色合いの髪と

銀の瞳を持つ子供が2人

髪や瞳の色が全く同じ

そして、背格好から顔立ちまで全く同じことから異性の双子のようだ。


だが、髪はバサバサ

服は布切れと言いたくなるほどのボロボロで、裸足

人生の楽しみを一度も理解し、経験したことがないと言っているかのような死んだ瞳

一切の感情も、反応のない表情

泣くことも嘆くことも怖がることも皆無

誰がどう見てもドラゴンによるブレスでボロボロになったのではなく、虐待、育児放棄という言葉が最初に出てくるような長年その姿、その扱いが当たり前と言う感じだ。




じぃっと、ドラゴンを無口無表情で互いの手を握り合った状態で見つめる。

そんなドラゴンはと言うと、食事が残り1割と言うところで、流石にそんな視線に気づいた。


ドラゴンと視線が合えば、怯えるか闘うか泣き叫ぶか絶望しかない。

そんなドラゴンもこれまで多くの人間と対立し、襲いかかってくる人間を長年倒して生きてきた。

だが、今回に関しては生まれて数百年生きた中で初めて経験する状況だった。

全く喋らず表情を変えずに見つめてくる初めて見る子供を観察しながら内心ではどうすればいいか悩んでいた。

基本襲いかかってこない限りは追い討ちはしない主義だから余計に扱いに困っていた。

だからといって、そのまま無視して飛んで帰ったら帰ったで逃げ去ったかのように思われるのは癪であり、

それならさっさと始末してしまうとそれはそれでプライドに傷が付く気がした。

そのため、動こうにも動けなかった。


ドラゴンは今ほど言葉が通じないことに対する悔しさと、素直に襲ってきてくれた方がよかったと思うことはないだろう。


「・・・・」

「・・・・」



しばらく見つめ合っているとドラゴンはふと既視感を覚えた。

・・・・・はっ!

そうだ。

まだ卵から産まれたばかりの頃、親ドラゴンが離れている最中に敵に襲われ殺される寸前だったことがあった。

そのとき、どうあがいても勝てる自信は一切なかった為、全てをあきらめ、食い殺されることを受け入れた自分自身と同じだと。


ドラゴンは、今の状況を打破する唯一の術がその当時の自分自身の経験だと確信して必死になって思い出す。

あの後どうなったか。

そうだ!

慌てて戻ってきた親ドラゴンにより敵は倒され、自分は助かった。

だが、幼くも自分は立派なドラゴン。

それなのに、負けそうになったことが悔しかった。

そんなとき、親ドラゴンから多くの肉を与えてもらい、食べさせてもらった。

今はまだ子供。

故に、多く食べ、多くの経験を積むことが唯一の強者への道しるべなのだと教わった。

実際、親監修の元、多くの経験をして、年の近いドラゴンよりも圧倒的に自分は強くなった。


そうだ。

食事だ。

餌だ。

ちょうど自分が食べているものの内、幼い人間と同じくらいの大きさの肉まるまる1頭分があった。

それを与えよう。

体も小さいしそのくらいでちょうど良いだろうとドラゴン的な目分量で決めたようだ。

そっと自信の爪で良い具合に焼けた肉1頭分(鳥)を人間の前に差し出した。

そして、残りのモノに囓っては人間をチラ見を繰り返した。

すると、おそるおそる肉に人間2人は囓りだした。


よし!

通じた!


後出来ることと言えば・・ん?

背中に何か引っかかっている・・布?

いつ引っかかったモノかはわからないが、ちょうど良いと思い、人間2人にその布をかぶせた。


服を着るという文化がないドラゴンから見ても寒そうに見えたのだ。

そして、残りの食事を済ませると強く生きれと言う意味を込めて大きく咆哮を空に向けて放ちながら自信の巣穴へと帰った。


うむうむ。

我ながら良いことをした。

たまには良いモノだと思いながら巣穴へと帰る道筋は不思議と体が普段より軽く感じたようだ。

とりあえず、人間と意思疎通がとれる手段を探しておこうとか頭の隅で考えながら。







ちなみに、今回のようなケースは、神のイタズラとも豪運とも言える偶然だ。

今回のドラゴンがなんとなくそう思って気分で動いた故に助かっているが、場合によっては鬱陶しいからと言う理由で消し飛ばすことだって珍しくはない。

本当に偶然が偶然を呼んだ奇跡だったのだ。

ここで、世界で初めてドラゴンにお裾分けしてもらった人間の誕生だった。

とはいえ、そんなことはドラゴンも生き残った子供2人も知るはずもないし、わかるはずもない、その為他の誰かに今回の事実が伝わるはないだろう。

この事実をもしも知る人がいたら嘆くほど大変勿体ない隠蔽である(無自覚)





ちなみに、何故このドラゴンにもらったマントを2人で仲良く羽織っている双子は一切の反応をしなかったか。

まず、そもそもドラゴンのことをこの子たちは知らなかったのだ。

当然見たことも聞いたこともない。

知らなければ、脅威の存在だと分からない。

故に怖がることはないということだった。

そして次に、物心ついた頃からのこの子たちの村人たちからの扱いが、強く強く影響していた。


本人たちは知らないが、捨て子だった。

それを拾ったのが今いる村だった場所の前村長だった。

だが、数年後に老衰で亡くなり、その息子が育てることになった。

問題だったのはここからだった。

現村長は選民意識が、激しかったのだ。

この村近隣というより、世界の6割は髪色は濃い色が多く、その中でも半数ほどは茶系統の地味な色合いが占めていた。

その為、淡い色の髪色は珍しくはないが少々少ないかな?程度だ。

そして、この村では全員が偶然茶系統の髪色以外存在しなかった。

そんな時、ほぼ白という全く異なる色合いの双子。


ちなみに、世間一般で髪色や双子に対する差別はない。

その代わり、髪色による固定概念や先入観が地域によってチラホラと存在する程度だ。

例えるならば赤髪は暑苦しい人だ、青髪は冷たい人だのような感じだ。

そして双子は世界的には全体の1割程と少ないが、

大陸や地域によってはそれよりも更に少なかったり、逆に3〜4割と多めだったりすることはある。

ちなみに、黒髪は全員の0.1%以外だったりするのは余談。


この村近隣では、双子は偶然存在しなかったとこで、村長をはじめ村人全員が気味が悪いと距離を取るようになった。

そして、どんどん扱いは悪くなり、最終的に

倉庫の地下に閉じ込められ、

食事も2〜3日に一度黒パンと水だけ

服などの布関係の準備は皆無な状態が続いた。

その中で、触れるのも穢らわしいとか何とかで暴力が振われなかったのは不幸中の幸いだろう。


当然教育も会話も何もしなかった為、喋り方も知らないどころか声すらも発することが出来ない状態になってしまった。

かろうじて外から漏れ聞こえる声と村長の愚痴と罵詈雑言によって、聞いて理解することはかろうじてわかったし、双子の影響か何かアイコンタクトで会話が可能だった為、苦労しなかった。

後、この双子は本来であれば秀才と呼ばれたほど頭が良かった為、僅かな聞こえた情報から事実を見つけ出すとこで、一切の教育がされてない状態で普通に聞いて理解するという、一般的に生活に困らない程度の知識を自力で身に付けていた。


で、自分とほぼ同じサイズの大きな鳥の焼けた肉をドラゴンに奢ってもらった双子はと言うと、まさかの肉を全て平然と完食して、無表情ながら満足気だ。

縦にも横にも小さなその体のどこに収まるのか不思議でならない。

お腹も満たされたことである程度精神的に余裕が出てきたらしく今度は自分たちの体臭が気になったようだ。

かなり長い間監禁され、まともな食生活を与えてもらえなかったことで無自覚ながら精神的に余裕がなかったのだろう。

そして、閉じ込められた部屋が地下でその上のフロアはいろんなモノが押し込められた倉庫のため、匂いも割と長期間は吸いたくない香りだったため、鼻が麻痺していたのだろう。

更に運が良いことに、その日は快晴、更にドラゴンによって辺りは全てが灰にされたことで全体的に暖かい。

近くに川が流れていたため、そこで口の中から頭から足の爪まで体と来ていた服のような布きれを洗った。

一度始めるととことんやりきりたいと思ったようでかなり念入りに洗ったようだ。

そして、服を乾かし(その間仲良くドラゴンからもらったマントを羽織っていた)、着替えたところで改めて今後のことを悩んだ。

ちなみに、ドラゴンがくれたマントは街でよく売られている一般的な真っ黒なマントでそれを着て歩いてもそうそう目立つモノではない非常にシンプルで、何の飾り気のないものだ。


何も教わってないはずがなぜそんな普通の生活を送る仕草をこの2人が出来ているかというと、偶然自分たちが監禁されていた場所のすぐ傍で毎日青空教室による勉強会が行われていたからだ。

おまけに、体は綺麗にするべきとか、挨拶は大事ですのような一般常識も教えていたため、それらを耳にしていたことで体を洗い、着ている服を洗い、乾かすために天日干しをすると言う一般的なことが出来ているのだ。

わずかに聞こえていた内容から自分たちなりにかみ砕いて認識するその頭の良さが幸運だった。

後は、他の人間と比べ五感が優れていたことで匂いが気になるという部分経由でほぼ野生の勘で体をきれいにしようと言う考えになったとも言う。




(これからどうしよう?)

(お家なくなったもんね。)

(後、なんかうるさいおっさんたち)

(ご飯持ってくる人いなくなったね)

(じゃあ、僕たち自由?)

(うん、自由。うるさいのは全員いなくなった。)

(じゃあ、どこ行こう?)

(さっきの鳥さんが行った方は?)

(良い鳥さんだったからそうしよう。)

傍からは抱きしめ合いながら目を合わせている仲の良い双子にしか見えないが、2人は視線が合えば会話が出来る。

ちなみに、2人にとっては空を飛ぶ生き物は全部鳥である。

ドラゴンの存在を知らないため、さっきのドラゴンもただのごつくてデカい鳥としか思われてない。

その事実をあのドラゴンが知ればショックを受けるだろう。

(いつ行く?)

(お昼前だし今から)

(だね)

((コクリ))


そして2人は、トテトテと仲良くマントを羽織り、手を握り合ってドラゴンが飛んでいった方へ続いている道に従って出発した。

ちなみに一瞬で滅んだその村はと言うと、巡回している騎士が発見し、国の上部へ報告。

そして、生き残りはゼロと、天災によって滅びた哀れな村と言うことでそっといなくなった2人のことを調べもせずに処理された。







それから2人は、道なりに進んでは休憩を繰り返してちまちまと進んでいた。

例え無自覚になんとなくで魔力を使い、自身の身体能力を強化させることで通常よりは長く歩くことが出来ていたとは言え、まだまだ幼いちびっ子である。


魔力

この世界では、魔法と呼ばれる科学では証明しきれない不思議な現象が存在する。

そもそも科学すらも一欠片も知られていない世界だ。

そして、魔法を扱うための元となる力が魔力であり、体内に血液とは別で流れており、その力を使い様々なことを行っていた。

ちなみに、魔物は体内に宿す魔石を使って、発動させている。

そして、魔力は活用範囲が広い。

先ほど双子が無自覚に使用している身体能力を強化させるワザ。

他にも、それぞれ人には適正魔法がある。

属性魔法と呼ばれるそれは、所謂才能とも呼ばれており人によっては魔力を炎に変換させたり、

氷に変換させたりと超常現象を起こすことも出来る。

だが、誰がどの属性魔法を宿すかは全くわかっておらず、神からの贈り物と世間一般では呼ばれている。

一部では、属性魔法によっては自分は選ばれし者なんだとかほざく頭が可哀想な人間がいたり、それをきっかけに暴動に発展したりすることがあるが。


とはいえ、そんなことを2人が知るはずもなく武器もなく防具もなくただただ進む。

道中空腹になれば、なんとなく見つけた果物やたぶん大丈夫だろうと言う感覚で毟った草で空腹を満たした。

ちなみに適当に毟った草は、薬草だったり解毒作用のあるモノだったりと食べても問題ないモノばかりである。


途中、魔物と思われる生き物を見つけるが相手と視線が合う前に2人はそそくさと岩陰や木陰に隠れて全てを躱した。

そんな感じで進んでいくと空はあっという間にあかね色。

安全に寝ることが出来る場所を探す必要があると、思った2人は進みながら周囲を探した。

すると、良い感じの洞穴があった。

(ここにしよう?)

(そうしよう。)

(一番奥が安全?)

(奥が安全)

(じゃあ、探検しなきゃ)

(だね)

((コクリ))

洞穴の中を進むことにした2人。

入り口付近では近くに生息する魔物に襲われる可能性があり、洞穴の一番奥に何かいた場合、それからも襲われる可能性がある。

それなら、一番奥まで安全確認してから休むという選択肢は正解だ。

ただし、今回の選択はただの偶然のようだが。

そして、奥に進むこと約5分。

そこには、なぜか台座があった。

通常であれば、この洞穴はただの洞穴ではないから調べる必要がある。

場合によっては、お宝が眠っている可能性を考えて隠し通路や宝物庫のような場所を探すだろう。

もしくは、危険な魔物を封印した場所の可能性を考慮して警戒し、すぐに離れるだろう。


だが、この2人は何も知らない。

故に・・

(テーブルがあるね)

(テーブルだね。)

(テーブルの近くで寝よう。)

(安全そうだもんね。)

ただのテーブル扱いであった。


とはいえ、まだ夕方頃、眠るには時間が早く、食事は通りすがりに片っ端から拾い食いしていたことでとりあえず空腹ではなかった。

更に近くの川で体を綺麗にするのを忘れない。

きれい好きなのだろうか、もしくは匂いに敏感なのだろう。

とりあえず、眠くなるまで台座テーブル付近を探ることにしたようだ。


(テーブルのとこ、なんかある)

よく見ると脇の方にスイッチのようなモノがあるようだ。

(何だろう?)

(押したら動くみたい?)

(じゃあ押してみよう)

普通は押さないが、この子達は気にせずに押した。

すると、ガコンと音がした。

それに合わせて、台座に小さな穴が2つ出来る。

2人の手なら入りそうだ。

(穴出来たね。)

(穴の中何かあるのかな?)

とりあえず、2人は穴に手を突っ込んだ。

ちなみに何度も言うが、こういうとき普通は手を突っ込まない。


するとそれぞれ突っ込んだ手先に何かが触れた。

とりあえずそれをつかんで穴から手を抜いた。


何度も言うが、普通は何かに触れたら捕まえずに手を穴から出す。


すると、双子の男の子の手には、真っ黒な木刀

女の子の手には、親指と人差し指の先部分がない真っ黒な革製?らしきグローブが握られていた。


その真っ黒な木刀は、とにかく真っ黒だがキチンとした木製ではあるのは確かなようだ。

次にグローブだが、世間的にはシューティング・グローブと呼ばれる形のようだが、片手分しかない。


それぞれ自分たちが握っていたモノを見ている間にその穴はいつの間にかなくなっており、先ほど押したボタンらしきモノはなくなっていた。

(穴、なくなっちゃったね。)

(さっき押したのもないね)

(他にもある?)

(探したけど、ない)

(だよね)

(でも、これなんだろう?)

(僕たちがもらっても良いのかな?)

(良いんじゃない?誰もいないし)

(だね。それに、これ僕たち以外触れないし)

(私のは私だけしか触れなかったもんね。)

2人は自分たちが持っているモノを交換してみようとしたらパチンと弾かれてしまったのだ。

故に、それらは自分で使うしかない。

(とりあえず、武器が手に入ったね。)

(私のは防具なのかな?)

(片手だけ?)

(さぁ?)



ちなみにこの子達はわかってないが、その武具は世間的には魔剣と呼ばれる特別な力を持つ武具だったりする。

剣以外のタイプもあるがなぜか全てを魔剣と呼んでいるのは誰もが持つ疑問である。

そして、その木刀とグローブは2つ共に魔剣である。

それぞれどういう能力を持つかは不明だが、魔剣は総じて以下の特徴を持っている。


・選ばれた者以外は決して触れることが出来ない

・選ばれた者以外が触れようとすると弾かれる

・選ばれた者以外が無理矢理触れると触れた部位を失うことになる

・色が黒い

・姿形は選ばれた相手に適した形になる


出現情報も目撃場所も入手条件も全てバラバラ。

見た目も黒い以外多種多様。

と言う有様で魔剣がどこでどういうときに誰の元に出現かは全てが不明なのだ。

今回はまさに天の気まぐれとも言えるだろう。

偶然というのか、魔剣が呼んだという必然か。

全てはまさに神のみぞ知る。


と言う大変貴重な経験をしているのだが、この2人は魔剣なんて全く知るはずもなく、とりあえずグローブは身につけ、木刀は武器として活用することにしたようだ。

だが、ちょうど良いタイミングで眠くなりそのまま眠ってしまったようだ。




翌朝。

目を覚ますとなぜか木に背を預けた状態で2人は目を覚ました。

周りを見回すと昨日散々歩いた道が続いているのは良いとして、あの洞穴が綺麗になくなっていたのだ。

(穴ないね)

(どこ行ったのかな?)

(気にしてもしょうがないから行こっか)

(だね)

華麗なスルースキルで気にしない双子だった。


おそらくは、あの洞穴を形作っていた核となっていたのが2人が持っている魔剣であり、それらが契約者を見つけたことで役目を終え、洞穴そのものが消失。

そして、2人は外に追い出されたのだろう。

そんな貴重な経験をしているのだが・・・この事実をもし魔剣を研究している者が知れば嘆くだろうに。







で、さて出発しようかとしたところ、双子の目の前には1人の大人が落ちてた。

見たところ銀髪の成人女性のようだ。

うつぶせで綺麗に倒れているので詳しくはわからないが、20歳くらいの顔立ちは非常に整っている人のように思われるが、着ている服がボロボロではないが長年着ているのがわかるほどのよれよれだった。

(これがざんねんびじんってやつ?)

(たぶん。)

(これ、生きてる?)

(たぶん?なんか動いてるし)

呼吸に合わせて体が動いていた。

(どうする?)

(放置?)

(助ける?)

(私たち何も持ってないよ?)

(起こして助けてもらう?)

(大人は子供を助けるモノだよね?)

(うん。)

(どうやったら起きるかな?)

色々と現実をよく見た幼女達だが、会議は終わったようだ。







--倒れてる銀髪美女--

つんつん


・・やめて・・


つんつん


まって・・やめてぇ・・・



つんつん


体が痺れて動けないのに加えて、全身が正座した後の脚みたいになってるからつんつんはやめてぇ・・


つんつん


地味にダメージ大きいからぁ・・・!


あぁでも、かろうじて体が動くようになってきた。



つんつん


だからぁやめてぇ・・・

頑張って体を動かしてさっきから私の体をつんつんする棒を手でつかむ。


よし、これでとりあえずつんつんする主に会話をして・・


つんつん


!?

まだつつかれてる!?

敵はまだいたか!


んぐぐぐ・・体が鉛みたいに重いぃぃ!

しかもさっきからつんつんされるたびに全身がスタン攻撃されてるみたいで地味にダメージがいたいぃぃ。


頑張ってもう片手を動かしてつんつんしてる棒を握る。


ぜぇ・・ぜぇ・・よぉし・・これでつんつんされないだろう・・。


「つつか・・ないでぇ・・」

まだ手しか動かせないから首とか顔が動かせないから顔を上に上げられないんだよ!

とりあえず、私をつついていた棒を握っていた主2人は、私の声を聞いて言うことを聞いてくれたようで棒を手放してくれたようだ。

それなら正直この体勢きついから棒2本を手放す。


それにしても全く声が聞こえない・・私耳がおかしくなったかな・・?

いや、木の葉が揺れる音とか普通に聞こえるからその2人が喋らないだけだね。


・・アレ?

静かすぎない?

もしかして飽きてどこかに行っちゃった?

・・いや、気配を探ったけどすぐ近くにいるみたい。


と言うか、すっごい視線を感じる。

すっごい見られてる気がする。



と言うかもしも、奴隷狩りみたいな犯罪者達だったらどうしよう!

このままお持ち帰りされて全身を蹂躙されていやぁんなことになっちゃう!?



・・・いやいや落ち着け。

もしも、そうならとっくにされてるだろう私。

実際相手は私にただ興味があるだけらしい。

ひたすらつついた後ずっと私を見てる気配がするし。



それにしても、失敗したなぁ・・。

私、簡単に言うとギルド職員だったんだよ。

とある大きな国の支店のギルドマスターって言うその視点の一番偉い人の秘書的な感じ。

まずギルドって言うのは、簡単に言っちゃうといろんな人たちのお悩みとか依頼を受けて、冒険者という何でも屋の人たちに仕事を斡旋する場所だね。

と言っても世界中で副業含めて就職してる人は9割と言われるほどほぼ全員が冒険者だったりするんだけど。

お金がない人とか、身寄りがない子達が日銭を稼ぐために一番簡単になれる職業だからね。

とはいえ、命のやりとりが当たり前だから死亡率は高いのが難点だけど。


そこで、とある国の公爵ってお偉いさん(貴族)がむちゃくちゃな依頼をしてきたんだよ。

ギルド職員の中で若い女性全員と、冒険者で女性全員、家に来いって内容。

何やらせるかと思ったら、エロいことしようとさせようとしてるし、孤児で可愛い子だったら浚ってこいとかとにかくむちゃくちゃ。

当然そんな依頼受領するわけにはいかないから速攻で拒絶。

それでも色々言うから遠回しな言い方なんて無視してストレートに毒舌吐きまくったけど。


そしたら、本来ならギルドは政治的な身分は行使出来ない特殊な立ち位置にいるはずなのに私がギルド職員としての身分を利用して公爵のエロ親父に暴言を吐いてきたってことになっていたんだよ。

自分がしようとした依頼は全くなかったことにされて。

当然ギルドマスターを初めとした、その現場を見ていた他の職員や、冒険者のみんなは元々はと言えばエロ親父が悪いと言うことを頑張って言ってくれたけど、

そしたら私兵を使ってギルドを潰そうとする有様。

国王はどうしたぁ!!

と思ったら、エロ親父の兄が国王で、弟にだだ甘だったことで事実上そのエロ親父が国のトップになってる有様だった。


だから、私が首になって資金とか手持ちを全て手放すことでその横暴を阻止したんだよ(私を頼りにしてくれてたギルマスからは絶望顔で号泣されたけど)

おまけに気付けば、なぜか国外追放になってるし、国内では私が公爵と国王に暴言を吐きまくった挙げ句、ギルド職員としての身分を利用して詐欺を働いた悪い人と言うことになってた。


・・・だから逃げるようにして、国を去ったら去ったでエロ親父の私兵に捕まって奴隷にされそうになったし。

奴隷も奴隷で性奴隷だよ!?

確かにモテてたし、スタイル自身あるけど、誰があんなエロ親父なんかの性奴隷になるかってぇの!!!

頑張って逃げたし、逃げ切ったよ。

持てるワザ全てを周囲に暴発しまくって。


そのときに痺れ薬を投げつけられてとっさにはじき返して私兵の方に打ち返したけど軽く掛かっちゃったんだよねぇ・・。

それ、とんでもなく強力な毒だったみたいで数滴体に触れただけなのに全身が動かない動かない。


そのままだと捕まるから気合いで最後の力を振り絞って残り全ての魔力を無理矢理暴発させて私をその場から吹っ飛ばしたんだよ。

自爆特攻とも言うけど。


そして、運がよかったことに私が暴れた場所はちょうどドラゴンの生息地の近くで私がうるさいことでキレたドラゴンがその場付近にいる人間全員を消し炭にしてくれたから追手もなくて安心。

ただ、私がある意味元凶で、ドラゴンに殺されるかな・・と思ったらなぜかかわいそうなモノを見る目で見られた挙げ句、パクリと襟首を咥えられてそのまま飛行・・そして、適当なところで森の中に投げ捨てられ、翼で吹き飛ばされたよ。

で、そのまま木の枝がクッションとなって衝撃和らいだモノの、地面に激突した衝撃で魔力もすっからかんで、体力も気力も尽きてそのまま気絶。



そして気がついたら誰かにつんつんされて目が覚めるというね・・。

あぁ・・わかった、頑張って起きるからつんつんしないで・・。

他にも色々投稿してたりします。

キャラは並行して作成してますが、ストーリーの進捗に合わせて投稿したいと思いますので、お楽しみに。

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