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45話

「ん-、まぁここに記載してる情報はトイッターとかネットニュースを自分で調べればすぐに出るような情報だから、別にそんなに驚かれるような事はしてないけどね?」

「いやいや! それだけでも十分凄いですよ! で、でもすいません……先輩が自主的にこんな事をしてるなんて今まで知りませんでしたよ……」

「あはは、まぁそんな大々的に宣伝してるわけじゃないし、知らなくてもしょうがないよ。 私としても、やらないよりかはやった方がマシかなーっていうくらいの軽い気持ちでやってるだけだしね」


 北上先輩があははと笑いながらそんな事を言ってきた。


「いやそんな軽い気持ちでって言いますけど、先輩は凄い事をしていると思いますよ! 俺も友達に注意喚起しておきますね」

「あはは、そっかそっかー。 まぁそう言って貰えるなら、こういう活動をずっと続けてきた甲斐があったなって思うよ。 うん、だから良かったらお友達とかにも教えてあげてね」


 俺は北上先輩に向かって尊敬の念を込めてそう伝えた。 すると先輩は嬉しそうな顔をしながらそう返事を返してきてくれた。


(うーん、いやそれにしても……何で先輩は一年の頃からこの活動をしていたんだろう?)


 北上先輩はとても凄い人だなと思ったんだけど、でも先輩がどうしてこの活動を始めようとしたのかの理由も純粋に気になってきた。 なので俺は早速北上先輩に尋ねてみた。


「それにしても、何で先輩はこの活動を始めたんですか? 何かきっかけとかあった感じで……」


(……あっ!)


 俺はそこまで言葉を口にしてからハッとして固まってしまった。 い、いや……も、もしかしてさ……


(ま、まさか……幼少の頃に先輩の身内が事件や事故に巻き込まれたとか……?)


 も、もし先輩にそんな感じの悲しい過去があったとしたら……いやかなりデリカシーの無い質問をした事になるんじゃないか……!? という感じで俺は内心かなり焦ってしまい言葉に詰まってしまった。 でも……


「きっかけ? あぁ、いや別に大した理由じゃないよ。 あのね、実は私のお父さんって警察官なんだ」

「え? あ、そうなんですか……ほっ」


 でもどうやら悲しかったり重たい理由があるわけではないようだ。 という事で俺はホッと安堵のため息をついた。


「うん? 何でホッととしてるの??」

「えっ!? い、いや何でもないっす! それにしても先輩のお父さんって警察官をされてるんですね! それは凄く立派な職業ですね!」

「え? あぁうん、本当に凄い職業だよね」


 俺がそう言うと北上先輩は嬉しそうな表情をしだした。 そしてその先輩の嬉しそうな表情を見ていると、お父さんの事が好きなんだなという気持ちがはっきりと感じ取れた。


「私のお父さんさ、私が子供の頃からずっと朝から深夜までほぼ毎日大変そうに働いてるんだけどね、それでも毎日夜遅くまで街に住んでる人達を守ってるのがすっごくカッコ良いなーって子供の頃から思ってたんだ」

「あぁ、なるほど。 確かに警察官と言えば街の人達を守る正義のヒーローみたいな職業ですもんね。 そういえば俺も子供の頃は警察官とか消防士とかにカッコ良くて憧れてた気がします」

「あはは、わかるわかる! 子供の頃ってそういう職業がカッコ良く見えるよね!」


 俺がそう言うと北上先輩は笑いながら同意してくれた。 やっぱり子供の頃はそういう職業がカッコ良く見えるもんだよな。


「まぁだから私もさ、そんなお父さんをマネして学校の人達のためになる事をしようって思って始めたのがきっかけかなー」


 先輩は胸に手を当てながらそう答えてくれた。 そして今の会話から俺は北上先輩の人となりが見えてきた気がした。


(あぁ、もしかしたらそれも先輩が生徒会長になった理由の一つなのかもしれないな)


 以前先輩に生徒会長になった理由を尋ねた時は、“ノリでなった”と言っていた。 でも本当は、学校や生徒達のために何かしたいという気持ちが根底にあったから生徒会長になったのかもしれないな。


 まぁでも北上先輩が生徒会長になったせいであの頃の俺は散々と北上先輩に振り回されて大変だったんだけど……まぁ、その話はいいか。


「……うん、なるほど。 北上先輩はお父さんの事をすっごく尊敬してるんですね」

「あはは、うん、そうだね。 私にとっては自慢の両親だよ」

「はは、娘さんにそう言って貰えたらお父さんめっちゃ喜びそうですね。 あ、それじゃあもしかして、先輩も将来は警察関係の職業を目指してたりするんですか?」


 俺は純粋に北上先輩の将来の夢が気になったので率直に尋ねてみる事にした。 それに数日前から自分の進路をどうしようか悩んでいたので、先輩の進路についての話を是非とも聞いてみたくなった。


「うーん、そうだね。 私もお父さんみたいな人のためになるような職業に就きたいとは思ってるよ。 でも警察だけじゃなくて検察の仕事にも興味があるから、大学は法学部に行く予定だよ」

「へぇ、そうなんですね。 なるほど検察かぁ……って、あれ? それじゃあもし先輩が検事になったら、警察官のお父さんと共闘したりする事もあるんですかね?」

「あはは、そんなドラマとかゲームみたいな展開は絶対にないでしょー! ふふ、神木君はあれだね、逆転〇判のやりすぎだね! まぁもしそんな事が実際に起きたら面白いかもしれないけどさ」

「あはは、まぁそうですよね。 普通に考えたらあり得ないか」


 まぁ普通に考えたらそんな事が現実に起きる可能性なんてほぼないか。 でも、もしもそういう事が本当に起きたら先輩が言うように面白そうだよね。 北上先輩には是非ともそんな楽しそうな夢を叶えて貰いたいな。


「うん、それじゃあ先輩が無事にやりたい仕事に就けるように今から祈っておきます! 司法試験とか色々頑張ってくださいね!」

「ちょ、ちょっとー! 今から就けるように祈るって流石に早すぎでしょー、あはは! それよりも先に私の大学合格を祈ってよー!」

「あー、確かにそうですね。 それじゃあ大学も受かってるように祈っときます!」

「あはは、うん、ありがとうだよー」


(でもなるほどなー。 両親の職業かー)


 という事で俺はひょんな事から北上先輩の将来の夢についての話を聞く事が出来た。 自分の進路をどうしようかずっと悩んでいる身としては、今の北上先輩の話はとても参考になった。


 確かに自分の進路を考えるんだったら、まずは自分の両親の仕事についてちゃんと知る事も大事なのかもしれないよな。 もしかしたら俺の両親がやってる仕事が俺のやってみたい仕事の可能性だってあるわけだしさ。 今の北上先輩とお父さんの関係みたいにね。


(そう考えると……やっぱり色々な人の話を聞くのが大事なんだろうな)


 こういう将来の事についての話は1人で考えるのではなく、色々な人から話を聞くのがとても大事なんだなと、俺は改めてそう理解した。 という事でこれからも色々な人から話を参考に聞かせて貰おう。


「……あれ? そういえば神木君は何で廊下にいたの? 何処かに行く途中だったんじゃないの?」

「え? ……あ、忘れてた。 いや自販機に行こうとしたら北上先輩を見つけたんでちょっと挨拶をしようと思って立ち寄ったんです」

「あぁ、そうだったんだ。 って、それじゃあ早く買いに行かなきゃマズイいんじゃない? もうすぐお昼休み終わっちゃうよ?」

「え? あ……た、確かにそうですよね……! すいません、作業中にこんなにも長々と話をしちゃって……」

「ううん、全然大丈夫だよー。 あはは、それじゃあまた今度ねー」

「はい! それじゃあ失礼します!」


 という事で俺は先輩にそう別れの挨拶をして、当初の目的地である自販機へと向かって行った。

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