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08:従姉

 目が覚める、知らない天井と知らないベットだ。ベットから降りると向かいに丁度良く鏡が置いてある。その姿を見て確信する。


「よっっっっしゃああああ、転生だああああ!」


 ガッツポーズをとる。しかも前世の記憶持ちで、チート有り。ウキウキな気分でベットから降りると、ふと目に入るものがある。


 机の上の本があり、そこには『起きたらすぐ読むこと』と書いてある。そして机の横には木で出来た本棚がある。


 本棚は綺麗に区分けされており、『剣術』『魔術』『人間関係』と書いてあった。


「なんだこれ……とりあえず読んでみるか」


 俺の1週間は、いつもこうして始まる。今週はなにをしようか。


◇◇


俺には苦手な人間がいる。


 1週間で記憶を忘れてしまう俺は、あまり人と親しくしないようにしている。たまにしか会わないような人には特に。


 もし記憶を忘れた状態で名前も知らない相手が話しかけてきたら困るだろう。


 それに『そういえばあの時の~』とか言われても、もしその日記を読んでいなかったら相手を傷つけてしまうかもしれない。だから俺は家族や先生、家のメイドなど、頻繁に会う人間以外は冷たくあしらうようにしている。


 だけどその壁を突き破ってくるやつが、たまにいる。


「あらアーサーじゃない! 久しぶり!」


「……」


 知らない人から話しかけられた。まずい早く帰って本を読んで予習しないと取返しのつかないことになるかもしれない。


 結果的に相手からの呼びかけに対して無視をしたことになるが、後で謝ろう。そう思いその場を立ち去ろうとする。


「ちょっと~無視しないでよ~」


 その女性は首に手を回し、こちらをホールドしてきた。まずい捕まった!


「や、やめてよ……」


「なに照れちゃってるのよ~! 昔はあんなにお姉ちゃんお姉ちゃんって甘えてきたのに」


昔の俺、何やってんの!?


「はあ~お姉ちゃん悲しいわ。僕お姉ちゃんと結婚するとまで言ってたのに」


本当に何いってんだ!


「お、覚えてない……」


「やだ! お姉ちゃん悲しい!」


本当に覚えてないんだ。許してくれ……


 幼少期、恐らく転生して早い段階に出会った人物は日記をつけておらず一週間で記憶が無くなることを把握していない時期だった。そのため、色々とやらかしていた時期であり、まるで自分の欲望を丸裸にされているようで恥ずかしくなってくる。


 バッと首のホールドから逃げ出し、部屋に逃げ込む。さすがに自室までは追いかけてこないようだ。良かった。


 早く確認をしておかないと、そう思いベルでメイドを呼び、俺は日記を手に取る。


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