40:次に流行るのはコレだ!
持ってきた椅子は、お洒落な装飾をメインとした木で作られた椅子だ。テカテカと加工してある木は、見るからにいい木を使っているのが分かる。一体この椅子だけでいくらなのだろうか。
「うーん……」
「何かお気に召しませんか」
残念なことに、俺が望んでいるケツが痛くならない椅子ではない。そうするとやっぱりオーダーメイドになってくるのだが、うまく伝えられるだろうか。
「椅子の座る部分に、レザーやクッションをつけることは可能か?」
「……可能です。……ですがそれを付けた場合、部屋と家具との調和がとれない可能性があります」
「部屋の様式に対して、そういった椅子が合わないってことか」
「はい。例えばこの椅子に施されている彫の模様やレリーフは、職人が一つ一つ仕上げたものです。模様の優雅さにレザーなどをつけてしまうとバランスが……」
「……俺は今後、レザーを付けた座り心地の良い椅子が流行ると思っているんだが……」
前世でも中世ヨーロッパでは様々な様式が流行っていた。
まずゴシック様式という、今のこの世界と同じような雰囲気のものだ。優雅さや壮大さをモチーフとしたゴシック様式は、権威の象徴として建物や家具などに使われてきた。
そしてその次に流行ったのはバロック様式。今までと少しテイストを変えたそれは、豪華さを競う芸術様式となる。とにかく税を凝らしたものが流行り出す。
そして最後がロココ様式。ロココ様式では繊細さや優美さをメインとしたものとなり、今までの男性的なものから女性的なものへと変わっていく。
まあ、様式については細かい部分は歴史家でないから分からないが、様式が進むにつれ機能性もあがり、バロック様式あたりでは座る場所にレザーがついていたらしい。
(結局、機能性も追求していくことになるから、今のうちから作っても大丈夫だろう)
人間の歴史から、次にこれが流行るのは間違いないだろうと、俺は考えた。




