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30:訓練の様子

「軍施設では現在【300名の兵士】がおります。それぞれ【100名ずつ3チーム】で持ち場を回しており【都市内の警備】【周辺地域の治安維持】【訓練】を行っております」


 建物の裏手側に回り、兵士たちが訓練している様子を眺める。今回は初参加の俺もいるため、大佐は丁寧に説明をしてくれている。


 父は、うんうんと頷きながら兵士の訓練の様子を見る。うーん、俺にはよくわからん。


「全員、集合!!」


 一際大きな声で、大佐が呼びかける。急に大きな声を出すのでビクリとしてしまう。その様子をニヤニヤみている父に少しだけイラっとくる。


軍隊は整列を終えた。


「各員、敬礼!」


兵士全員が、胸に手を当てる。


「本日は、領主様がおいで下さっている。普段のお前らの訓練の様子を確認するから、しっかりと励むように!」


「はっ!」


「では、これより訓練を開始する!」


 そこからの光景は、想像していた軍事訓練といった感じだった。ランニングや準備体操、集団戦闘や模擬戦闘、連携の確認といったことまで行う。


「うちの軍は、他家と比べて強さはどれくらいですか?」


「んー。辺境軍と比べると実践経験の差があるからどうしても低くなるけど、それ以外なら人数さえ同じなら、いい勝負ができるんじゃないかな」


 今回の視察の目的は、貴族がわざわざ来ることで兵士を【粗末に扱っていない】ことをアピールするそうだ。有事の際は率先して命を落としてもらう、そのためには準備が必要ってことだ。父はそのための準備はきっと怠らないだろう。


じゃあ俺は?


 一週間で記憶を失う俺はどうする。さすがに毎週来るわけにもいかない。軍事に対して明るいわけでもない。顔も、名前も知らない兵士たちに自分の命を預ける。それは、とても怖いことだった。


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