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第七十五話

「くそっ!くそっ!ああ…!ちくしょう!!」


何が魔族の長だ、俺は魔族を危険に晒しレアに庇われ

死なせた!


「前世から何も変わってねぇじゃないかよ!」


異世界に転生して浮かれていた、魔族の長なんだって無力な癖に強くなった気がしていた。


「…レア…ごめんな…レア…」


「ふう…全く無駄に遠くへ飛ばしたものだ」


「お前ぇ!」


アイツはニヤリと笑う


「無様だな魔王、もう鬼ごっこは終わりか?」


「よくも…よくもレアを…お前だけは許さねぇ!」


歯を食いしばるあまり血が滲む、目からは涙がこぼれ落ちている。今の俺を見たらレアはきっとため息をついて説教をするだろう


「くく…そうだ、もっと怒れ恨め憎め。それがお前の力となるんだ」


「ぐうう…!」


なんだ、身体から力が湧き出てくるようだ。今ならアイツを殺せる…アイツに地獄を味合わせてやれる


「はぁっ!!」


アイツに向かって殴りかかる


「くはは、そうだ!もっともっと殺意に身を任せろ!何も考えなくていい、俺を殺そうとする殺意だけに集中するんだ!くはははははっ!」


「はぁ…はぁ…」


意識が沈んでいく、何もかもどうでもよくなって。力に飲み込まれそうになる


「…あと少し…!魔王は俺の物だ」


その時レアの声が聞こえた


「…スキ…ル…爆弾…変転っ…!」


生きていたんだ!良かった…ならば今度こそ守らないと。ああ…それと謝らなきゃな…今までの事を、次はちゃんと長らしく振る舞うから。レア…


突然爆発が起こる


「え…レ…ァ?」


「…魔…王様…魔王様」



…レアが狙ったのは俺だった



「やっと来たのか、駒としては無能だな」


「ああ…ああああ…ああ!!」


レアからは黒いオーラが出ていた


「さぁ絶望に沈め、そうして俺の洗脳は完了する」


レアが操られた、レアが俺を狙った、レアが…




ああ…レアまで間違えてさ、俺は魔王なんかじゃない…ただの魔族の長だって…レア…


「ふはははははは!!!」


「あまりの絶望で狂ったか、…洗脳はされてないな。しぶとい奴だ…魔王と言うほどあるな」


「魔王だと?私は魔王なんかじゃない、魔族の長で名前はバーン・ドラクス!貴様を必ず倒す者だ」


涙は血の涙となり、全身傷だらけ。でもここでアイツを倒すんだ、今助けてやるからなレア


「倒す…ねぇ、やってみるといい。俺にはどんな奴だろうと敵わない」


「魔族の長として…私は貴様を消す、それがせめてもの償いだ。後悔するといい、私はさっきまでとは違うぞ?ふはは!」


「くく…面白い奴だ…こい!」


敵わなくても、負けても、洗脳されても、たとえ死んでも…お前だけは絶対に倒してみせる




そこから12年の月日が経った



「くく…12年でここまで戦力を整えるなんてな…やはり魔王は素晴らしい、あの魔物を作る魔法…あれで戦力が大幅に増加した。これで人界へ攻める準備は出来た!」


「ベル様…準備が終わりました」


「よくやった、魔王」


さぁ…俺の計画が実行される!私がこの世界を支配するのだ!憎き女神エルシュラ!今に見てるといい!





俺は…何をしていた…アイツに立ち向かって…倒され…それから?もしかして洗脳されたのか


目の前にいる女性2人は誰だ?1人は長く綺麗な黒髪を1つに結んでいる。何か日本人っぽい顔立ちしてるな


もう1人は大きな杖を持ってる青髪の女性だ、こちらを睨んでいる。一体何が起こってるんだ


「よく来たな勇者、私を殺しに来たのだろう?よくもまぁ自分から死ににきたものだ、ふふ、ははは!」


口が勝手に動く、やめろ…体が動かない、まだ操られているのか俺は。くそっ!


「知っているか勇者?私を殺せばお前も死ぬ、だが逆に先に勇者が死んでも私は死なない…ふふ、なんと哀れな運命だろうな?勇者」


勇者…あの黒髪の女性が勇者?そうか…俺は人界に攻めたのか…!でもレアは次元が違うから人界に行くことは出来ないって、そう神じゃなければ…


神…


もしかして…アイツは…!


「やっぱりそうなんだ…でもいいよ…私の犠牲で救えるなら、…だから絶対に私がこの手で終わらせる!」


勇者が無から剣を生み出した、もしかしてスキルか?

まさか勇者もスキルが使えるのか…はは、チートだな


だがこのまま俺を殺してくれるならなんだっていい…

早く、これ以上罪を犯したくない…


「大丈夫…もうすぐ終わるから」


勇者が俺に話し掛ける。え?それはどういう…


「ふはは!何を訳の分からないことを言っている?恐怖でイカれたか?ならば直ぐに楽にしてやろう!」


「ぐっ…あ…」


勇者を壁に蹴り飛ばしてしまった、どうすれば…何か俺の動きを止める方法は…


確かアイツは絶望がどうとか言っていた…ならあの時以上の絶望を味わえば一瞬だけ動けるんじゃないか?


やる価値はある…後はやるタイミングだ


「もう終わりか?勇者…つまらないぞ、もっと楽しめると思っていたのだがな」


「貴方になんか負けるものですか!私とマイを舐めるな!2人の仇…絶対にとってみせるわ!」


「ふははははは!勇者でもないただの小娘如きが私にかなうとでも思っているのか?見た所足でまといにしかなってない様だがな?」


「くっ…それは…」


「ふっ…もう終わりにしようか、2人まとめて消し飛ばしてくれる」


「…エリー…さっき言ったこと…よろしくね?」


「マイ…!」


「魔王の足止め、よろしく」


「…わかったわ」


勇者はあの一撃で全て終わらせるつもりか!なら止めるなら今だ!


前世でお父さんとお母さんが死んだのは俺せいだ…!


「ぐっ!?」


言った自分もダメージ食らった…くそ…思い出したくないものを思い出してしまった


「今だよエリー!」


「複合魔法:天地縛り:極!」


「なに…!やめろ!私は!」


「これで終わりだぁー!」



がはっ…勇者の剣が俺を…刺したか


「はぁ…はぁ…終わった…」


「う…あ…俺は…」


はは、喋れるや。体も自由に動く、もうちょっと早く洗脳が解けて欲しかったな…


これで開放される、ああ…俺の犯した罪を償わなきゃな…もし…また転生できるなら…償おう



ふと勇者が俺の元へ来て、語りかける



「黒耀君…よく聞いて」


「えっ…?なん…で…俺の…名前」


「説明は後、もう時間が無いから。次転生したら君はきっと色んな辛い目に合うと思うの」


「なに…いって…」


「けど諦めないで、自分を信じて。貴方は強い、貴方自身が思っているよりずっと!だから私が出来なかった事を成し遂げて…お願い…!」


勇者は必死にこちらに語りかける


「…わか…た…」


俺は頷いた


「うん…ありがとう。ごめんね…貴方を守れなかった…もう少し早くアレを見ておけば…」


勇者の言ってることは分からないが勇者の言う通り次があるのなら…次こそは…




もう失敗しないようにしなければ





こうして俺の意識は途絶え、人界を攻めた魔王は死んだ。そして勇者も…


「…自分を責めすぎちゃ…ダメだからね…」


「マイ!そんな…せっかく魔王を倒したのに…」


「…後は頼んだよ…エリー…そして…」



黒耀君…

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