第七十一話
「…お兄ちゃん…遊ぼ…」
セバスチャンの助言について悩み数日、未だに答えは見つからずにいた。今日も試行錯誤していたそんな時、ミリシャが珍しく俺にそう言ってきた
「いいぞ〜何して遊ぶ?」
ミリシャは姉上と比べてかなり大人しい性格をしている。言わゆるクール系の美幼女と言ったところか
「…夫婦ごっこ」
「夫婦ごっこか、うんいいよ。じゃあ俺がミリシャの夫だね」
「…ミリシャが夫がいい」
たまに変なことも言うがとても可愛いかけがえのない妹である
「お、俺がお嫁さんなんだね」
「…うん」
「じゃあ…コホン、あなたおかえりなさい!お仕事お疲れ様!」
「…ああ」
「ご飯にする?お風呂にする?それともわた…」
「…離婚しないか…」
「えっ…」
え、突然の展開に俺一瞬で置いてかれたんですけどミリシャさん?!もしかして昼ドラの夫婦だったんですか!?誰だミリシャに昼ドラ見せたやつ!
「…実は他に好きな奴が出来たんだ…」
「そ、そんな!私たちあんなに愛し合ってたのに!」
「…すまない…もうこいつ以外考えられないんだ」
ミリシャが手に持ってたのはその辺に落ちてる棒だった。
…俺棒に負けたの?
「…しくしく酷いわあなた…」
さながら劇団員の如く感情を入れ離婚を突きつけられた妻を演じる
「何やってるのリュート…」
「えっ」
後ろを振り返ると母上がいました。めちゃくちゃ恥ずかしい所見られた!?
「あ、い、いや別にやましい事はしてないです!」
「…それでも俺は棒を愛してるんだ」
「まだ続けてる?!」
「いいわお母さんどんなリュートでも愛しているから…」
「母上は勘違いしてる?!」
俺は母上に全力で説明した
「そうだったの…ごめんなさい勘違いしちゃったわ」
「いえ、大丈夫です」
よかった誤解が何とか解けて…
「さ、ミリシャ、そろそろ魔法の練習しましょうか」
「…お兄ちゃんと遊ぶ…」
「あらあら…どうしましょう」
くっ…俺ももっと遊んでやりたいが魔法の練習もミリシャにとって大事なことだからな…!ここは心を鬼にしなければ!
「魔法の練習が終わったらまた遊ぼう、ミリシャ」
「…分かった」
ああ〜ミリシャがいい子過ぎて可愛い〜
「…その代わり…お兄ちゃんも…一緒に練習しよ」
「俺も?」
まぁ気分転換にはいっか
「いいよ、一緒に頑張ろっか」
「…うん!」
ミリシャが笑顔になる、普段殆ど感情を顔に出さないぶん更に可愛さが引き立つ
「こんな可愛い生物が居ていいのか…?」
「…ふふ、リュートはサラに似てきてるわね」
「ええ、俺も最近そんな気がします」
あんなにベタ惚れではないとは思うけど…多分
「じゃあ2人とも魔法の練習する為に場所変えましょうか」
「はい!」
「…うん」
俺たちは屋敷の庭へと向かった
「ミリシャは水の魔法はお父さんから教わったわね?」
「…ばっちり」
「うんうん、流石ミリシャね。では今日は私が火の魔法を教えましょう」
そういえばミリシャは2適性持ちだったな、2適性持ちはかなり希少で優遇されやすいから将来は安泰だな
まぁ中には5適性持ちというどこかのからかい好きの魔女もいるんですけど
「…はっ!リュートが今オレの事を思った気がする!これが相思相愛?」
…
…
「…こう?」
ミリシャは手のひらに小さな炎を灯す
「そう!それが炎魔法よ!流石ミリシャ天才ね!」
ミリシャは褒められドヤ顔を見せる、可愛い
俺はというと光魔法の練習をしていた。最近は中癒回復まで使えるようになったからこのままどんな傷でも治せるようになりたい。
早くルシュとエリスのお母さんも治してやりたいし…
1年ほど前からはずっと寝たままになってるらしいから間に合わせなければ
「リュートはやれてる?」
「うん、ちょっとだけ光が強くなってる気がする」
「そう、頑張ってね!リュートならやれるわ」
「ありがとう母上、頑張るよ」
「ふふ、いい子達でお母さん嬉しいわ。ちょっぴり寂しいけど」
「…寂しい?」
「ええ、だって3人ともちっともわがまま言ってくれないもの」
「はは、十分わがまま言ってると思うけど」
城に住むとなった時とか、母上の反対を半ば押しきって行ったようなものだし
「そうかしら…?でも貴方達が笑顔で居てくれるだけで十分だけどね」
母上は優しい微笑む
「…母上…好き」
「俺も」
「ふふ、私もよ」
ああ…しばらくこんな平和な時を過ごしてなかったから、凄く心地がいい…こんな日が続けばいいんだけど
でも平和なんて一瞬で崩れ去ってしまう
そう突然に…




