第六十八話
「昨夜はお楽しみでしたね」
「誤解を招く言い方やめて下さい父上」
「ふふ、あんなにリュートを思ってくれる女性はいないから早く唾をつけとけよ?」
「それ10歳の息子にかける言葉じゃないですよね?!」
「女性を3人も家に連れてくる10歳の子供がいるか?」
「くっ…言い返せないのが悔しい…」
「まぁ、頑張れよ、お父さん応援してるからな!」
サムズアップをしながら去っていく父上、言ってることは最低だが一応は応援してくれてるので感謝しておこう。
というかこの世界は一夫多妻制に寛容すぎでは?そこまでテンプレにしなくていいよ、今はちょっとありがたいけど!
はぁ…平等に愛してか…頑張らなくちゃな
「おはようございます、坊っちゃま」
「おはようカレン」
メイドの仕事をしているカレンとすれ違う
そういやカレンは今はミリシャの専属メイドなんだっけか、ふとカレンの耳を見る。そう言えば…
「カレンもエルフなんだよね?」
「ええ、この耳がエルフの特徴ですしね」
そうカレンは耳が尖っているのでエルフなのだ、だからエルフの特徴が耳ということも長寿だということも知っている
「前から気になってたんだけど…その耳触っていい?」
やっぱこう…エルフの耳を触らないと異世界転生は始まらないと思うんだよね。あと獣人族の耳と尻尾とか…いいよね!アリアに頼め?逆に襲われそうなので無理です
「え、ええっ…?!そ、そ、それは…でも…坊っちゃまがどうしてもというのなら…」
モジモジと照れながらしゃがみ、耳を触りやすくしてくれた
えっ…なんですかその反応、何かヤバいお願いしたんですかね俺?そんな反応のカレン見たこと無いんだけど?!
「えっ…なんか…え…いいの?」
「は、は、はい…で、でも坊っちゃま以外には内緒に…」
ヤバいやつやん、絶対いけないこと頼んだよ俺
「えーと…なんかいけないことなら別に無理にしなくても…」
「い、いえ…坊っちゃまなら…大丈夫です…」
顔を赤くし涙目でこちらを上目遣いで見てくる、いつものクールな表情とのギャップで胸が張り裂けそうになる
「え、ええと…じゃあちょっとだけ…」
ちょっと触ったらすぐ謝ろう、土下座して命差し出せば何とかなるかな
そして少しだけ耳を触らしてもらった、感触は普通の耳と同じでした。まぁ見た目だけ違うとわかっただけで俺はもう悔いはない…
「ああ…坊っちゃま…」
なんで目をトロけさせてますの?普通に触っただけですよ?!
「ごめん!カレン!」
俺は全力の土下座をしてカレンに謝る
「坊っちゃま…!だ、大丈夫ですから!」
「俺絶対やってはいけないことしたよね!ごめん!何でもするから許してください!」
「そ、そこまでの事では無いですから顔をあげてください!」
「本当に?」
「ええ、ただエルフの掟で耳を触られたらその人と一生を共にしなければならないってだけですから」
「いやそれめちゃくちゃ大事だよ!土下座じゃすまないよ!ごめんね…命差し出すから…」
「坊っちゃま?!何処から取り出したか知りませんがその短剣で自害するのをおやめ下さい!」
「俺は軽はずみにカレンの一生を奪ったんだね…」
「その掟は古臭いおまじない程度のものですから今は誰も気にしませんので大丈夫です!」
「…本当?」
「ええ、だからその短剣を閉まってください」
「分かった…ごめんカレン…」
「いえ、いいと言ったのは私ですので」
「でも良かったの?俺なんかに触らして…」
「坊っちゃまならいいですよ」
優しく抱きしめられた
「坊っちゃまなら…一生を共にしてもいいと思えるのです」
「カレン…?」
「…でも私は坊っちゃまのそばに居させて頂けるだけで十分ですから」
カレンは俺の頭を撫でながら微笑んだ
「さぁ、そろそろ行かないと皆様お待ちですよ?」
「え、ああ…分かった」
「行ってらっしゃいませ坊っちゃま」
「うん」
もしかしたらカレンも…昨日マリン姉ちゃんから想いを伝えられたばかりなのになぁ…
何はともあれ今度カレンにしっかり気持ちを聞かなければ
「…私は何を言ってるの…坊っちゃまにあんな事を」
耳を触られた時嬉しかった、長年生きていた中で1番と言っていいほど。幸せでいっぱいになった
「私はレギオス家のメイド、それ以外でもそれ以上でもないわ」
この気持ちは心の奥にしまおう
あの時のように…




