第五十六話
「ふぁぁ…美味しいよぉ…むしゃ…もぐもぐ…」
「そりゃ良かった、いっぱい買ってきたし。まだまだあるからね」
あの後ミラノワへと戻って屋台で色々な食べ物を買ってきた。ボロボロの状態だからめちゃくちゃ心配されながらだったけど
「さ、俺も腹減ったし食べるかな」
「うん!一緒に食べよ!」
俺たちはお互い傷だらけの状態で屋台の物を食べた、他から見たらおかしな光景だっただろうけど。でもいつもより食べ物が美味しく感じた
「むしゃ…むしゃ…」
食べてる最中、さっきの事を思い出す。アイツの最後に言ってた事が気になる、アイツは最後に次は魔王にと言い残して消えた
もし、魔族が俺たちの思っているような悪者では無くてレミシアみたいにアイツにみんな操られていたとしたら?
アイツは200年前から存在していて、あの戦争はアイツが起こしたものとするならば…俺はどうすればいいんだ…?
魔王…これは俺の中にいる魔王に聞いてみなきゃいけないな。多分俺の中の魔王が全ての鍵だ
「…ぼーっとしてる〜食べないなら私が食べちゃうからね!」
「え…ああ、ごめん少し考え事して…いやもう俺の食べてる〜!いつの間に!?」
「むしゃ…ぼーっとしてるのが悪いのさ、もぐもぐ」
くっ速くて見えなかった、やっぱりレミシアは操られて無くても強いのか。魔族は皆あんな強さなのかな
「ねぇ、魔族ってさ。皆レミシアみたいに強いの?」
「私は強くないよ〜、さっきが異常だっただけであんなにスキルも使いこなせないよ。…でも他の人は知らないな〜、戦ってる所見たことないし」
「そっか…」
アイツの洗脳には力を引き出す能力でもあるのかな、あ〜分からないことばかりだ…頭がパンクしそう
「ふぅ…食べた食べた、大満足だよ〜」
「うん、美味しかったね」
「そうだね!ありがとうリュート君!君には感謝してもしきれないよ!」
「別にいいさ、俺も腹減ってたし」
「ふふ、久しぶりに人とご飯食べたから嬉しかったよ!」
「いつもは1人なの?」
「うん…お父さんとお母さんは忙しくて一緒に食べる事が出来ないんだって…だからいつも1人で食べてるの」
「そうなのか…」
レミシアは寂しそうに語った、まだ子供だもんな。俺も前世は孤児だから気持ちは痛いほど分かる
「寂しいもんな、1人だと」
「うん…でも今日はリュート君が一緒に食べてくれたから楽しかったよ〜!」
「それなら良かったよ」
どうにか寂しさを無くしてあげたいけど俺にはどうにも出来ないしな…うーん、あっそうだ
「ねぇレミシア、良かったら俺と友達になってくれないかな」
「えっ…リュート君と?」
「うん、平和協定で簡単には会えないけど。でも離れていても友達がいると案外寂しくならないからさ」
前世も友達のおかげで寂しさを紛らわすことができたレミシアはどうか分からないけど、少しでもそうなるなら嬉しい
「本当優しすぎるな〜リュート君は…こちらこそ私と友達になってください…!」
「…うん喜んで!これから俺たちは友達だな!」
「やったー!初めてのお友達だ!!よろしくねリュート君!」
「ああよろしく!例え離れていてもレミシアは友達だからね」
「うん…!でも…いつか魔界に遊びに来てよ!うんとおもてなしするから!」
「分かった、きっと遊びに行く。何があってもね」
「じゃあ約束ね!」
「うん、約束」
こうして俺たちは友達になり、俺は魔界に遊びに行く約束をしたのであった
その時はきっと本当の意味で魔族との共存ができた時になるだろう、絶対アイツの思いどおりにはさせない
俺が勇者である限り
…
…
「クソっ…!クソっ!何故だ、俺の計画は完璧だったんだ!あの小娘には勝てなかったはず!なのにあの勇者は自分で限界を超えて俺の魔法を消滅させやがった!」
忌々しい勇者…俺はまた勇者に邪魔をされるのか…
「そうはさせてたまるか…200年前みたいに魔族全員を洗脳とまでは行かないが、魔王さえ洗脳出来れば…勇者もおしまいだ」
そうなればこの世界は俺のもの…あの女は自分の世界が破滅するのを指をくわえて見てる事しかできない
「くく…勇者は魔王には勝てない…それがこの世界の未来だ…!くははは!!!」
それから2日後
「よし…!ワイルドベアー討伐!」
「やったね!これでA級だ!」
レミシアが魔界に戻って2日が経った、俺とイリスは延期した最後のB級クエストに挑み無事達成していた
「おめでとう〜!貴方達はA級よ!S級は今の所誰もいないから実質的にA級が冒険者としてのゴールね」
「へへ…私がA級…!お前のおかげだリュウ!」
「イリスのおかげでもあるよ」
「そうだな…これは2人で勝ち取ったものだな!」
「そういうこと」
城を出て3ヶ月か、色々濃ゆい3ヶ月だった…
「…城に戻るの?」
「…うん、A級になったら戻ることになってるから」
2人とは毎日会うことは難しくなるだろう
「でもすぐに会えるよ、訓練が終わったあとでも必ず2人に会いに行く!」
「そうか、ならまた一緒にクエストやろうな」
「もちろん、A級になったんだし色んなクエストをして見たい」
「ああ、A級クエストでも私たちなら余裕さ」
「うん、頼りにしてる。イリス」
「そりゃこっちのセリフだなリュウ」
俺たちは握手を交わす、寂しくなんかない。だってすぐに会えるんだ…永遠の別れじゃない
「リュート様、そろそろ行きましょうか」
「わかったアリア」
「いつでもお家に泊まっていいからね?」
「ありがとうマリン姉ちゃん」
「勇者の訓練、頑張れよ」
「うん、イリスもクエスト頑張って」
「おう」
「じゃあね!また会おう!」
そうして俺の冒険者生活は一旦終えることになった
これからは勇者として本格的に訓練しなきゃ、誰も失わないように。そしてアイツを倒す為に…
これにて第二章完結です!




