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第二十一話

ルシュが出ていった後、勇者戦記に意識を戻す

どうやら勇者の試練を全て訪れて仲間も3人集まって4人パーティーになったようだ。


勇者を除けば1番の武術の使い手 大剣のライト・グリテン


あらゆる魔法を使い魔法に愛された者 杖のエリー・ブリーツ


鉄壁の防御力と素早さを持つ 短剣のウール・ランペル


そして勇者マイ・マツシロ…光魔法と物質生成スキルを使い魔王を倒す者


この4人が勇者パーティー…皆強そうだ、でも本を読む限り結構苦戦してたみたいだ、どれだけ強いんだよ魔王軍。人と魔族のバランス調整ミスってますよ神様


…続き読むか





魔王が現れた、勇者の言った通りに。濃霧の森から大量の魔物と魔族と呼ばれる種族の軍勢が押し寄せてきた


ここ1年で人族以外の他種族の協力を得て、万全の準備は整っていたつもりだった


だが魔王の軍勢は恐ろしく強かった。魔族も勇者と同じくスキルを使えるみたいであっという間に人界の5分の1が魔王の手に落ちた


予想外だった、このままでは人界は間違いなく滅んでしまう。勇者も戦ってはいるが勇者は1人だ、1つの村を救うのに10の村が滅んでいった


私達4人は魔王がいる魔界へと直接乗り込むことにした、きっと更に厳しい戦いになるだろう、皆は何となくそう感じ取っていた。


濃霧の森を進み、モンスターを殺し、魔族を殺し、とにかく突き進んだ。途中で何度も傷つき死にかけ、それでも進んでようやく魔界へと着いた


私達は限界に近かった、勇者の光魔法と私の複合魔法のおかげで傷は回復するが、心の傷までは癒せない


だけど止まれない、ここで止まってしまったらこれまでに死んでいった共に戦った仲間たちの死が無駄になってしまう


そして魔王の城が見えたところで魔族と戦闘となり


ライトが魔族に胸を貫かれ死んだ


ずっと一緒に旅をしていた仲間が、頑固で仏頂面だけど優しくパーティーを支えてくれたライトが死んでしまった。


最初は理解出来なかった、だが勇者の叫びが脳を現実に引き戻す。勇者の方を見ると魔族を剣で突き刺していた、既に死んでいるであろう魔族を何度も何度も何度も。泣きながら


だけどここでは止まれない、自分に呪いのように言い聞かせてウールと共に勇者を止めて進む


勇者の顔は憎悪が満ちていた


なんとか魔王城まで着いた、あと少しで魔王と戦うことになる。不思議と恐怖はなかった。多分心がとっくの昔に壊れていたのだろう


魔王城の中は魔族が少なかった、どうやら人界へほとんどが出払っているようだ。ある程度進むと魔王の側近と名乗る男が現れた


魔王の側近も強かった、物体を爆弾に変えるスキルを持ってるらしく苦戦を強いられた


だが勇者と私の魔法でなんとか瀕死まで追い込んだ、ようやく勝てる。


そう思って油断をしてしまった


魔王の側近は自分を爆弾に変え自爆したのだ、油断した私と勇者は爆弾を回避する余裕などなかった


爆発する直前目の前にウールが飛び込んだのが見えた、そこで意識は途絶えてしまう。


多分数分だと思う、すぐに目が覚めるとそこにはほとんど傷を負ってない勇者と私しかいなかった。多分ウールがとっさに爆発を防御したのだろう、自分以外を


また仲間を失ってしまった、お調子者で怠け者で酒癖が悪い人で、それでも相談事には親身に乗ってくれ

る、パーティーのムードメーカーでピンチになると必ず助けてくれる頼もしい彼を、失ってしまった


勇者は何も言わず立ち上がり進んだ、魔王の所へ。私は勇者の後ろを着いていく、早く終わらせたかった、この戦いを。この地獄を


大きな扉を開けると1人の魔族の男が居た、魔王だ

魔王は私達を見るとこう言った


「よく来たな勇者、私を殺しに来たのだろう?よくもまぁ自分から死ににきたものだ、ふふ、ははは!」


笑い出す魔王、何がおかしいのだろうか


「知っているか勇者?私を殺せばお前も死ぬ、だが逆に先に勇者が死んでも私は死なない…ふふ、なんと哀れな運命だろうな?勇者」


何を言ってるのか分からなかった、受け入れたくないと脳が拒否反応をおこす。魔王を殺せば勇者も死ぬ?嘘だ、そんな事あるはずない


隣にいる勇者を見る、勇者の表情は何一つ変わっていなかった。まるでその事を知っていたかのように


勇者が口を開いた


「やっぱりそうなんだ…でもいいよ…私の犠牲で救えるなら、…だから絶対に私がこの手で終わらせる!」


魔王に切りかかる勇者、それを私は眺めていた、出来れば否定して欲しかった、嘘だと言って欲しかった

もう大切な仲間を失いたくはなかった


勇者の光魔法と魔王の黒い魔法がぶつかり合う、戦いはほぼ互角だった


だが勇者は既に限界を迎えていて、徐々に押され始めていた、そして勇者が魔王に吹き飛ばされ壁に打ち付けられた


私はすぐに駆け寄り傷を治す、その時勇者がふと私に話しかけた


「ねぇ…エリー、頼みがあるんだけどさ。私と魔王が死んだら魔族と平和協定結んで欲しいんだ」


突然だった、どうして!魔族は人を大勢殺して仲間までも殺したんだと私が言うと勇者は


「ああ、そうだね…でもそうしなきゃ行けないの、協定を結ぶ事が今は最善の行動なんだ」


「そんな、でも魔族が平和協定なんて結ぶはずないわ…!」


「いいや魔族は結ぶはずだよ必ずね、だからお願い!私を信じて」


さっきまで憎悪に満ちていた表情は少し悲しそうな何かを諦めたような表情に変わっていた


わかった、貴方を信じる


私は勇者の願いを受け入れた、そして勇者は立ち上がり捨て身の一撃を魔王に与えようと斬り掛かる


魔王が避けようとするが私の魔法で動きを封じた

そうして勇者の一撃が魔王の心臓を貫く


魔王が倒れると勇者に何か話をしていたがやがて死んでいった


倒したんだ、魔王を。全部終わったのだ、だけど代わりに勇者ももうすぐ死んでしまう


勇者が静かに倒れた、私が勇者の元へ行くと既に勇者の命の灯火は消えかかっていた


私が泣いて抱きしめると勇者は最後に微笑みながら一言呟いて息絶えた。


「あとは頼んだよ、エリー…、〜〜〜」


最後がよく聞き取れなかった、多分勇者の故郷の言葉だろうと思う


そうして偉大なる勇者が死に、私は頼まれていた魔族との平和協定を結んだ、勇者の言う通り拒まれず…


協定を結んだあと私は濃霧の森に結界を作った、決してお互いが干渉しないように



これが勇者の戦いの全てである、今執筆しているこの本は城の図書室に置いてもらう事にしている


そして語り継いで欲しい、もし、もしまた魔王が現れたのならこの本が役にたつように


だがそうならない事を願っている



エリー・ブリーツ

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