第百二十五話
「よーし!疲れも取れてバッチリ!」
「ふぁ…おはよ…ルシュ」
「おう、おはようリュート」
「さて、今日はどうしようか」
「とりあえず聖霊の森に行こうぜ」
「そうだね」
俺達は部屋を出る
「おはよー!いい朝だねー!」
(おはようございます)
「おはようご主人達」
「おはよう」
「ニャ!」
「じゃ朝食食べて聖霊の森に行きますか」
「朝食…じゅる…」
「ほらクロスケ、毛がボサボサだぞ」
ガルスケが丁寧にクロスケの毛を整える、やっぱりこう見ると親子というか…いやクロスケは猫なんだが
「…クロスケも人化出来るのかな」
「いつか出来るだろうな」
「にゃふ」
「そっか、ならいつかクロスケとも話してみたいな」
頭撫でるとクロスケは目を細めて気持ち良さそうにしている
「はは、可愛いなぁ」
「…クロスケが拾われたのがご主人でよかった」
「え?」
「私達はずっと2人きりだったからな、クロスケの父親は遠い昔に他の魔物に襲われて死んでしまった」
「…ガルスケ…」
弱肉強食の世界だ、食うか食われるか…それが当たり前なのだろう
「…だからクロスケは父親の愛情をほぼ知らない、でも今はご主人がこの子にとって父親代わりになってくれている」
その表情は子供を心配する親の顔だった
「私は…不器用だ、愛情を上手くクロスケに注げない…だからご主人が私とクロスケのご主人で良かった」
「…そんな事ないよ、ガルスケはちゃんと愛情を注いでるじゃないか」
「…そうだろうか」
「うん、現にクロスケの事を何より心配してるじゃないか。それが親の愛情と言わずになんて言うのさ」
クロスケは話がよく分かってないようで俺の肩でくつろいでいる
「…ありがとうご主人、優しいな」
「いいさ、さご飯食べよう!」
「…貴方に一生の誓いを…何があっても私が貴方を守ろう…」
ガルスケは小さくそうつぶやきリュートの後を追うのだった
「…じー」
「もぐもぐ…また視線を感じる」
『もう少し積極的になればいいんですけどねぇ』
ノエラ先輩?多分この料理をノエラ先輩が作ってくれたんだろうしお礼でも言いたいんだけどなぁ…
『こちらから行くしかないですね』
そだね、食べ終わったら言いに行こう
俺達は美味しい朝食を食べて聖霊の森について話し合った
…
…
「ふぅ…食べた食べた」
「…お前俺らより食ってね…?」
「美味しいものはいくらでも入るのさ!」
「どんな胃袋してんだよ…」
「…ごちそうさま」
(ごちそうさまです、朝食も美味しかったですね)
「そだな、…さて聖霊の森に行きますか!」
「ああ、とその前に皆は先に出てていいよ。俺ちょっと用事あるから」
「おお、分かった。じゃ、行こうぜ〜」
「早く来ないと置いてっちゃうからね〜」
(ではお先に)
「行ってくるご主人」
「すぐ来るからね〜」
さて、ノエラ先輩は…いた
「勇者様…美味しそうに食べてくれてたなぁ…ふふ」
「うん、美味しかったですよ?」
「本当?嬉し…ひゃわあ!」
「うわ!びっくりした」
いきなり体を跳ねらせるノエラ先輩
「ど、ど、どうしてここに…!」
「宿の人に食事のお礼を伝えたいって言ったら通してくれましたよ」
「…お母さんめ…」
「…?ありがとうノエラ先輩、凄く美味しかったよ」
「…ほ、本当?」
「うん」
「よ、良かったわ…!わ、私には料理位しか取り柄ないし!」
「そうですかね?他にも色々あると思いますけど」
「…いやいや!サラや王女様に比べると全然よ!」
顔を赤くしながらも少し悲しそうにする
「…なるほど」
『ここは男らしく優しく慰めてあげましょう』
そうだね…うーんでもこういうの俺苦手なんだよなぁ
『今まで散々女性を落としてきた貴方がそれを言うのですか…?』
いや〜…今回は色々訳が違いそうだし…ふむ…そうだ!
『なにか思いつきました?』
前ロディ先生に女性の慰め方をレクチャーして貰ったんだったよ!
『…不安ですね』
ああ見えて結構キザだからなロディ先生、女性人気もあるらしいし?そのロディ先生が言うんだし間違いないよきっと
『…だから不安なんですけどね』
確か…
「…そんな事ないですよノエラ先輩」
俺はノエラ先輩に近づき、手を握りながら壁へ優しく押す
「へ…あ…勇者様…?」
「…俺、ノエラ先輩が2人に劣ってるなんて思わないよ。君はとても魅力的で素晴らしい女性だ」
「あ…わ…ひゃ…」
「だからそう自分を無下にしないで、俺悲しいな」
「あ…あわ…」
「…君は姉上を支えてくれたり、この宿屋だって手伝えるなんて…君しか出来ない事だよ?」
ノエラ先輩は顔をマグマのように赤くさせ、息も荒く心無しか目がトロンととろけてるような気がする
「…あ…勇者…様…」
「そんなに頑張れる君、俺…好きだよ」
手を握る力を少し強める
「…あ…ああ…きゅー…」
鼻血を出しながらノエラ先輩は倒れた、気絶してる
「え…嘘…ノエラ先輩?ちょっ…え…先輩いいい!」
なんでだ…ロディ先生の言う通りにしたぞ!
『だから言ったのに…はぁ…刺激が強すぎましたね』
「だ、誰かー!ノエラ先輩が鼻血出して倒れました!」
ヘルプー!
…
…
あの後宿屋の人に気づいて貰えて何とか事なきを得た
「…はぁ…やりすぎたのか…」
『ただでさえ憧れの存在に自分を全肯定されて好きなんて言われたらそうなりますよ』
反省してます…ロディ先生は戻ったら殴っとこう
『意味のない暴力がロディさんに…』
(どうされたんですか?)
「ユーナ…俺は君の忠告を…ぐす…後で懺悔させてくれ…」
(え、ええ、それもシスターの役目ですから構いませんが…)
「…ありがとう…」
「よーし着いたぞ…!ここが…!エルフの里がある聖霊の森!」
街を出て少し歩いた場所にあるその森は、聖霊の森と言うだけあり精霊や聖霊が住まうとされている神聖な森だ
「…そういえば聖霊と精霊の違いってなんだ?」
「…なんだっけ?」
「おいおいリュートもカナリーも調べてないのかよ〜聖霊はその土地の守り神みたいなもので、精霊は神様の使いって言われてるんだよ」
「へぇ〜…」
ステさんは精霊だから神の使いなんだね
『そうです、もっと称えてもいいんですからね?』
普段のステさんを見てると素直に称えられないんだよなぁ…
『ステータスに称号追加されたいんですか?』
嘘ですごめんなさい
「さて…エルフの里があるって言うのはこの森の最奥…気合い入れて行くぜ!」
「「おおー!」」
「ガルガル」
「ニャ!」
俺達は聖霊の森へと入った




