祝福の名前が分かったらしい、冒険者になったらしい、銀貨一枚が必要らしい
僕には祝福があるらしい、神様にもらった力だと思う。
「どんな祝福ですか?」
「はい、ええっと不苦痛の祝福らしいです、どんな力があるか分かりません。飽くまで名前が分かるだけです」
不苦痛?腹痛?なんかダジャレみたいな名前だけど、分かりやすい、名前通りの祝福だ。
「ありがとうございます。それで冒険者証は作れますか?」
「はい、大丈夫です。こちらをどうぞ、冒険者証です」
何か手渡された。木のカードだ。これが冒険者証のようだ。
これで僕は冒険者になったらしい。
「登録料銀貨一枚を頂きます」
どうやら登録には銀貨一枚が必要だったらしい。
「持ってません」
「えっお金持ってないんですか!?あっそれは仮許可証!そうか、異世界の方でしたね、ちょっと待ってください確かこのあたりに・・・」
受付嬢さんは本を取り出して読み始めた。待とう。
「あった、ありました!規定ですと、登録料は一時免除が可能で、個々の判断で大銀貨一枚枚分、銀貨十枚の一時貸付も可能、一定期間返還がない場合は罰則ありと。よかったですね!これで冒険者になれますよ!」
受付嬢さんが喜んでる。微笑ましい。今までの反応を見ると新人さんに見える。
「ありがとうこざいます。申し訳ありませんが大銀貨をお借りします」
「はい、どうぞ。大事にしてくださいね」
銀貨十枚を受け取った。腰袋にしまう。失くしたら大変だ。
大事にしよう。
「このまま冒険者証の説明をしますか?」
「いえ、仮許可証を返してきます」
「はい、行ってらっしゃい」
冒険者ギルドを後にする。門兵さんに返さないと。
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受付嬢side
(行ってしまったわね、あの子、本当に十八歳かしら?落ち着いてて、顔が無表情だったけど、可愛くて分からなかった。異世界人だからかな?)
「やあ、お疲れ様」
先輩が話しかけてきた。
「異世界人かー、珍しいね」
「はい」
「何度かミスしてたよ、それと驚きすぎだね、こっちまで聞こえよ」
「うう、すみません」
「それによかったの?」
「えっ?」
「銀貨十枚をあんなに簡単に貸しちゃって。返ってこなかったら、君にも罰則があるよ」
「あっ!しまった!?」
「...やれやれ...」