無一文らしい、町へ入れるらしい、冒険者証を作るべきらしい
「大銅貨二枚だ!」
そう門兵さんは言ってきた。町に入るには大銅貨というものが二枚必要みたいだ。お金がないか確認してみる。ない、腰にあった袋の中を探してもない、どうやら僕は、
「ありません」
無一文らしい。
「えっお金持ってないの?あっもしかして盗賊のせいか!?」
「いえ元々何もありませんでした」
「えっ、本当に身の服だけで此処へ来たのか!?よく無事だったな!?」
正直に答えたら驚かれた。心配された。本当にこの人はいい人らしい。
「町へは入れませんか?」
「いや入れるよ、ちょっと待ってろ」
門兵さんはそう言うと、門の中の傍にある小屋に入ってしまった。言われた通り待っていると、門兵さんが出てきた。
「はいこれ、仮許可証。これがあると三日間町の中でも過ごせるぞ。その間に冒険者証を作るといい」
「冒険者証ってなんですか?」
「冒険者の証のことさ、それがあると町の出入りがタダになる。冒険者ギルドで作れるから、とりあえず作ってきな。ギルドはあっちだ」
丁寧に教えてもらった。とりあえずそこにいこう。
「ありがとうこざいます」
「いいって、早く行って来い、冒険者証を作ったら仮許可証を返しにこいよ、でないと罰則がある」
「はい」
そう返事をして、僕は門を潜り町の中に入った。目指すは冒険者ギルドだ。
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門兵side
「行かせてよかったのか?どう見ても怪しいぞ」
もう一人の門兵がそう言う。
「怪しいけど、悪い奴にはどうしても見えなかったからね。正直だったし。それに、服に傷はあったけど身体にはなかった。だから冒険者ギルドを勧めた」
「そうか、返しに来るといいな」
「ああ」