異世界らしい、盗賊らしい、力は本当らしい
目が覚めて起きた。緑の草が生えている。辺りを見回す。
どうやら異世界に転移したようだ。
立って辺りを見渡す。向こうに町がある。行こう。
ーーーーー
「へっへっへっ」
「ひっひっひっ」
「ふっふっふっ」
町に向かって歩いていると、身なりの汚い人達に出くわした。
道を塞いでいる。
「おい、お前」
「はい、なんでしょう?」
「金目のものを出せ、そしたら命だけは助けてやる」
どうやら盗賊らしい。
「ありません」
「は?ないわけねーだろ!舐めやがって!死ね!」
一番大きいスキンヘッドの男が斬りかかって来た。剣による左肩の辺りに振り下ろし。楽に死ねそうだ。
ガキン!
斬れない、痛くない。
「はぁ!?なんで斬れねぇ!?」
「あのー?」
「ッ、お前らやれ!」
そう言いながら男は僕から慌てて離れた。矢が飛んで来た。
心臓辺りかな?楽に死ねそうだ。
カッ
矢が刺さらない、痛くない。
「嘘だろ!?」
そう声をあげたのは弓を持った鋭い目をした男だ。
「ファイアーバレット!」
残った一人の長髪優男がそう叫ぶと次は炎の弾が飛んで来た。
今度もまた心臓だ。当たると火傷しそうだ。
フッ
弾が消えてしまった、痛くも熱くもない。
「嘘でしょ...」
優男がそう呟いた気がした。
炎の弾が優男から出たことに少し驚いた。改めて優男に目を向けると
「ヒッ」
怯えたようだ。炎の弾について聞きたかったが、話せそうにない。仕方がないからスキンヘッドに目を向けた。
「あのー?」
「にっ、にっ」
「にっ?」
「逃げろー!!??」
そう言うと盗賊達は一目散に逃げてしまった。逃げ足が速い。
あっスキンヘッドが転んだ。痛そう。というか、
「道を開けて欲しかっただけなのに...」
道が開いたので、町に向かって歩く。
どうやら神様が言ってた魔法や、僕にくれた力は本当らしい。