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日本湖選手権 お題:弱い湖 必須要素:ゴマ 制限時間:15分

「おーっと! ここで琵琶湖がサロマ湖を下したぁ! 強い! 強すぎる! さすが日本一の湖は伊達ではなかったあー!」


 壮大なゴングがならされ、サロマ湖は自分の四倍もの大きさをもつ巨大な化け物の前で、がっくりとうなだれていた。残った湖たちはいずれも土砂崩れがおきたかのような陰鬱な雰囲気で、水を飲みにきた動物たちも裸足で逃げ出すありさまだった。


「おい……どうする。もう勝ち目なんてないようなもんじゃないか」


 屈斜路湖は隣にいた支笏湖に声をかけた。サロマ湖は同郷の戦士としては最強をはせていた。それがあっさりと完敗したのだ。支笏湖は参加している北海道勢の中でも最弱とさげすまれ、予選通過すらギリギリの成績であった。


 支笏湖が屈斜路湖をみると、屈斜路湖は絶望的なまでに暗くしずんでいた。支笏湖は自分の水面の中でももっとも光り輝く面をむけて、屈斜路湖をあかるく照らした。


「……大丈夫だ。俺に任せろ」


 支笏湖はおかしくなったのではないか、と屈斜路湖は思った。支笏湖は屈斜路湖にすらかなわないのだ。その屈斜路湖が負けを覚悟しているのに、支笏湖は勝つ気でいるらしい。


「バカな。お前ならあっという間に蒸発するのがオチだ。棄権したほうがいい」


「そうはならない」


 支笏湖は毅然とした態度で、琵琶湖の前に進み出た。


「ほう、貴様。私と戦う気か」


 琵琶湖は自分の十分の一ほどしかない支笏湖を見下ろしながら、勝ち誇った。


「一瞬で蒸発させてやる。一瞬だ!」


 琵琶湖の壮絶な攻撃がはじまった。


 しかし支笏湖はびくともしない。


「な、なぜだ!? なぜ蒸発しない!?」


 逆に琵琶湖のほうが力尽き、ついに支笏湖だけが残った。


「な、なぜだ……」


「ふっ。それはな、湖の深さ。お前はそれをあなどった。それが敗因だ」


 支笏湖は勝ったのだった。

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