ヒーローは遅れて来るものです。
400文字の短編です。
初投稿なので温かい目で見てやってください。よろしくお願いします。
昔から、ヒーローっていうものは遅れて来るものが多かった。
及川唯は幼いころから病弱で、様々な病気を経験してきた。そのせいもあってか、学校を休むことも日常茶飯事で、学校に来たとしても保健室で休むこともしばしばあった。
しかし勉強自体に問題はなく、むしろ優秀な方で常に学年でトップクラスだった。
が、友達が1人もいなかった。
学生にとって1人というのは周りが”グループ”というコミュニティーを形成しさもそれが絶対的な正義のように過ごしている分、劣等感に苛まれることだろう。
だが、決して退屈したことは無い。唯には一つ楽しみがあるのだ。
それは、将来この現状から救ってくれる異性を妄想すること。ただそれだけで、心が救われた。なぜか、安堵にも似た心地良さまでも感じることができたのだ。
「えーっと、今日は…っと」
そう呟いて軽く目をつむる。
次の日もその次の日も唯は、妄想に耽っていた。こんな自分を認めてくれる人を。幸せへいざなってくれるヒーローといつの日か出会えることを信じて。