AT限定って煽られるじゃないですかー(個人の感想です)
今、僕はおっさんと二人で車に乗っている。
要するに教習だ。これと言うのも……
「お兄ちゃん、じゃあ入校するから住民票とっといてね!」
「もう少し考えても……」
「善は急げって言うでしょ!」
「しょうがないな……」
と言うわけで早速入校させられたわけだ。
余談だが最近の市役所では住民票を取るのに会話がほとんど必要なく機械で済んでしまう。
コミュ障にはいい時代になったものだと思う。
というわけで妹と教習所のお世話になっている……いるのだが……
「君さあ、こんな簡単な操作もできないの?」
きつい……そりゃあ確かに半クラッチのやり過ぎで多少クラッチからいい匂いが漂ってきたりとか、派手に脱輪させたりはしたさ……
だからってそんなに言われなくてもいいじゃないか……
「うぅ……厳しいよぉ……辞めたい……」
「お兄ちゃん、大丈夫? そんなに厳しいの?」
「だって先生って言う存在に怒られたの高校が最後だよ! もう何年たったと思ってるんだよ……」
「怒られないと成長しないよ?」
「正論なんて求めてないよ……」
「しょうがないなーじゃあ共感に袖の下を……」
「やめて! それやると全国ニュースになっちゃうから……」
「心配するところが微妙に違う気もするんですが……」
「お兄ちゃんは言われないと気づかないんだからしょうがないでしょう」
「しっかしこの時代の車って面倒ですね、未来の車なんて行き先入れたら自動運転なのに」
「早くそうなって欲しいよ……」
「でもなんでMTにしたんですか? AT限定の方が簡単でしょう?」
「AT限定はネットでしょっちゅうあおられてるんだよ!? ネット炎上には自信があるんだよ!
いざって時にマウントがとれる方がいいだろ!?」
「しょうもない見栄張って面倒な方選ぶのが悪いんですよ、プライドでご飯食べることはできないんですよ? いまから限定に変えたらどうです?」
「わかってるよ……一度決めたことをひっくり返すのはいやなんだよ……だからMTでとるぞ」
「学科の方はできてるみたいですし、実技の問題ですね。私がスポンサーなのでお兄ちゃんのメンタルさえ大丈夫ならどれだけ延長しても大丈夫ですから自信持ってください」
「メンタル鍛えろってか、無茶言うなあ」
「もうすぐ仮免許取れるんだから、公道に出ちゃえば案外なんとかなるよ、
私も実地に出たらなんとかなったし」
「ホントなんだな!?信じるからな?」
「交通法規覚えるのもできたんでしょ? あとはその通りに操作するだけだから、慣れるよ」
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「ゼェ、ゼェ、なんとか仮免許はとったぞ……学科は完璧、あとは実地だけ……」
「よくできました、もうちょっと頑張ろうね」
「もう卒検受かったのか!? すごいな」
「機械類の操作は未来の方が複雑だからね、シンプルで簡単だったよ、
ファミコンのコントローラーは鉄騎のコントローラーより簡単でしょ」
「マジかよ……」
なんか偏ってないかと思う説明は無視して素直に驚く。
「応援してるよ、お兄ちゃんの教習中は信号のない横断歩道には立たないくらいに気を使ってるんだよ」
「あれはトラップだよなあ……後ろからのプレッシャーきついし……」
「そのくらい応援してるってことだよ! お兄ちゃんが心配だから毎日私が送迎するし、癒したげるね!!」
励ましてるのか逃げ道を潰してるのか……逃げられないなあ……
こうしてなんやかんやしつつもなんとかハンコを貰っていった。
「いよいよ明日は卒検だね! 大丈夫! お兄ちゃんなら絶対受かるよ!」
「だといいなぁ……」
いよいよ卒検だ、今まで当たらなかったような教官の割り振りをされている。
ドコドコ……
「きみ上手だなあ! ところでなんか今日この辺走ってる車少なくない?ラッキーだな」
ピタッ
ようやく卒検が終わった。控え室で待ってると妹が向こうからサムズアップしてるのが見えた。
「えー、今回の検定ですが……全員合格です、これからの説明があるので向こうの部屋に行っておいてください」
通った!?
こうして無事卒検に合格したのだが……妹に聞かなければならないことがある。
説明が終わり部屋から出ると妹がニコニコしながら、
「ね? 大丈夫だったでしょ!」
「エミ、何かしなかったか!? 今日はどう考えても検定コースがいつもの交通量と違ったんだが?
「ナニモシテマセンヨ」
「何かやったんだな」
「なにもしてないって言ってるでしょ、お兄ちゃんは疑り深いんだから……知らない方が幸せなんだよ」
何か怖い台詞が聞こえた気がするが必死に無視して帰路に着いた。
こうして僕は無事免許を取得した。時間だけはあるので上限がある実技を受けてない間はずっと学科をしてたので試験場の学科試験は楽勝だった。




