告白
エミがお風呂から上がってきた、石鹸の香りが鼻腔をくすぐる。
「あーさっぱりした! 文明的な生活ってこんなに素敵なんだね!」
「そりゃよかった、ところでエミの部屋を作らなかったってことは」
「もちろん! ここで一緒に暮らすんだよ!」
「結婚もしてないのにそんなのいいのか?」
よろしくない気がする、少なくとも今の時代だとそうだろう。
「かたいなあ、婚約者って関係なんだからいいじゃない! お兄ちゃん世間の目なんて気にしてないでしょ?」
「うっ、そうだな。世間の目ってのも今更感あるな……」
「でも年も近い人と一緒に寝るなんてなかったんだ……若者はほとんどいないしみんな管理されてたからね」
「とことんめんどくさいんだな、未来って」
「まあね、もう戻らないから気にもならないけどね」
「それ気になってたんだが、未来が救われたら帰るとかそんなことはないんだな」
「もともと片道切符だったし、反陽子炉なんてこの時代に残せないからね、ついた時点で全部自壊するようになってたんだ、
いくら人類同士の争いを防いでもそんなものあったらそれが戦争の原因になっちゃうから」
「ホントよく来たな! その度胸には驚くよ!」
「今より悪くなることはないってわかってたからね、実際結構いい人じゃない、お兄ちゃんって」
「そうか? 本当にいい人ならニートなんてやってないだろ」
いい人の定義が分からなくなってきた。
「でも働いてる人がみんないい人ってわけでもないでしょ?」
「そうだな、割合の問題だな。そして僕は自分で言うのもなんだが割とクズの部類だぞ」
「気にしないよ。自分をどう思ってるかじゃなくて自分がどう思われてるかのほうが重要でしょ」
「割り切るなあ……」
「ところでさ、昔話ってちょっとしてもいい?」
「なんだ突然」
突然の話題転換だがその時のエミの声が少し震えているように聞こえた。
「誰かに言っときたくってさ、ほら背負ってるものは少ないほうが気楽でしょ」
「そうだな、聞くだけしかできんぞ」
どんな思い告白でもそっち側に行けない以上聞くだけしかできない。だからしょうがない……だろうか。
「十分だよ。
この時代に来るメンバーに選ばれるのすっごい大変だって言ったでしょ」
「言ってたな、それがどうかしたのか?」
「うん、実はね……私でも勝てないかもなって子がいたんだ……でね……私は絶対この時代に来たかったからうわさを流したんだ」
「うわさ?」
「そう、お兄ちゃんのとびっきりの悪評、あの時代に行くのは人柱も同然だって噂を流したの。
その子はね、優秀だったけど家柄もよかったから両親も行けないなら行けないでいいかな、って考えだったの」
「そうか」
「だからね、そのうわさが流れたらその子の両親が半分無理やり志願を取り下げたんだ。
で、残ったのは未来で言うところのそんなに良くない家の出身だった。だから私がトップで選抜に通ったんだ」
「悪くないよって言うべきなんだろうな……きっとそのくらい誰でもやってる……って言ってほしいのか?」
「ううん、今はなさなかったら一生話せないだろうなって思ったから聞いてほしかったの。その上で私を好きになれる?」
「正しい答えはわからない。でもうれしいよ。だってそこまでしてまで僕のところに来てくれたんだろ?
もしほかの子がいやいや来てたとしたら多分こんな話受け入れなかったろうと思う」
何が正しいかなんてわからない。でも正直に言うと求められればできる限りは応えたい。
「ありがとね……ありがと……おやすみなさい」
意識が暗黒へ沈んでいった。
Atomとnotepad++を使い分けてるんですが便利ですねえ
一太郎も持ってるんですがいかんせん低スペで書いてるときついものがあります
Ryzenで一台組みたいなあ……




